将来年収1億円も視野に入れた、最初に国内系企業に就職する、おすすめキャリアプラン5選

1. ファーストキャリア(最初の就職先)に外銀・外コンを選択しない理由

将来年収1億円も狙いたいという、ambitiousで自信満々のハイスぺ学生達は当然の様に、外銀・外コンを第一志望とした就活を行う。

もちろん、それは否定しない。

何故なら、ゴールドマン・サックス証券に新卒で入って、MDを目指すというのが最も手っ取り早くシンプルな年収1億円のためのキャリアプランだからだ。

しかし、以下のような理由から、ファーストキャリアに外銀・外コンを選択したくないという学生もいるはずだ。

(1)VPに昇格できるまでの6年間の下働きがキツ過ぎて耐えられない

外銀・外コンに新卒で入った場合、アナリスト(アソシエイト)という平社員からのスタートとなる。

労働環境の悪さはすさまじく、朝は早くから夜は深夜まで、そして、土日のうちの片方は出社という、働き方改革とは無縁のワークライフバランスのひどさだ。

外銀・外コンの平社員が辛いのは労働時間の長さだけではない。

軍隊のような明確な上下関係の下、資料作りから、会議のセッティング、飲み会のアレンジなど、ありとあらゆる面倒くさい雑用を押し付けられ、仕事の内容的にも辛いものがある。

(2)リストラ・首切りのリスクあり

仕事が厳しいだけでなく、特に外銀の場合には、若手とは言え、マクロ経済環境や親会社の収益状況によって、情け無用のリストラが行われたりする。

何故か、外銀のリストラは給与額ではなく、頭数が基準で実施されることがあり、そういった場合は、アシスタントとかアナリストという弱い立場にあるものが平気で切られることがある。

また、いくら仕事を頑張っても、所詮は上司から好かれるか、嫌われるかで昇格が決まる世界であり、VPまで昇格できるかどうかは保証の限りではない。

そもそも、3年後のアソシエイト(又はシニア・アソシエイト)への昇格時点では、自主退職する者が多いので、半分位しか残っていないのではないだろうか?

さらに、その3年後のVP昇格まで残っていることが出来る者は更に少なく、リスクを考えると、新卒で外銀・外コンに行くのはそれほど美味しいキャリアとは言えないと考える者もいるだろう。

(3)そもそも新卒で外銀・外コンに採用されることは難しい

上記(1)と(2)は、新卒で外銀・外コンに入れた場合の問題点であるが、そもそも、外銀・外コンから内定をもらうことは至難の業である。

外銀と言っても、現在国際競争力があるのはゴールドマン・サックス、JPモルガンといった米国系大手であり、欧州系は概して元気がない。

さらに、カナダ、オーストラリア、欧州の弱小の投資銀行については、リスクが高いし、将来の転職可能性を考慮すると、新卒で行くのはどうかと思う。

そうなると、米国系大手と欧州系数社位がターゲットとなるが、新卒の採用枠は非常に限られ、東大でも全滅するのは珍しくない。

それは、外コンでも同様である。最近は急速に採用人数が増えたということはあるが、MBB3社合わせてもせいぜい100人位である。

この枠に食い込むのはトップ校のトップ学生とはいえ、至難の業だ。

2. 最初に国内系企業に就職する、おすすめのキャリアプラン5選

上記のような理由で、外銀・外コンから内定をもらっても、平社員スタートでキャリアを重ねて生き残るのは必ずしも得策とは言えない。

他方、国内系企業の場合は、教育研修制度がしっかりしているし、レピュテーション・リスクも踏まえる必要があるので、労務環境はまともである。

また、上司との合う・合わないの問題は国内系企業でもあるが、何と言っても外資系と違って、「異動」という手段があるので、長く働くことができる。

また、昇格も年功序列なので、将来のキャリアプランを踏まえてじっくりと転職活動の準備をしていくことも可能だ。

こういった事情を踏まえ、最初は安定的にじっくりと国内系企業でスキルを磨き、自信がついた段階で外資系に転職してアップサイドを狙うというキャリアプランがおすすめだ。

国内系企業は終身雇用なので、別に外資系やベンチャー企業に転職するのが面倒だと思えば、そのまま居続けても構わないのだ。

以下に紹介する5つのキャリアプランは、おススメ順というわけではないので、イロハ表記で紹介することとした。

イ. 野村證券IBD(総合職Cコース)⇒ゴールドマン・サックスコース

これは、野村證券IBDで例えばM&Aのスペシャリストを目指し、野村證券IBDで30代半ばでEDに昇格し、そして、VP以上で、ゴールドマン・サックス証券に転職するというシナリオだ。

まず、国内に限ると、野村證券IBDが最良の案件を数多く仕入れることができる。このため、野村證券IBDで長く働くと外銀でも十分に通用する経験とスキルを身に着けることができる。

野村證券IBDの場合、30代半ばでEDに昇格した場合には、ベースとボーナス合わせて2500万円位が狙える。

野村證券IBDでEDというタイトルと十分な実績があれば、外銀IBDに転職することは十分に可能なので、その場合、年収4000~5000万円も可能となる。

また、外銀に行かなくても、SBIの北尾さんみたいに、40歳以上を過ぎてから、事業会社に役員級で転職するという途もあるだろう。

このプランだと若い内に外銀で奴隷として働かされることを回避するとともに、良質な案件を経験することによりじっくりとスキルを磨き中途でVP以上で外銀を狙うというのがポイントだ。

また、外資に行くのが面倒になっても、そのままでの十分な高給をもらえるので、後悔することは無いのではなかろうか?

ロ. 三菱商事⇒HBS経由、PEファンド、事業会社幹部を狙うコース

これは総合商社からアップサイドを狙うキャリアプランだ。

総合商社の弱みは、証券会社IBDのような明確な転職力、スキルが身に付かないことだ。

他方、総合商社は歴史もネームバリューもあり、米国トップMBAに社費留学で送り込んでもらうことが可能だ。

そうすると、HBSとかウォートンのようなトップMBAを介して、キャリアアップを狙うことも可能だ。

三菱商事の場合、リップルウッドとかKKRとか、伝統的にPEファンドに強いので、そういったところに行けば、年収5000万円以上も狙うことも可能だ。

また、HBS等の有力MBA+三菱商事での職歴があれば、外資系事業会社の幹部としてヘッドハントされることもあるだろう。

また、新浪さんのローソンのように、事業会社の社長を狙うというキャリアパスもある。

もっとも、このプランの弱みとしては、HBS等に留学させてもらえる枠は少なく、必ずしも留学できる保証は無いこと(もちろん、私費という手もある。)

また、配属先が決まっていないので、資源エネルギーとかのトレーディング系だと、転職力が身に付かないというおそれもある。

ただ、その場合は三菱商事に居続けても、40歳で2000万円以上を安定的にもらえるので、悪くはないと思う。そこが、日本企業のいいところなのだ。

ハ. 野村アセットマネジメント⇒ヘッジファンド/外資系運用会社コース

これは、イとは違って、バイサイド(運用会社)によってアップサイドを狙うコースだ。金融で稼げるとなると、学生とかは外銀を思い浮かべるのだろうが、今一番稼ぐ可能性があるのはヘッジファンドである。(もっともリスクも高いが)

最初に、野村アセットマネジメントのファンドマネージャー(運用職)コースに新卒で入社をする。そして、そこでファンドマネージャーとしての実績を身に着けるまで頑張る。

それまでには十数年は掛かるだろうか。運用会社は息が長い世界なのだ。

30代半ば以降でファンドマネージャーとしての実績を残すことができれば、ヘッジファンドに転身をして、年収1億円を狙ってみればよい。

もっとも、運用というのは時間や努力をしてもどうにかなるものではない。

そこで、ファンドマネージャーとして実績を残せそうになければ、プロダクトとかセールスに転身して、外資系の運用会社に転職するという手もある。この場合、ヘッジファンドのように年収1憶は厳しいが、年収3000~5000万円は十分に可能である。

このキャリアプランの問題点は、日本の運用会社で働いている間の年俸水準が、総合商社や野村證券IBDと比べて高くはないということだ。

30歳で1000万円、30歳半ば以降で1500万円位だろうか。

だから、ヘッジファンドや外資系運用会社への転身をあきらめてしまうと、総合商社ほどは恵まれた生活を営めないのだ。

なお、ヘッジファンドの世界については、こちらの過去記事をご参照下さい。

https://career21.jp/2018-11-12-132108

二. リクルートで人材系の事業に従事⇒CHOで大手ベンチャーを狙うコース

これは、上記のイロハと異なり、金融系ではなく、ベンチャー系でアップサイドを狙うキャリアプランだ。

リクルートというのは、ニュービジネスに強く、数多くの起業家を輩出している。

しかし、それだけではなく、本来の「人」関係のビジネスには際立った強さ、名声を持っている。

また、今後、HRテック分野が盛り上がって来るだろう。

そうした流れを汲んで、メルカリのような有力ベンチャーのCHO(Cheif HR Officer)のポジションで、ストック・オプションをもらうという狙いだ。

もっとも、今後どういった有力ベンチャーが出てくるか、その場合、CHOのポジションに就くことができるか、ストック・オプションをもらった後、当該ベンチャー企業は無事IPOまで辿りつくことができるか、不確定要素が多いのがこのプランの問題点である。

ホ. 三井不動産⇒不動産ファンドの幹部を狙うコース

こちらは、金融でもHRでもなく、「不動産」を切り口としたキャリアプランだ。そもそも、三井不動産の給与水準は不動産業界の中でもダントツで、大手金融機関を凌ぐ。

昇給のペースが速く、入社3年目で700万に到達し、20代の内に1000万円を超える。そして、30代後半だと、1600~1800万円、さらに40歳を過ぎた管理職だと2000万円クラスだという。

また、リストラとは無縁の世界で終身雇用でリスクが極めて低い。

それでも、転職による更なるアップサイドを図ることは可能だ。

何故なら、不動産というのはグローバルに、投資対象資産のうちのメジャーなカテゴリーであり、不動産投資を専門とした不動産ファンドが数多く存在するからだ。

例えば、ラサール、GIC、エートス、グロブナー、キャピタランド、ハドソン等の外資系不動産会社が存在する。

また、外資系のJREITの運用会社も存在する。

但し、一般的に、不動産系ファンドの年俸水準は金融機関と比べると、それほど高くなく、Directorレベルで2000~3000万円クラスではないだろうか?

もっとも、企業の数が多く、新規参入もあるので、長い目でじっくり探せばさらに高水準の年俸を提供するポジションも見つかるはずだ。

むしろ、このキャリアプランの問題は、最初に三井不動産に入社できるかだ。

ここは年間数十人位しか採用しないので、内定をもらうのがトップ校でも難しい。また、ハイスペックな人間が好まれるとは限らないので、外銀・外コンから内定をもらうような学生が選好されるとは限らない。

そして、内定をもらえなかった場合の、代わりがない。

三菱地所とか東京建物になると、給与水準がグッと下がってしまう。

もっとも、外銀や外コンのような専門スキルを試されることは無いので、準備にそれほど手間がかかるわけではないので、併願する必要があるだろう。

最後に

外資系の下積みはキツイし、外資系には中途でも入れるので、中途でVP以上で外資系に入るというのは一つの賢い方法である。

国内系にはとても良いところが多く、最後まで居たとしても、それは問題がない。

したがって、周りに流されて外銀・外コンから内定を取ることが長い目で見て、勝ち組とは限らない。

キャリアプランというものは、長期的な視点で考えるべきものなのだ。

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