1. 東京の私立大学の顕著な難化傾向
2018年度の東京の私立大学の難易度が急激に上昇したことが、いろいろとメディアで取り上げられている。特に、MARCHの難化が著しく、従来であれば早慶に合格できた可能性のある受験生でも、早慶どころか、併願のMARCHを全滅ということがあるようだ。
その理由は、明らかで、定員の厳格化と新学部設立の不認可に伴い、都内の私立大学の実質合格者数が激減したからだ。
就職においては、MARCH以上に入れるかどうかが極めて重要で、MARCH以上であれば学歴フィルターの時点で落とされてしまうことはまず無いが、MARCH未満だと全く状況が異なってしまうからだ。
このため、就職ということを考えると、MARCHには合格しておきたいが、他方、入試が難化しているため、それはわかっていても対応しにくい状況になってきているようだ。
2. 地方国公立の中で、滋賀大学経済学部は就職の良さが魅力
①地方国公立は、入試難易度に反して、良好な就職力を誇るところもある
そこで、狙い目は、就職の良い地方国公立だ。国公立は試験科目が多い(特に数学の負担が嫌われる)上、地方国公立は就職が良くないという理由から経営されがちである。
しかし、就職力は大学・学部によって異なり、よく探してみると、極めて就職力が高い地方国公立を見つけることができる。
何故かというと、歴史があり、授業料が安い地方国公立大学は、昔は優秀なその地方出身者が多く入学していたからだ。企業も、古くから地方国公立の生徒を採用し、そこから役員等に出世しているOB達も存在しており、企業との有力なコネクションを有する学校もある。
②滋賀大学経済学部の就職力の魅力
その代表格が、滋賀大学の経済学部だ。ここは旧彦根高商の伝統を汲んでおり、昔から、大手金融機関、大手メーカー、総合商社等に対する就職実績を有している。
https://www.econ.shiga-u.ac.jp/13/5.html
(平成31年3月卒業者の主な就職先) | |
金融業 | 三井住友銀行、三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行、ゆうちょ銀行、商工組合中央金庫、 |
ゴールドマン・サックス証券、SMBC日興証券、オリックス、日本生命、住友生命、 | |
東京海上日動火災、三井住友海上火災、ジェーシービー他 | |
製造業・建設 | 清水建設、竹中工務店、積水ハウス、サントリーホールディングス、大日本印刷、 |
塩野義製薬、神戸製鋼所、IHI、クボタ、京セラ、村田製作所、ローム、キーエンス | |
日本電気、パナソニック、日立製作所、富士ゼロックス、三菱電機、川崎重工業、 | |
本田技研工業、セイコーエプソン他 | |
流通・サービス | 三菱商事、伊藤忠、双日、JR東日本、JR東海、JR西日本、セブンイレブンジャパン、 |
阪急阪神百貨店、イオンリテール、三井不動産リアルティ、デロイトトーマツ他 |
(出所:滋賀大学HPの「就職情報 平成31年卒業者の主な就職先」より外資系金融キャリア研究所が抜粋)
滋賀大学経済学部は各企業への就職者数までは開示していないので、そこから主な企業を抜粋すると上記のリストの様になる。
このうち、金融機関ではゴールドマン・サックス証券、そして、総合商社では三菱商事と伊藤忠への就職実績が光る。また、幅広く、大手の製造業やサービス業にも実績があり、サントリーホールディングス、キーエンス、JR主要3社等にも就職している。
3. 都内私立に反して、難易度は上昇しない
都内私立とは異なり、国公立大学は定員厳格化の影響はなく、また、好況が継続
していることに伴う私立人気の継続により、難易度は上昇していない。
センター試験A方式とB方式があるが、狙いは5教科7科目型のB方式である。要するに、私立専願の優秀層がB方式に来ないので、競争が厳しくないからである。B方式であれば、センター試験が7割位取れれば、合格の確度はかなり高まる
ようである。
また、2次試験については、英語と国語で受験可能なので(数学選択しなくても
良い)、皆が大嫌いな数学はセンター試験さえクリアできれば良い。英語が得意な受験生は、有利である。
4. 課題は田舎暮らしに耐えられるか
3教科で厳しい戦いに挑むより、数学と理科を我慢して、何とかセンター試験レベルを対応できる程度までもっていけば、就職に強い滋賀大学経済学部への入学がグッと近くなる。
また、国立大学なので授業料等は安い。
しかし、最大の問題というか、就職力の割に不人気な理由は、全て「田舎暮らしが嫌」、これにつきる。今の若い人たちは昔以上に、田舎暮らしに耐えられないのだろうか?
とはいえ、滋賀大学経済学部がある彦根市はそれほどド田舎ではない。何故なら、東海道線(琵琶湖線)の在来線の新快速を使うと、彦根から京都までは約1時間である。早い電車だと、50分である。(なお、乗車賃は1140円(片道))
本数も、昼間の時間でも2~3本はある。
また、環境的にも、少々冬は小雪がちらつくが、豪雪地帯でも何でもなく、琵琶湖に近くて環境も良好だ。日常生活においては支障はない。
もっとも、生まれも育ちも都心3区のような学生にとっては厳しいかも知れないが、オープンキャンパスで見に行くのがいいだろう。