GMO、仮想通貨ビジネスに係る特損355億円。仮想通貨ビジネスにはキャリア形成上関わらないのが得策だろうか?

1. 仮想通貨ビジネスについては暗い話題が多いが…
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先日、GMOが仮想通貨マイニング開発中止とそれに係る355億円の特別損失の計上について公表した。

仮想通貨市況も低迷しており、今年の9月にはZaifの仮想通貨流出事件が発生したり、仮想通貨業界に関しては、明るい話題が無い1年であった。

今後、仮想通貨ビジネスには関わらない方が、キャリア形成上得策なのだろうか?

2. しかし、仮想通貨ビジネスのインフラは整備されつつある

だからといって、仮想通貨ビジネスにおける将来が暗いとは限らない。

何故なら、仮想通貨ビジネスに関するインフラは整備されつつあるのが現状だからだ。

まず、仮想通貨交換業協会が今年の4月23日に発足した。

これは単なる業界団体ではなく。

日本証券業協会、投資信託協会、投資顧問業協会のように、金融庁が認定をしたオフィシャルな業界団体であり、今後仮想通貨ビジネスの管理・運営に係るルール作り等は、この協会を通じてなされることとなる。

ICOについては、来年の金商法の改訂によって、明確化されていくはずであるが、ICOのルールが完成すると、新たに市場が盛り上がる可能性もある。

また、今年の6月に、業界最大手のビットフライヤーが行政処分を受けたが、必ずしもネガティブな面ばかりではない。

金融庁が一定の厳格な管理を仮想通貨交換業者に課して、監督することにより、市場全体の信頼性が長期的には高まるからだ。

金融庁には、総合政策局内に「フィンテックモニタリング室」という組織があり、日本におけるフィンテック事業の健全な発展を企図しているという点に変化はない。

したがって、中長期的に見ると、仮想通貨ビジネスが今後発展していく可能性はまだまだ残っているのだ。

3. 仮想通貨ビジネスの業態

仮想通貨ビジネスというと、仮想通貨交換業にフォーカスされがちだが、実はいろいろな業態がある。

簡単に整理すると、以下のような類型がある。

①仮想通貨交換業

⇒ビットフライヤー、GMOコイン、マネーパートナーズ等

②ICO関連ビジネス

⇒ICOを発行すること及びそれに関連する業務。

③仮想通貨自己投資ビジネス

⇒自己資金を使って仮想通貨で運用をするビジネス

④仮想通貨業務に関するサービス供与ビジネス

⇒サイバーセキュリティ、システム開発等

⑤仮想通貨に関するメディアビジネス、情報ビジネス

⇒仮想通貨の投資情報、出版等

上記のうち、①と②は何らかの金融関連のライセンス(登録)等を求められる業務である。

(③についても求められる場合があるかも知れない。)

他方、④⑤は、仮想通貨に関するサービス供給を企図したビジネスであり、通常金融業務に関するライセンスは要求されない。

仮想通貨ビジネスに関する市場が大きくなれば、ここも連動して大きくなる可能性がある業態である。

以上のように、仮想通貨ビジネスといっても、どの業態なのかについて吟味を行う必要がある。

4. おすすめの業態、ポジションはどこか?

この中で、面白いと思われるのは、上記②のICO関係であろう。

最近は、仮想通貨自体が注目されなくなったからなのか、あまりメディアでとりあげられなくなったが、ヤフーコイン、楽天コイン、メルカリコインと呼ばれるビジネスである。

ICOに関するルールが整備され、上記のような日本の有力なネット企業が独自のコインを発行すると、再び市場が注目される可能性はある。

例えば、楽天場合、戦略系のポジションで、クリプトカレンシー関連のプロジェクトメンバーを募集している。

https://jobs.rakuten.careers/careersection/rakuten_ext_cs/jobdetail.ftl?job=00011350&tz=GMT%2B09%3A00

留意点とすれば、仮想通貨ビジネスがどのタイミングでどれ位盛り上がるかは現段階では正確に予想しがたいので、うまく行かなった場合に備えて、他の職種への転用が可能なポジションを選択することである。

もっとも、大企業の場合、社内での異動の可能性は十分にあるし、そのビジネスがうまく行かなかったところで、外資系のように、全員リストラということはまず考えにくいので、その点は比較的安心だろう。

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