1. リクルートは海外含め、成長に向けてM&Aを積極的に活用
募集要項|Recruit リクルート – キャリア採用サイト –
リクルートは、Indeed等の買収を始め、更なる成長に向けてM&Aを積極活用している。
リクルートはその約半数が中途採用であり、常に中途入社できる機会がある。
そのうち、リクルート本体(リクルートホールディングス)のコーポレート部門で、M&Aの専門職のポジションんがオープンになっているのが注目される。
2. 外銀IBDのセカンドキャリア
外銀IBDのハードワークは相当なもので、新入社員を含む若手社員は毎晩深夜まで働かされ、土日も、どちらか一日は出社するという状況である。
社内の競争環境、プレッシャーは相当厳しく、3年後にアソシエイトに昇格できる時期までには半分も残っていないのではなかろうか?
勿論、そのような状況は百も承知の上で、外銀IBDという途を選択したのであるから、ある程度のセカンドキャリアもいくつか想定しているだろう。
国内系証券会社のIBDとか総合商社というのが、典型的な外銀IBD疲れをした若手社員のセカンドキャリア例であろう。
そうした中、このリクルートのポジションは、外銀IBDのセカンドキャリアとして、従来の国内系IBDとか総合商社とはまた別の魅力があるのではと考えられる。
3. リクルート本体のM&Aポジションの魅力
①アドバイザリーの立場ではなく、当事者としての立場でM&Aを実行
これはIBDのようなアドバイザリーとしてではなく、当事者の立場でM&Aを実行・推進できるポジションである。
野村證券や大和証券のIBDでM&Aアドバイザリーの仕事に就くのであれば、外銀IBD時代と異なるスキルはあまり期待できない。
他方、このポジションであれば、当事者の立場でのM&Aの実行・推進なのでまた別のスキルや知見を身につけることが可能である。
②国内・国外を問わず、IT、人材という将来性のある分野のディールを手掛けることができる
リクルートは潤沢な資金を持っており、買収対象企業は国内・海外を問わない。
また、事業分野が、人材、IT系であるので、今後も成長性が見込める分野の知識・経験を磨くことができる。
Google、Facebook、アマゾン、Apple等の米国系IT大手も、ヤフー、楽天、LINEといった国内系IT大手も、M&Aには積極的であるので、将来は、こういったIT系事業会社の投資部門に就任できるチャンスとなろう。
③将来、優良ベンチャー企業のCFOポジションを狙いやすくなる
外資系、国内系を問わず、IBDのバンカー達の弱点は、ネット系ビジネスである。
何故なら、IBDのメインターゲットは手数料が多くもらえる可能性のある業種であり、それは時価総額の大きい業種である。
具体的には、大手金融機関(FIG)、自動車、素材や大手電機メーカー(GIG)、通信、メディア(TMT)である。
日本企業の場合、GAFAのようなネット系の巨大企業は無いので、昔からネット系企業は優先順位が低かったのである。
また、IBDは金融機関であることに加え、特に情報の発信には厳しいので、ブログ、ツィッター、フェイスブック、インスタグラムといったSNSをやっている社員はまずいない。
また、ターゲットにはならないネットベンチャー界隈の経営者達と交流があるわけではないので、ネット系の世界には疎いのだ。
しかし、リクルートに入ると、業務上も、ネットワーク上も、ネット系ビジネスやその経営者達との接点も増え、IT系の知識・ノウハウを強化することができる。
このため、IBD × ネットビジネス、というまだまだ希少性の高いスキルを修得できるのだ。
このため、将来、メルカリのような有力ベンチャー企業のCFOに就任してストック・オプションで大儲けする途も見えてくるのだ。
4. リクルート本体のM&Aポジションの留意点
①IBDのM&Aアドバイザリーのプロとしてのキャリアが断たれる
国内、外資系を含め、日本の金融界に「M&Aができます」という人材は数多い。そうした中で、ディール経験や担当企業数等を武器に競争していくのだが、一旦、事業会社に行ってしまうと、アドバイザリービジネスからは離れてしまうことになる。
もちろん、事業会社の立場からのM&Aの経験は詰めるが、IBDの世界においてはあまり箔付とはならないだろう。
②給与水準
IBDの給与水準は最高であるので、どこに行っても、外銀の同業他社以外だと、年収は大幅に減ってしまう。
もちろん、このリクルートのM&Aのポジションも同様である。
ただし、募集要項を見ると、「想定年収約1000~1400万」とある。
30歳位までなら、国内系IBDや総合商社と比べてそれほど見劣りしないのではなかろうか?
まとめ
日本において、M&Aプロフェッショナルの数は多く、「M&Aができます」というだけでは、なかなか業界においてプレゼンスを発揮できない。
その点、このリクルートのM&A専門職のポジションに就くと、M&A × ネットビジネス、というユニークな経歴を作ることができる。
金融プロフェッショナルとしてはキャリアダウンだが、ネットベンチャー業界におけるプロフェッショナルとして、大成功できるチャンスはあり、考慮に値するポジションなのではないかと思う。