1. そもそも3つから内定を取る必要があるのか?
就活難易度&ステイタスが最上位の、外銀・外コン・総合商社の3業態であるが、そもそも、それぞれが特有の準備をしなければならないのに、3業態全てから内定を取る必要があるのだろうか?
外銀・外コンの選考は早く、3年生の秋~冬までには内定が出るから、外銀或いは外コンが堅い本命であれば、翌年の3月ころから採用プロセスが始まる総合商社をわざわざ受ける必要は無いし、面倒である。
しかし、総合商社に関心がある場合には、外銀・外コン内定保有者は別枠で採用プロセスに乗っかれるので、外銀・外コンが本命でなくとも内定を予め取りに行く総合商社志望の学生はいるようだ。
外銀・外コン内定獲得者は、最優秀層でバイタリティもあるため、人間の本能の1つである収集本能(空きがあれば埋めたくなる)によって、総合商社(特に最高ブランドの三菱商事)からも内定を取っておきたいと思うのかも知れない。
いずれにせよ、3つ内定を取っても、どれか1つを選択しなければならない。
その場合、どれを選ぶのが正解であろうか?
2. 選定のための判断軸
どれを選ぶのが正解かは、当然、その学生の価値観によって決まるということなのだが、具体的にはどういうファクターによって判断するのかについて、以下、いくつかのファクターを抽出して、表にまとめて可視化してみた。
外銀 | 外コン | 総合商社 | |
年収 | ◎ | ▲ | △ |
安定性 | ▲ | × | ◎ |
転職力 | 〇 | ◎ | ▲ |
起業・独立力 | × | 〇 | × |
海外赴任 | ▲ | × | ◎ |
ここで使用したファクターは、年収、安定性(クビ・リストラのリスク等)、転職力、起業・独立力、海外赴任のチャンス、の5つを抽出してみた。
それを、私の独断と偏見で5段階(◎、〇、△、▲、×)でチェックしてみた。もちろん、これは人によって、ランクが違ってくるかも知れない。
これを見ると、以下の仮説が成り立つだろう。
①外銀を選択する人
これはわかりやすいかも知れないが、とにかく「お金」が沢山欲しい人である。そのためには、ハードワークやリスクは恐れないというタイプである。
外銀の場合、そもそも1千万円スタートである。VPに昇格すれば3000万円、MDに昇格すれば5000万~1億円位が見込める業界である。
外コン、総合商社と比べて、年収の可能性は突出して高い。
ただし、リーマンショック以降は、収益性がぐっと低下したため、1億以上稼ぐのはかなり厳しくなってしまった。
いずれにせよ、お金という点では、外銀の一択であろう。
②外コン選択者は自分のやりたいことを自由にやりたいタイプ
外コンの場合は、お金という点では激務やリスクという点を考慮するとそれほど大した金額は稼げない。
他方、転職力は高く、業界を問わず、あらゆるところからニーズがある。
また、企業経営全般に携わる業務を他業種において展開するため、独立や起業には向いている。
従って、お金やステイタスを追求するというよりは、自分が好きなこと、興味があることを自由にやりたい人が向いているのではないだろうか。
③総合商社は安定的にそこそこもらいたい人?
まず、海外赴任したいという人は総合商社の一択である。
ほとんどの者が海外で働けるチャンスがあるようである。
また、海外赴任時には充実した赴任手当が待って入る。
それ以外は、安定的にそれなりの給料をもらえるということだろう。
外銀と比べると、年俸的には見劣りする。
また、典型的なコンサバでバリバリの年功序列型組織なので、起業するには向いていない。
また、普遍的なスキルが身に付くわけでは無いので転職力は低い(特に40歳以降)。とはいえ、終身雇用が保証される上、海外の現地法人や子会社で経営職に就くチャンスは高い。
また、企業によっては新規事業投資のビジネスに参画できたりもする。
したがって、それなりの多様なビジネス経験ができる可能性は高く、このあたりは大手金融機関とは異なる魅力である。
総合的にバランスが取れているということは言えるだろう。
最後に
以上のように、その人の価値観によって行き先を決めればよい。
もっとも、20代、或いは30前半位までであれば、3者間で、行き来できる可能性はある。
例えば、20代で、外銀・外コンから総合商社に転職するのはアリだ。
また、MBAを経由すると、外コン⇒外銀、商社⇒外銀・外コン、はありである。
いずれにしても、この3業態のいずれかから内定を取ることができれば、明るい未来が待ってそうなので、頑張って早いうちから準備をして万全の対策をして臨みたいところだ。