1. 忘れ去られてしまったリブセンス?
リブセンスという会社をご存じだろうか?
2011年に村上太一社長が25歳の時に上場させたということで、注目を集めた会社である。
しかし、その後の業績は冴えず株価は大きく低迷し(平成30年12月20日時点で時価総額約76億円)、リブセンスも村上社長もメディアに出なくなったようである。
とはいえ、リブセンスは有利子負債がゼロの無借金企業であり、自己資本比率は70%を優に上回り財務的には安定している。
また、売上高はここ数年50~60億円位で、数億円の利益は計上できている。
従って、そこそこ経営的には安定しているので、何か新規事業であてれば浮上のチャンスはあるはずだ。
2. 事業企画に挑戦してみるか?
リブセンス社のホームページの募集要項を見ると、全職種について、広く募集しているように見える。
そのうち、某転職エージェントのメルマガで事業企画に関するポジションの案内が来たので考えてみたい。
3. 成長が止まったベンチャー企業での新規事業の創出
募集があるのは、事業責任者候補として、新規事業の創出、既存事業の拡大を担うポジションである。
①事業企画の仕事とは
業務内容は、事業責任者であるので、事業戦略の立案(管理会計、予算策定)、組織運営とマネジメントといった内容である。
対象となる既存事業としては、アルバイト求人サイト「マッハバイト」、不動産賃貸サイト「DOOR賃貸」、転職者向け情報サイト「転職会議」等が考えられる。
求められる資格・経験については特段ハードルは高くなく、事業企画や新規事業立ち上げの経験、マネジメント経験といったものである。
なお、年俸は1000万円以上も可能なようだ。
(といっても、そうそう簡単ではないと思うが)
②魅力があるポジションだろうか?
リブセンスの経営基盤は安定しているし、知名度もそれなりにある。
IT環境、バックオフィス、協力体制など、働くインフラも悪くないと思う。
仕事内容も、よくある事業開発系であるが、おもしろそうである。
しかし、何と言っても、ワクワク感があるポジションとは言えないだろう。
やはり、ベンチャーには勢い、新規性、成長性が求められる。
どうせ新規事業の開発等をやるのであれば、メルカリとかLINEとか今をときめく会社でやってみたいものだ。
また、既上場であるので、ストック・オプションの妙味が無い。
このため、トップクラスのエンジニアとか、外銀・外コンのピカピカの人材を採用するのは難しいであろう。
(もっとも、この段階で外銀・外コンの人材が必要かどうかはよくわからないが。)
③とはいえ、結果を出せれば次につながるポジションではないか?
でも、派手さはないかも知れないが、ビジネス的なインフラは揃っているし、人的な支援体制もしっかりしていそうだ。
従って、良いビジネスプランがあって、着実に実行すれば良い結果を出せる可能性はある。
そうすると、ベンチャー企業でフレキシビリティがあるので、どんどん上の仕事をしたり、子会社経営を任されたりするチャンスはあるだろう。
その場合、ストック・オプションは無くとも、相応の年収やステイタスは得られるのではないだろうか。
したがって、地味目でもしっかりとしたスキルがある人材にとっては面白みがあるポジションと言える。
このため、年齢があまり若くないとか、レジュメの見た目が良くない(前職にネームバリューのある会社が無い)等により、スペックでやや劣るが、相応のスキルや経験を持っている人材にとってはチャンスかも知れない。
4. ベンチャー企業はHRMを真剣に考えなければ永遠に抜け出せない?
これは、リブセンスに限った話ではなく、DeNA、グリー、mixi、ガンホー、コロプラ、GMO、じげん、メタップス、クックパッドなど、上場後に業績・株価が低迷しているベンチャー企業共通の話ではあるが、HRM(人的資源管理:Human Resources Management)をしっかりやらないと現状から抜け出すことは難しいのではなかろうか?
結局、いくら戦略を立てたところで、それを的確に実行できる優秀な人材を確保し(リソース・マネジメント)、確保した優秀な人材をフル稼働させ(モチベーション・マネジメント)、それを継続的に実現していく仕組み(組織デザイン)ができていないと、単発で採用を掛けて終わりとなってしまう。
したがって、ビジネス創出に注力するのは理解できるが、その前に、一歩下がって、HRMシステムを見直し・創造してみるところから始めた方がいいのではないだろうか。