将来の起業や転職力を踏まえると、新卒で楽天に入社するのは悪くないのでは?

1. 目新しさはないが、楽天に入ると確固たるスキルを入手しやすい

①ファーストキャリア(最初の就職先)の重要性

就職を決める最大のファクターは学歴であろうが、社会人になると、学歴の代わりに、職歴が最重要ファクターとなる。

このため、ファーストキャリア(最初の就職先)は特に重要で、その後のキャリア全体を左右しかねない。

何故なら、最初の就職先のネームバリューがイマイチで、これといったスキルも身に付かず、英語力も磨かれないのであれば、転職したくても、より良い会社に転職するのは難しい。

また、転職先の給与は現職の会社の給与を参考にすることが多いので、最初の就職先の給与が低いと、その後もそれに引っ張られてしまう。

さらに、最初の就職先のネームバリュー、スキルがイマイチで、英語力も身に付かないのであれば、MBAの上位校に行くことも厳しく、留学で一発逆転を図ることもできなくなってしまう。

反対に、最初の就職先が外銀・外コンであれば、会社のネームバリューは高く、ファイナンス・コンサルティング等の最低限のスキルは習得できる

(或いは習得したと思ってもらえる)。

このため、失敗しても、総合商社とか国内系金融機関に容易に転職し、きちんとしたキャリアを継続できる。

この点から、ファーストキャリア(最初の就職先)は重要なのである。

②ファーストキャリアの構成要素

ファーストキャリア、要するに、最初の就職先の今後の転職における価値は主として以下のファクターで構成されるだろう。

(1)会社のネームバリュー

これは、キャリアの外見であり、就活における学歴的なものである。

就職人気ランキングとの違いは、視点が企業なので、ANAやJALのような見栄えが良い企業だけでなく、B to Bの地味目な優良企業も(信越化学、キーエンス、旭硝子、日本電産、東京エレクトロン等)正当に評価してもらえる。

(2)職種

専門スキルである。プログラミング、財務・経理、人事、広報・宣伝、マーケティング、営業などである。

業界横断的な普遍的なスキルが評価され、その業界内、その企業内でしか存在しないような職種は転職力が低い。

また、営業というのは立派なスキルなのだが、その内容による。

単なる特定の取引先とのRMだけだったり、テレアポ営業で成果が特に出なかったような場合には要注意である。

(3)リーダーシップ

タイトル、部下の数といった管理職的なものである。

若いうちは、タイトルや部下はいなくても構わない。

また、業務において達成した実績(職務経歴書に書けるもの)は重要である。

(4)英語力

これは、外資系やグローバル企業以外の場合には、関係ないスキルかも知れない。

しかし、今後の少子高齢化に伴う国内市場の縮小化は自明であり、グローバルで稼げる能力が企業にとっても重要となってくる。

実際、外銀・外コン・総合商社という、高給の業種はグローバル人材を求めており、特に若いうちに身に着けておきたいスキルだ。

もちろん、英語だけではなくて、中国語でもOKだ。

2. 楽天に入社した場合のファーストスキルはどうか?

上記の、ファーストスキルを構成する4つの要素を楽天について考えてみる。

まず、(1)会社のネームバリューについては、問題無いだろう。

誰でも知っている日本最大のネット系コングロマリットであり、特に、ECとネット金融はトップクラスである。

外銀や外コンには負けるかも知れないが、転職時においては、リクルートやヤフーと遜色のないネームバリューであろう。

次に、(2)職種であるが、楽天の場合は、Fintech、Web戦略/デザイン、財務/経理、法務、知財、といったコース別採用をしてくれている。

このため、こういったコースを選ぶと職種は確保できる。

また、コース別採用でなくとも、広い意味のECや金融に関与できる可能性が高く、また、日本の大企業よりも職種に関する希望が通りやすいと思われる。

次に、(3)リーダーシップであるが、管理職タイトルは、ネット系ベンチャーであるので、伝統的日本企業よりも早くタイトルはもらえやすい。

また、いくつもの社内プロジェクトが走っているので、職務経歴書でアピールし易い(たとえ自分は大した成果を出せなかったとしても)

最後に、(4)英語力であるが、楽天は社内公用語を英語にしており、社内研修にも力を入れている。

この楽天の機会を利用して、若いうちに英語をマスターすれば、その後のキャリアにおける選択肢は拡がるはずだ。

3. 留意点

最大の留意点は、待遇が余り良くないということだろう。

初任給は月30万円と悪くはないものの、昇給スピードが遅く、その後の3年間位あまり上がらない。

このため、最初の3年以内に退職して行く者も少なくないという。

したがって、終身雇用を前提として行くには、待遇がイマイチであり、スキルを付けて転職していくことを想定している人の方が向いていると言えるだろう。

それ以外は、新卒は結構な大量採用なので、少数精鋭というわけではないので、どこまでキメ細かく教えてもらえるかは不透明という点である。

研修制度等については、日本の伝統的企業はしっかりとしている。

しかし、総合的にはバランスの取れた会社であり、特に若手の場合は、転職力は高いし、将来起業を考える者にとっては勉強になることも多いだろう。

そういった学生にとっては、就職先の候補として十分検討に値するのではないだろうか?

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