1. 一橋大学商学部の進路
一橋大学商学部の22/3卒の卒業生数は294名。
そのうち、大学院等進学者が18名、資格試験が7名、不明その他が12名である。
この結果、就職者数は257名である。
<一橋大学公式HP 一橋大学商学部の進路と就職先>
https://www.cm.hit-u.ac.jp/career/achievement/
2. 一橋大学の就職先
①業種別の就職先
上記の大学公式HPの情報開示によると、
就職者のうち、公務員となる者は僅か2名である。
この点については、慶應義塾大学経済学部と類似しているが、就職者のうち圧倒的多数が民間企業に就職する。
業種別のシェアで見ると、もっとも割合が高いのがサービス業の46%である。
コンサルがこのカテゴリーに入るので、コンサルと、他にはITが多数である。
次が金融で22%である。
メガバンクが大幅な新卒採用者減を行ったため、コロナ前と比べると、金融機関の割合が随分減った印象である。
3番目が製造業であり15%である。こちらは、金融機関の割合が減少したことが反映されていると思料される。コロナ前と比べると、かなり割合は高まった印象がある。
なお、一橋が得意とする商社系は4%となっている。
②具体的な就職先の特徴
一橋大学商学部からの主な就職先企業は以下の通りである。
就職者が3名以上の企業をリストアップした
就職者数(人) | 企業名 |
5人以上 | 楽天グループ(13)、PwCコンサルティング(7)、三井住友銀行(6)、野村證券(6)、富士通(5)、あずさ監査法人(5) |
4人 | 日本政策金融公庫、三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、丸紅、アクセンチュア、アビームコンサルティング、野村総合研究所、ベイカレントコンサルティング |
3人 | オリックス、大和証券、三菱商事、NTTドコモ、監査法人トーマツ、デロイトトーマツFAS |
(出所:一橋大学公式HPを基に外資系金融キャリア研究所集計)
就職者数が学部全体で257名しかおらず、全般的にそれなりに分散しているが、突出して多いのが、楽天グループの13名である。創業オーナーの三木谷社長の出身学部というのが理由だろうが、それにしても就職者に占める楽天1社が5%のシェアを占めるのはいくらなんでも行き過ぎだろう。
他は、総合コンサルのPwC、アクセンチュア、アビームコンサルティング、ベイカレントコンサルティング等の総合コンサルが目立つ。これは早慶の傾向とも合致している。
金融機関については、メガバンクや大手証券会社がランクインしている。
この表にはないが、東京海上日動火災と日本生命はそれぞれ2名ずつである。
また、あずさ監査法人、監査法人トーマツも就職者数上位に入っているが、これは公認会計士を目指す者が相当数いるからであろう。
メーカーでは富士通が5名と最多数であるが、他に主な企業は、トヨタ、パナソニック、日立が2名ずつ、富士フィルム、味の素、キリン、サントリー、ソニーが1名ずつとなっている。
③商社、外資系企業等について
国内系企業最難関の5大商社については、
三菱商事3名、三井物産1名、住友商事1名、伊藤忠1名、丸紅4名の合計10名である。
就職者数が257名であることを考えると、かなり多いと言えるだろう。
外資系金融については、ゴールドマン・サックス証券が1名、BofA証券が1名、クレディ・スイス証券が1名である。
戦コンについては、マッキンゼーとADLが1名ずつである。
3. 一橋大学はコスパが悪いか?
一橋大学は就活においてコスパが悪いのではないかという見方がある。
大学に入学する難易度の割には、早慶の有力学部と比べると、それほど良くは無いのではないか見られるからだ。
しかし、この就職状況を見る限りでは、就職者数が257名と非常に少ないため、比率的には早稲田の政経を上回り、慶應経済と遜色がない水準では無いだろうか?
それと、特に慶應の場合は、難関企業に内定できるのは大半が内部進学組の上位層とAO/推薦組(慶應経済のPEARL他)という説がある。統計が有るわけではないので、何とも言えないが、この説が正しいとすると、慶應経済や法の一般入試組よりは一橋商学部の方が就職状況は良いようにも見えるが、どうだろうか。
就職の話しとは直接関係無いかも知れないが、一橋大学は今後の展開が気になるところである。東京工業大学と東京医科歯科大学が統合して東京科学大学になったが、一橋大学もそこに参加するのか、それとも、独立路線で行くのかが気になるところである。
また、新設のソーシャル・データサイエンス学部の人気度や他学部への影響も気になるところである。
このあたりも含めて、23卒の就職状況が開示された場合には、検証していきたい。