ベンチャーや起業に興味がある就活生は、とりあえずCXO(CFO、CTO、CHO、CSO、CMO)を目指してはどうか?

1. コロナショックによってベンチャーや起業志望の就活生は激減したかも知れないが…

2020年の2月以降、コロナショックは世界中に拡がり、どこの国でも最大の問題となっている。日本の場合は、欧米諸国と比較すると、まだ軽微な方かも知れないが、緊急事態宣言がようやく解除されたかと思うと、7月に入り徐々に感染者数も増え厳しい状況になってきている(2020年7月28日現在)。

このような外部環境になると、リスクの高いベンチャー企業への就職・転職や、自ら起業を狙おうとする就活生は激減するのではないかと思料される。

近年では、ベンチャー支援のインフラも充実化したり、大企業でのキャリア形成に問題を感じる若手も増えてきたこともあり、ベンチャーや起業の関心度は上がってきていたのだが、今回のコロナショックによって大幅にこの流れが後退してしまうのは否めない。

もっとも、現在の経済環境でなくとも、学生からいきなり起業というのは、以下の様な理由でなかなか難しいと考えられる。

(1)そもそも経営、IT技術、ファイナンス、採用等におけるスキルが不十分
(2)開業資金が不十分
(3)失敗した場合の不安、大企業との比較による心理的な抵抗感

もともと、ベンチャー起業というのは成功率が高くないので、スキル・資金・自信が不足している状態で無理して挑戦するのはあまりおすすめではない。

2. 長期的な視点に立って、まずは、CXOを目指すというキャリアプランもある

もっとも、長期的な視点に立てば、いずれは景気は回復し、ベンチャー企業の幹部になったり、自ら起業をするという選択肢も復活することだろう。

そこで、今はベンチャー就職や起業で勝負するタイミングではないが、将来的にはそちらの世界で勝負をしたいという就活生は、CXOを目指して、専門性を磨いた上で、その後で起業を考えるという方向性もある。

人生100年時代とも言われ、70歳位までの就労を考慮する場合には、キャリアプランというのは長い目で考えておきたいものである。

①CXOの例

CXOとは、Chief X Officerからなる用語で、最高〇〇責任者と訳される。
具体的には、

・CFO:Chief Finance Officer 最高財務責任者
・CTO:Chief Technology Officer 最高技術責任者
・CMO:Chief Marketing Officer 最高マーケティング責任者
・CSO:Chief Strategy Officer 最高戦略責任者
・CHO:Chief Human Officer 最高人事責任者

が知られている。

②従来の人事部長、経理部長、IT部長、経営企画部長等との違い

それだと、単なる各機能別組織の部門長を言い方を変えただけではないか?、という見方もあるかも知れない。

しかし、違いは、CXOは「経営」の観点から各担当専門領域を管掌するというポジションであり、背後に、経営者の一人として、「企業価値」を向上させるという共通のミッションがあるのである。

要するに、単なる専門職ではなく、経営者としての力量が要求されるポジションなのである。

(もちろん、現実には単なる部長職としての役割しか果たせず、「経営」に関与できていないCXOの方が多いかも知れないが)

③何故将来の起業のためにCXOを経由するのがいいのか?

それは、専門性を磨きつつ、「経営」に関与することができるからである。経営というのは、結局、ヒト(CHO)、モノ(CMO、CTO)、カネ(CFO)という経営資源をどのように掛け合わせて(Value Chain)、どの分野で勝負するか(Positioning)を決めることである。

したがって、ヒト、モノ、カネに掛かるパーツのいずれかを管掌しつつ、経営に関与するということは、将来、ヒト、モノ、カネの全てを管掌する経営者(CEO)になるための合理的なプロセスなのである。

3. CXOは有力ベンチャー企業への転職をする際の魅力的な武器

上記のような理由から、一旦、CXOを経てから起業したいという就活生は慎重なタイプであろうから、自ら起業する前に、有力なベンチャー企業でのCXOポジションには魅力があると思う。

例えば、メルカリのCFOの長澤さんは、元ゴールドマン・サックス証券のIBD出身であるし、グリーのCTOの藤本さんは創業期から参画しているし、IPOを目指すような有力ベンチャー企業にはCXOのポジションが必要とされる。

このような既に億単位の資金調達を完了させ、IPOを狙っている有力ベンチャー企業にCXOのポジションで入社すると、上場した暁には、数億円のストック・オプションによる莫大な収入が得られるし、貴重な経営経験も積むことができるので、その後の起業の成功確率もぐっと高まるのではないだろうか?

4. 反対に、いきなり起業をしても何の専門性も身に付かない?

他方、いきなり起業をして失敗しても、採用、IT技術、営業、資金調達と浅く広くドタバタやっても、結局何も残らないことが多い。単に「起業して失敗しました」というだけでは、次につながらないことが多いのである。

5. それでは、CXOを目指すにはどうしたらよいか?

CXOを目指すには、大手であってもベンチャー系企業は避けて、その道で定評のある大企業・ブランド企業に就職することだ。

例えば、CFOであれば、ゴールドマン・サックス証券、モルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券、野村證券あたりが良い。職務内容はどこも似たり寄ったりだけど、結局、ベンチャーにとっては、「箔付」の意味で、有名企業出身者が望ましいからだ。

そうであれば、公認会計士で四大監査法人でIPOを沢山手掛けたという人の方が適職だったりする場合もあるのだが、ベンチャー企業には、「派手さ」「話題性」が欲しいので、ゴールドマン・サックス証券出身がベストなのだ。

CHOだと、リクルート出身が王道である。

CTOだと、その人の腕次第なのだが、最近のAIブームだと、東大の松尾先生の研究室出身というのは話題性があって良い。また、NRI出身の超エリートなども理想である。もっとも、現在では、大企業でもベンチャー企業でも優秀なエンジニアは引く手数多なので、十分な業務経験と実績があれば、大学名や企業名はそれほど問題にならないかも知れない。

CSOは、必ずしもどこのベンチャーにあるポジションではないが、「戦略」と名が付けば、マッキンゼー、BCGが理想である。

CMOにおいては、Marketingが何を意味するかにもよるが、B to Cであれば、P&Gあたりが一番いいだろう。

要するに、専門性+αの「箔付」「話題性」という観点から、そういった各分野で定評のある会社に行ってスキルを磨くのがいい。

以上を踏まえると、若いうちから、ベンチャーや起業によって勝負をしたいという就活生はいるだろうが、今はそのタイミングで無いかも知れない。しかし、急がば回れということで、しばらくの間はじっくりとCXOとしてのスキルを磨いて視野を拡げた上で、景気が回復したタイミングで勝負するのが手堅い方法では無いだろうか。

 

  • ブックマーク