1. 給与水準と安定性に惹かれて入社したが…
少子高齢化に伴う国内市場の縮小化、AIの進展による店舗や人の過剰化等、将来性について厳しい見方もある中で、その給与水準の高さと安定性、親世代における企業ブランドの高さなどから、まだまだ人気が高いメガバンクと生損保である。
しかし、業務の大半はリテール業務であり、市場関係のポジションに就けるのはほんの一部に過ぎない。
リテール業務の現場に出ると、結構キツいので、選択を誤ったと後悔する新入社員はいるだろう。
2. 20代であればまだまだやり直しが効く
もちろん、若い段階であれば諦める必要は無い。
メガバンクや生損保に入社できるような学歴と、企業名があれば、ポテンシャル採用で、やりがいや転職価値の高いポジションを見つけることも可能だ。
面白いことに、大手金融機関(リテール業務)の場合、30歳、40歳、と年を取ればとるほど著しく転職は難しくなるのだが、若いうちだと会社の名前がポジティブに働くようで、スキルは付かなくとも、今のように転職マーケットが良好であれば、コンサルを含め、多くの選択肢がある。
3. とりあえず、独立系VC(ベンチャーキャピタル)のイベントに参加しよう
大手金融機関に就職して、「しまった、失敗した!」と思った若手社員は、将来の方向性を考えるにあたって、一度、独立系VCが主催するイベントに参加してもらいたい。
独立系VCというのは、ジャフコ、大和企業投資、ニッセイキャピタルといった大手金融機関の子会社ではなく、独立した資本で、シードやアーリーステージの段階からベンチャー企業に出資をし、深く経営にも関与しつつ、ベンチャー企業を成長させ、キャピタルゲインを狙う投資ビジネスだ。
大手だと、GCP(グロービス・キャピタル・パートナーズ)、グローバル・ブレイン、WiLあたりが知られているが、こういうところは、出資単位が億単位であることも多く、それなりの規模のベンチャー企業に投資をすることが多い。
他方、インキュベイト・ファンド、サムライ・インキュベイト、スカイランド・ベンチャーズなどは、スタートアップという起業したばかりで何も売り上げが起っていない段階のベンチャー企業にも投資をしてくれる。
出資金額は、株式10数パーセントに対して、300~1000万円といったイメージだ。
こういったところは、とにかく、優秀な起業家をなるべく多く発掘したいという意欲が強く、対応も全般的に結構フレンドリーである。
無料なイベントも定期的にやっており、気軽に参加することができる。
SEEDS – Skyland Ventures — Skyland Ventures
4. 何故、こういったイベントに参加すると良いのか?
①自分と同年代の若者が頑張っているのを見てモチベーションアップにつながる
日本では、優秀層は外資、国内系を問わず、とにかく大手に流れがちである。
このため、若くして起業を志す者はまだまだ少ない。
しかし、グローバルでのカネ余り下における運用難、低金利ということで、ベンチャー投資に流れる金額は以前よりも増えてきている。
そのため、VCからの出資のハードルも下がり、それなりに、起業を志す若者も増えてきたのだ。
このようなイベントに行くと、一発当ててやろうというやる気に満ちた自分達と同世代の若者が沢山参加している。
そういう姿を見ると、自分も頑張らないといけないという気分になる。
②自分ならもっといいものができるのではないかと思う場合もある
ベンチャー起業家が集まるイベントでは、そのビジネスモデルや進捗状況を具体的に聞いてみて、「こういう企業でも出資をしてもらえるのか?」とか、「これなら自分でやった方がうまく行くのでは?」と考えることも少なくない。
それはそのはずで、ベンチャー投資というのは、1勝9敗の世界なので、先行する案件の方が少ない。従って、そう思ってもおかしくはない。
また、大企業に入れるような者の方が、潜在的な能力が高いという意見もある。
したがって、有名校から大手金融機関に就職できたのであれば、自分も何かできるのではないかという自信が付く場合もある。
③投資や経営戦略(ビジネスモデル)を考える契機となる
自分たちは大手金融機関にいるものの、リテール業務であれば、投資や経営戦略(ビジネスモデル)について、日常業務で触れることはあまりないだろう。
しかし、こういうイベントに参加することによって、投資や経営に対する興味を持てば、証券アナリストやUSCPAを勉強したりして、社内異動を狙ったり、転職のプラスにしようという意欲がわいてくるかもしれない。
そもそも、金融機関であれば、投資に関する専門スキルは磨いておきたいものだ。
④自分には大手が向いている(ベンチャーは無理)と認識する場合もある
反対に、このようなベンチャーのイベントに参加すると、「全部自分でやるのは面倒くさい」「自分はリスクが高いのは嫌だ」ということを改めて認識するかも知れない。
それはそれで構わない。その場合には、腹をくくって、今の大手金融機関で頑張るか、或いは、他の大手企業を狙うことになる。
何をやればいいかよくわからない状態より、自分の進むべき方向性が分かった方が対策が立てやすい。
5. イベントの後に考えるべきこと
VCのイベントで、ベンチャー企業や起業家に触れてみた後で、将来自分が進みたい方向性を認識できるようになればOKである。
それに応じて対応策が決まってくるからだ。
(1)今の大手金融機関で働き続ける場合
⇒社内異動のための資格取得
(2)転職を考える場合
⇒リクルート、JAC、マイナビ、エン・ジャパン等への登録
⇒ビズリーチへの登録
⇒Wantedlyでの応募
(3)海外留学を考える場合
⇒学校の検討(米国、欧州、アジア、国内、1年か2年か)
⇒予備校の検討
(4)起業を考える場合
⇒独立系VCのイベントへの継続的参加、個別相談
社会人になると、自分の職業に関係ある、ごくごく限られた範囲の世界しか見えなくなってしまう恐れがある。
そうすると、習得できるスキルも限られてしまい、転職価値・市場価値がどんどん年を取るにつれ下がってしまう。
このため、こういったイベントに参加をして、自分の将来のキャリアを見直してみるのも良いのではなかろうか。