1. CSRとは何か?
CSRという言葉をご存じだろうか?
Corporate Social Responsibility の略で、「企業の社会的責任」という訳され方をされている。
具体的には、企業も社会の一員として、社会貢献的な存在であるべきだという考え方で、法令遵守(コンプライアンス)、人権の尊重、環境保護、ボランティア、寄付活動等で企業目標などを定め、それに沿って営業活動をしていきますという指針だ。
EUがCSRに熱心であるが、他の地域にも浸透しつつある。日本企業だと、富士フィルム、ブリヂストン、KDDIあたりが比較的、このCSRに熱心のようだ。
2. 就活におけるCSRに関する留意点
就活においてCSRは、それほど重要ではない。何故なら、CSRは企業にとって儲かる話ではない。むしろ、コストのかかる話である。
したがって、企業側のホンネベースだと、面倒くさいが、世の中の流れだから、お付き合いしないといけない。だから、CSRに積極的な振りをしなければという場合が多い。
このため、就活生が企業のHPとかを見て、CSRに拘泥しすぎると、それがマイナスになる場合もある。この手のCSRというのは、見栄えが良くて、学生受けしたりする場合も多いので、注意する必要がある。
以下、企業のタイプ別に簡単な留意点をまとめてみた。
①B to B系、金融、コンサル、総合商社等
金融とか総合商社とかは、基本的に儲からないことには興味が無いので、ホンネだと、CSRとかはそんなに好きではない。しかし、リテール部門を抱えているので、それなりの見栄えのいいパンフレットやホームページを作ったりするケースがある。
結局、この手の企業の場合には、積極的にCSRに突っ込まない方が無難である。
何故かというと、「こいつは企業の実態をわかっていない」、「稼げる人材ではなさそうだ」、「ビジネスセンスが無い」、と思われるリスクがあるからだ。
だから、自分から聞かれもしないのに、「御社のCSR凄いですね!」と言って熱く語りださないように注意する必要がある。
②例外的にCSRに熱心な企業の場合
原則的な対応としては、上記①の通り、CSRについては自らツッコむなということであるが、例外もあるので面倒である。
何故なら、B to Cの会社で、ブランドや企業イメージが少なからず、会社の収益に直結するような企業もあるからだ。
例えば、外資系だとネスレ、エルメス、国内系だとソニー、資生堂あたりは熱心である。
この手の企業を目指す場合には、会社のホムペ等でCSRもチェックしておくべきだが、広報とかを志望しなければ、あえて自ら熱く語る必要は無いだろう。
3. ESGについて ~金融機関の場合~
投資運用の世界で、今、グローバルで流行しつつあるのが、ESGという概念だ。
ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)
の頭文字を取ったことばである。
これは、社会的に社会や環境面を重視する行儀のいい企業に投資をしましょう、あるいは、ESGに熱心な行儀のよい企業に投資をした方が長い目で見て高いリターンが取れるでしょうという考え方である。
当初は、運用会社等の金融機関は、「面倒なことを言っているな」というのがホンネだったのであるが、日本政府もESGを後押ししているので、ある程度真面目に取り組まざるを得なくなったというのが現状である。
中には、ESG投資を武器として営業を展開しようという運用会社まである。
現在はそのような複雑な状況であるが、外銀、証券会社、運用会社との面接の際には、あえてESGを自ら語らない方が無難であろう。知識としては、知っておくべきだが、ESGに傾倒しすぎると、儲けるセンスが無いとか、外銀には向いていないと思われるリスクがあるからだ。
CSRとかESGとか、ホンネとタテマエの狭間で面倒であるが、基本的には突っ込まない方が無難であろう。