1. 実はおススメの国内系証券会社のIBD職
とにかく、偏差値至上主義の下、プライドが高く自信満々の学生は、何も考えることなく、外銀・外コンを目指すことであろう。
しかし、内定を得るのが実は「無理ゲー」に近かったりする外銀と比べて、クビ・リストラになるリスクが圧倒的に低く、ワークライフバランスにおいても優れ、年俸水準も総合商社程度には高く、そして、頑張れば、中途採用で外銀に入ることも可能という、大変魅力的なところは、国内系証券会社のIBDである。
もちろん、採用人数がせいぜい1社20~30人程度の狭き門なので、リテール部門と違って、かなりの難易度あることは間違いない。
しかし、外銀と違って、ある程度の学歴の者が、相応の準備をすれば、内定をもらえるチャンスは十分にあるのではないだろうか。
2. 国内系証券会社のIBD職の内定のために必要なこと
就活ルールの廃止に伴い、就活のスタート時期は、早くなることはあっても、遅くなることは無いだろう。したがって、英語などのマスターするのに一定期間がかかるものについては、入学後早くから始める必要がある。大学3年生から就活が始まるようになると想定すれば、入学後早い段階から、以下の3つの対応をしておきたい。
(1)英語対策
(2)証券アナリスト(CMA)の少なくとも1次レベル3科目合格
(3)株式等への自己投資
(1)の英語については、実は国内系IBDの場合、それほど日常業務で使う機会が無いかも知れない。何故なら、従業員は日本語を話せる人ばかりだし、M&Aのディールといっても、国内企業が国内企業を売買するケースが多く、外資系と比べるとグローバル案件の比率は低いからである。
しかし、これだけグローバル化が叫ばれる中、英語ができないと、他の候補者に差を付けられてしまう。したがって、留学はMUSTではないが、少なくともTOEIC900点を目指して、最悪でも800点台にはしておきたい。
(2)の証券アナリスト(CMA)は、日本の金融機関限定であるが、実はかなりコスパの良い資格である。就活時期が3年の春~秋であることを想定すれば、2次試験まで合格している必要はなく、1次試験(3科目)に合格しておれば、良いだろう。OB/OG訪問時、面接時に証券アナリストの1次試験3科目に合格していたら、本気度が伝わって好感が持てる。
また、内容的にも将来IBDの職に就きたいのであれば、当然知っておくべき知識なので、やっておいて損はない。
費用も数万円程度なので、公認会計士のように、いきなり数十万円も用意する必要は無い。
https://www.saa.or.jp/cma_program/cma1/index.html
(3)の自己投資については、学生時代に力を入れたこと、志望動機に関してスムーズに伝えるための軸である。
「何故IBDか?何故君を採用すべきか?」という問いに対しては、「とにかく企業財務や市場が大好きです。だから、証券アナリストを勉強することで基本知識をつけつつ、少額の株式投資で、できる範囲で実践してみました。このため、自分には適性があり、モチベーションも高くフィットしていると思います」といった流れで対応しやすい。
また、最近は外銀IBDなどでもテクニカルな知識を聞かれることがある。
「最近気になったM&Aの事例を10個示せ」とか、「来年の日経平均株価の予想と理由」とか、「おすすめの銘柄と理由」とか、こういったことを聞かれると、準備をしているかしていないかで、大きな差が出てしまう。
少額でも自分のお金を投資すると、興味も沸くし、本気で勉強するようになる。
金利、景気、海外市場、商品市場、外国為替、政治・・・
といったファクターがどのように相場に影響するようになるか身をもって知ることができる。
3. 外銀は併願すべきか?
結論的に、併願すべきである。何故なら、最高に学歴・能力が高い学生が外銀に結集するため、いい刺激となるし、力試しの場となるからである。
また、外銀志望者も国内系証券会社のIBD職を併願する場合があるので、ライバルのレベルを知っておかないといけない。
もっとも、外銀が本命では無いので、数を受ける必要は無い。ゴールドマン・サックスとあと1社位で十分だろう。
4. 国内系証券会社のIBD職以外の、おすすめの併願業種は?
①国内系運用会社
まず、本命の併願先は、国内系運用会社であろう。例えば、早慶以上で、TOEIC860超(或いは留学あり)、証券アナリスト1次試験合格、株式投資を実践している、といったスペックを備えれば、まず、確実に国内系大手運用会社から複数内定を得ることができるだろう。
②総合商社
今は流行りであるので、総合商社の内定もできれば欲しいだろう。もっとも、総合商社も大手五社全部を受ける必要は無い。その人の好みに応じて、財閥系が好きなら、三菱商事、三井物産、住友商事、サイズが気になるなら、三菱商事、三井物産、伊藤忠、というパターンが1つ。
また、非財閥系が良いというのであれば、伊藤忠と丸紅というのもありだろう。
留意点としては、志望職種としては「コーポレート部門のファイナンス職」一本で行くべきであろう。そうすれば、国内系IBDの準備、シナリオをそのまま転用しやすいからである。
下手に、「資源やりたい」「インフラやりたい」といったところで、直ぐにメッキが剥げるので、そこは、コーポレート部門のファイナンス職で行くのが賢明であろう。
③外コンについて
自分に自信があり、学歴・地頭ともにトップであるという自負があるのなら、外銀・外コンを併願するのだろう。
しかし、国内系証券会社IBDを本命にするということは、そこまでの自信は無いということであろうから、外コンは避けるのが堅い。筆記試験、フェルミ推定、ケースという独自の対応をしないといけないし、トップ学生との切磋琢磨という点では、外銀を併願すれば十分だからである。
従って、外銀は捨てて、金融にフォーカスするのが良い。
最後に
学生の序列だと、外銀・外コン>総合商社>電博>国内系証券IBD、といった序列なのだろうが、例えば、野村證券のIBDだと、30歳のVPで1800~2000万、30後半のEDで2500~3000万、という年俸水準である。
これは、外コンや総合商社を上回る水準であり、また、そこへの到達可能性が外コンよりは遥かに高い。
内容の割には、人気が集中しておらず、狙い目のポジションなのできっちり準備をして内定を取りたいところである。