小学校から日能研に通って、有名校に合格したのに、何故学生は就活のための学習ができないのだろうか?

1. 同じ大学内における激しい就活格差の存在

少子化に伴う、子供一人当たりへの教育費の集中投下の影響なのか、特に東京における受験戦争は激しさを増してきている。

小学校の低学年からSAPIXとか日能研といった進学塾に通い、中学受験をする。

そして、中高一貫私立(或いは国立)校の6年間で、鉄緑会に通いつつ、東大、早慶、医学部を目指す。

このような長期間一生懸命家族単位で受験に注力してきて入った有名校なのに、何故か、受験以上に大事とも言える就活でまともに勉強しない学生が多いのか不思議である。

というのは、同じ学校内で激しい就活格差があるからだ。

例えば、東大経済学部でも、上は外銀・外コン・三菱商事総なめ組から、商社全滅組まで様々だ。

早稲田、慶応でも同様だ。

もちろん、コネ、体育会、学生の志向といったいろいろな要因があるかも知れないが、しっかりとした準備をした上で就活に臨む学生とそうでない学生との間には大きな差ができるのは明確だ。

2. 有力校の学生がまともに就活のための学習をしない理由

①息抜きをできるのは、このタイミングしかない

小学校からの長い長い受験勉強を経て、ようやく入れた大学である。就活開始までの数年間位はゆっくりと何もせずに遊びたい。こういった考え方は理解できなくはない。

また、20~30年前の世代は、これでやっていけたということもあるだろう。しかし、残念ながら、就活に失敗してしまうと、その後何十年と影響する可能性がある。ファーストキャリアで躓くと、取り返すのは至難の業である。

従って、息抜きしたい気持ちはわかるが、そうは言っておれない。また、就活の勉強と言っても、司法試験や公認会計士試験のような資格試験の勉強と比べたら、大した負担では無いので、全然息抜きできないということはないのだ。

②企業の求める人材の性質が変わってきた

20~30年前と比べて、日本企業の求める人材の質が変わってきた。

少子高齢化は明らかで国内市場の縮小は不可避なので、グローバルに稼ぐ能力が必要である。

また、テクノロジーの進展、途上国の台頭によって、決まったことを効率的に正確にやるだけでは、勝てなくなってきている。

反対に、現存しない新たな財・サービスを創造していくことができるクリエイティビティやそれを推進することができる人材が求められている。

このような観点から、グローバル人材、事業創造能力を有する人材が求められるようになり、近年採用基準が変わってきている。

例えば、有力校の体育会からは昔は総合商社はフリーパスで入れた時代もあったが、今では帰国子女の体育会とか、そういった人材じゃないと体育会でも人気企業に入れなくなってきた。

③情報の偏在

就活においては、塾・予備校・家庭教師といったものは存在しない。

インターネットの情報を拾って、同級生、先輩、他校の友人等に接触しながら就活情報を収集分析する他は無い。

このため、自力できっちりと行動できる学生と、何もできない学生との間では大きな格差がついてしまう。

3. 就活で求められる学習、準備活動とは何か?

①ネットでの公開情報は最低限度押さえること

CIAも情報の7割は公開情報から入手するとも言われている。

就活に際しては、少なくとも、公開情報は漏れなく押さえておきたい。

リクナビ、マイナビは学生の間で最も浸透している情報源であろうが、東大生はリクナビ、マイナビは使わないという。

その代わり、外資就活はほぼ全員の東大生が使用しているという。

外資系・日系トップ企業への就職活動なら「外資就活ドットコム」

これは特におすすめなのはMARCHの学生である。

彼らは、例えば、外銀・外コン・総合商社のOB/OGは少ないので、東大や早慶の学生に情報で差を付けられないように、こういった情報は漏れなくチェックしておく必要がある。

また、ワンキャリアというサイトにも、有用な情報が紹介されている。

就活サイトONE CAREER|就職活動に必要なインターン情報やES・面接・業界研究のコツが満載!

②英語力を磨いておくこと

外銀、外コン、総合商社と、皆が行きたがる業界は、全て英語力が必須の世界である。

総合商社は昔は英語は不要であったが、今は倍率100倍超の世界になってしまったので、英語ができないと早慶以上でも基本落とされる。

外銀以外は、英語で面接をされることは基本的に無いだろうから、完璧な英会話力までは求められない。

TOEICのスコアを作っておけば十分である。

本来は900点以上が望ましいが、最低でも800以上が取れれば何とかなるだろう。

受験英語を忘れないうちに、TOEICの問題集と、専門学校に短期間通えば十分達成可能である。

英語は就活時に限らず、将来の転職力を考える上でも重要な武器となるので、学生のうちに対応しておいて損はない。

③企業分析をしっかりと行う

昔は、企業が具体的にどういった業務を行っているかについては、学生は知らなくても仕方がないよという時代であった。

しかし、今は四半期ごとの情報開示により、公開の企業情報が充実している。

また、人気企業は学生のビジネスセンス、やる気、志望動機との一貫性等自社の企業分析が十分できている学生を選好しがちだ。

学生も企業分析は行わないといけないということは重々承知しているようだが、やり方がわからないのか、企業分析は苦手なようだ。

これは、企業は、どういった事業分野で、どのような競合企業と競争し、どういった戦略で対応しているのかということだ。

例えば、総合商社の場合、各企業ごとに事業ポートフォリオと戦略課題が大きく異なるので、それを十分踏まえた上で、自分自身の希望と適性を語る必要があるということだ。

これが良くわからなければ、成功しているビジネスマンに聞いてみるのが良いだろう。

④自分自身の「軸」を固めておく

人気企業で志望理由や志望部門を聞かれた際に、「どうしてあなたが当社(或いはその部門)に向いていると言えますか?」といった質問をされることがある。

その際に、普遍的に対応できる自分自身の「軸」を作っておくことが必要だ。

それは言い換えると、自分が「好き」で「勝てる(競争力がある)」ことは何かについて考えておくということだ。

そのためには、単なる塾や飲食店のバイトとか、サークルやゼミの代表ではあまり競争力はつかない。

そこで、自分が好きで自身のある分野・経験を創造・発見して行かなければならないのだ。

といっても、そんなに大げさなものが必要なわけでは無い。

海外に短期留学してある程度の英語力が身に付けば、「グローバルコミュニケーションが好きで、英語が得意で、外国人の学生をリードして〇〇の研究を行った」とか、「相場や企業分析が好きで、証券アナリストの1次試験に合格しており、他の学生以上に、証券分析には自信がある」とか、「ネットに関するニュービジネスが大好きで、自ら、アフィリエイトサイトを作って、月〇万円位稼ぐことができる。」とか、自分が好きで得意なものを見つけていけばいい。

しかし、こういった「軸」は就活直前になってゼロから見つけるには時間が足りず、結局、付け焼刃的なゼミ、バイト、サークルと言った月並みな「軸」しかできないことになってしまう。

最後に

厳しい受験戦争を勝ち抜いてせっかく入った有名校なのに、就活に失敗してしまうと元も子もない。

最初の就職先(ファーストキャリア)の失敗をひっくり返すのはそれ以上の労力を要する。

それほど難しいことが求められるわけではないので、入学後早い時期からコツコツと就活の準備をしたい。

そのためには、まず、適切な情報収集をすることである。