1. 何故、早稲田と一橋の学生か?
早稲田と一橋に限らず、三菱商事を真剣に志望する学生は、「三綱領」と「岩崎彌太郎物語」は把握しておく必要があるのだが、特に、早稲田と一橋の学生は要注意である。
その理由は、両校ともに、就活において、ライバル校である東大と慶応に押されがちだからである。
東大・慶応と比して、早稲田・一橋は外銀・外コンの内定者数で大幅に負けている。
別に、それは学生の志向だから関係ないと言えばそれまでだが、最難関の就職先が外銀・外コンであるのは事実なので、ここで見劣りすると学校のレベルにつながってくるのである。
そして、総合商社の中でも、ナンバー1ブランドの三菱商事は、別格であり、その内定者数が、学校のレベルを表していると見ることも可能である。
これは、東大合格者数で進学高校をランク付けするのと同様である。
早稲田も一橋も、三菱商事の内定者数をもう少し増やすことは可能であるから、ここでは基本に充実に盛り返して欲しいものである。
(なお、一橋が三菱商事と三井物産で苦戦していることについては、この過去記事をご参照ください。)
2. 「三綱領」とは何か?
三綱領とは、三菱商事の企業理念であり、今でも三菱商事がビジネスを展開する上で、また地球環境や社会への責任を果たす上での拠り所となっているものである。
旧三菱商事の初代会長の岩崎小彌太の発言を基に、会社の原点を示すものとして、1934年に制定された。
具体的な内容は、わかりやすく三菱商事のHPで紹介されている。
www.mitsubishicorp.com
とりあえず、三綱領とその意味はすらすら言えるようにしておこう。
3. 何故「三綱領」を押さえることが重要か?
①三菱商事の伝統とプライドを考える
三菱商事は、ネームバリュー、規模、伝統において、総合商社の中でも文句なしのナンバー1企業である。
最近は早くに辞める若者が増えたという話はあるが、基本的に終身雇用であり、社員の「三菱商事」に対する思いとプライドは強い。
従って、他の会社の形式的な、お題目に過ぎない、企業理念とは違って、三菱商事の「三綱領」は実質的にも重要な企業理念、原点なのである。
②実は「三綱領」は今の時代の流行りにフィットしている。
それから、おべんちゃらでも何でもなく、「三綱領」は今の時代に極めてフィットしているのである。
今はグローバルの投資家の間で、CSRやESGというのが流行っているが、「三綱領」はまさに、80年以上前に、その内容を先取りしているのである。
例えば、新たな投資対象を行う国・地域の発展と住民への配慮、環境問題への取り組みといったところは、まさに、現代の企業が問われているテーマである。
「三綱領」の先見性と、社会・環境に配慮をするという哲学は、賞賛に値するものなのだ。
③良好なコスパで他の学生に対する差別化要因となる
学生の目的は、三菱商事から内定をもらうということであるが、「三綱領」はわずかHP1頁位の分量で、結構いい内容、就活のOB訪問、面接で参考になるヒントが散りばめられている。
漢字4文字×3なので、覚えるのは簡単だし、わかりやすい解説をHPで書いてくれているから、優秀な学生であれば、難なく自分のものにできるだろう。
「三綱領」をサラリと、自分の発言に散りばめることができれば、キラリと光る存在になれるだろう。
4. 「三綱領」に触れる場合の留意点
「三綱領」は、魅力的な企業理念であるが、だからと言って、浅い準備で容易に共感すべきではない。
例えば、「三綱領について共感しました!」とOB訪問で語れば、「どこがどういう風に共感した?」と必ず突っ込まれるから、その時に、「・・・」となって、薄っぺらいコメントしかできないようではマイナス評価になってしまう。
そこで、「三綱領」を使うのであれば、自分自身の言葉でスラスラと語れるようにしておかなければならない。
例えば、志望理由のあるある質問で、「何故、商社の中で三菱商事か?」というのがある。
それに対して、「三綱領」を使うのであれば、「三綱領に表れている企業理念の質からして、物産や伊藤忠とは異なります。
『初期奉公』では、社会性、地球環境重視という考えが示されていますが、それらはまさに現代のCSRやESGの概念を先取りしたものです。
それを80年以上前から行動規範として取り入れていることの先見性には驚愕します。
『処事光明』で意味する透明性、ディスクロージャーの概念も明らかに時代を先取りした視点であります。
そして、『立業貿易』のグローバル経営の概念は、一貫して、商社に留まらず事業会社・金融機関を問わず、共通の戦略課題であります。
三菱商事が長期間、途中、厳しい時代もありましたが、トップ企業であり続けた原動力として、この哲学があることは他の企業にない強みと言えるでしょう。」
といった程度をサラサラと答えると、知識ではなく、誠意ややる気を評価してもらえるだろう。
なお、その際には、他社の企業理念もチェックしておくこと。
また、上の説明をコピペしないこと。
自分の頭で考えて、自分なりの考えを言うようにしないと、ボロが出やすくなるからである。
5. 岩崎彌太郎物語
こちらも一通り、目を通しておくと良い。こちらはボリュームもあり、暗記する必要は無い。
読み込んでいく中で、気になるエピソードがあれば、メモをして、理由付けして覚えておくといいだろう。
最後に
「三綱領」にはいろいろなヒントが詰まっている。
三菱商事を真剣に目指す学生は、何度も読み込み、自分なりの考えをスラスラと言えるようにしておけば武器になるだろう。
但し、薄っぺらい理解だとかえってマイナス評価につながりかねないので、他社の企業理念とも比較の上、突っ込まれても問題の無い準備をしておこう。