総合商社等の人気企業の就活や、外資系企業の中途採用でも問われる「リーダーシップ」について考えてみた

1. 意外によくわからない「リーダーシップ」という言葉の意味

①外資系企業の中途採用でも質問される「リーダーシップ」

外資系企業の中途採用と言うのは、完全な経験者採用であるので、抽象的な志望動機とか自己分析とか、新卒で問われるような面倒なことは聞かれない。

転職の理由、具体的な職務内容、年収等の条件といった極めて限定的なことについて話をし、人柄とかを判断して決めるプロセスだ。

このため、外国人から「リーダーシップ」について意表をついて質問されると、回答を準備しておらず当惑してしまう候補者は少なくない。

「リーダーシップ」は、どちらかというと、外国人が好きな質問なので、中途採用でも準備しておきたいテーマだ。

②新卒採用において問われるリーダーシップ

新卒採用の場合は、「リーダーシップ」についての質問は、中途採用以上に頻繁に聞かれるテーマなので、何らかの準備を学生達もしているだろう。

しかし、学生達の「リーダーシップ」に関する対応は正しいのだろうか?

100人規模のサークルで副代表としてみんなを引っ張りました。」というありがちの対応は、率いた人数の多さがリーダーシップを図るものと考えているということだろうか?

「飲食店のバイトで新メニューについて店長に提言し、その結果、来客数が増えました。」というタイプのものは、「提言する」ことがリーダーシップだと考えるているのだろうか?

2. まず、自分なりの「リーダーシップ」の定義を的確にしておこう

①「リーダーシップ」の定義は実は多様である

ググってみるとわかるが、「リーダーシップ」の定義は結構多様で、ドラッカーとか有名人の定義もあるが、必ずしもピンと来るものではない。

そこで、自分なりに使い易い、腹落ちしやすいものを用意しておけばいいだろう。

なお、私の場合は、以下のように理解している。

(1)明確なゴール(目標)を設定し、

(2)周りの人とそのゴール(目標)を共有し、

(3)自ら率先して周りの人とゴール(目標)を実現すること

と考えている。

これの元ネタは、元マッキンゼーの採用担当者の伊賀泰代さんのベストセラー「採用基準」である。

これは「採用基準」というより、「リーダーシップ」について凄くわかりやすい説明がなされており、大変おすすめである。

これだけ押さえておくと、外資系の面接で「リーダーシップ」について問われると、上記のフレームワークだけで万全な対応ができ、大変重宝した。

今だと、ブックオフとかメルカリで安く買えるので、学生にもおすすめである。

https://www.amazon.co.jp/採用基準-伊賀-泰代/dp/4478023417

②上記の定義を基に、ありがちな学生の対応について考えると

定番の100人規模のサークルの副代表について、突っ込んでみる。

まず、「100人」だが引っ張る人数の多さは、リーダーシップの本質ではない。

何故か?

別に、日本企業であっても、外資系でも、管理職が持つ部下の数というのは数人程度と言うことは少なくない。

きっちりと数人の部下を率いて自分の部署の目標を達成できればいいわけであって、人数が多ければいいというわけではないのだ。

そもそも、どんな組織でも100人も引っ張る立場というのは、執行役員クラスであり、それを発揮できる機会はずっと先の話だ。

そうであれば、数人のゼミ生と共同研究に注力し、何らかの成果を上げたということを地道に説明する方が優れたリーダーシップなのだ。

それから、勘違いされることが多いのだが、リーダーシップと言うのは管理職だけに適用されるスキルではない。新卒社員だって、バイトだって、上記①の定義を満たせばリーダーシップは発揮できるのだ。

だから、肩書を盛る必要は無いのだ。

あと、大切なのは、何らかの共通ゴール(目標)が必要と言うことだ。

サークルの話が刺さらない理由はここにある。

「引っ張る」というけど、何のゴール(目標)に向けて引っ張るというのが無いと、ただ集まっていただけになる。

この点、体育会とかだと「箱根駅伝シード権獲得」という明確なゴール(目標)があるので、説得力が違ってくるのだ。

その点、飲食店のバイトでのメニュー提言の方が、まだいい線いっている。

まず、飲食店なので、「来客数拡大」「売上拡大」という目標は明らかに存在するからだ。

もっとも、これだと暗黙の了解の目標に過ぎず、「売上10%アップ」という明確な目標を立てる必要がある。

(バイトがそれをやる立場にないので、ここまでいうと嘘っぽいが…)

そして、「売上拡大」という目標に向けて「新メニューの提言」という自らアクションを取っている点も良い。

このエピソードで欠けていることは、「周りを巻き込んでいない」ということである。

共通目標に向かって、(自分一人だけでなく)周りを巻き込んで行動を起こし、結果を実現するというのがリーダーシップなので、この要素を盛り込む必要があるのだ。

このため、一人だけで籠って、素晴らしいプログラミングをしたり、或いは、天才的な営業力で単独行動により注文を取るというのは、優れた才能であるが、周りを巻き込んでいないので、リーダーシップという点においては優れているとは言えない。

③リーダーシップをアピールし易いネタとは?

人によって得意・不得意があるので、これに限られたわけではないが、起業とかガチでのベンチャー企業でのバイト経験なんて、リーダーシップを語る上での良いネタに使えそうだ。

何ぜなら、ビジネス系なので、そこには明確な「目標」が存在する。

そして、起業だと共同創業者、バイトだとベンチャー企業の人達と言う周りの人々と一緒に同じ「目標」に向かう構造となっている。

そして、否が応でも、ビジネスとなると、自分自身は何らかのアクションを取るだろう。

したがって、如何に「周りの人を巻き込めたか」(自分が単独で突っ走ったのではなく)という点のロジックを詰めることができれば、流れの良いエピソードを作りやすいのだ。

或いは、ビジネスじゃなくても、留学とかだと「グローバル」という切り口が入るので、「グローバル人材」という企業ニーズに合うし、なかなかカッコいいものができる。

その際の留意点は、「目標」の明確化であり、ただ一緒に勉強した、

交流しましたでは不十分だ。

例えば、「日本の実態を理解してもらう」という目標の下、外国人の学生を引っ張って、「ジャパンツアー」を実行したというのは、なかなかのものである。

最後に

「リーダーシップ」というのは、そこそこ成功している社会人でも正確に理解している人は必ずしも多くない。

また、将来、中途採用の面接でも問われることがある。

従って、就活の機会に、きっちりと整理・理解しておくことは有用である。

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