1. 早稲田と一橋は、外銀・外コンで存在感に欠ける?
①トップ校の中でも、東大と慶応が圧倒的な外銀と外コン
21世紀に入り、リーマンショックを経ても、学生の就活における、最高峰・最難関は外銀と外コンである。
内定者の大半は東大と慶応であり、京大、早稲田、一橋、上智、ICUがパラパラみられる程度である。
早稲田はマスコミを目指す人が多いとか、一橋はのんびりしているのかも知れないが、東大、慶応と比べて、外銀・外コンにおける存在感が乏しいのは事実であろう。
②高校の評価は東大進学者数で決まるので、外銀・外コンへの就職者数は無視できない?
高校の評価は東大進学者数で決まってしまう。
(或いは、マイナーだが医学部進学者数というのもある)
京大とか阪大、早慶への進学率等、実質的な進学率の高さを示す統計は他にもあるだろうが、わかりやすさ・インパクトから、メディアは東大への進学者数のみにフォーカスしがちである。
就職先はその人の価値観であるので、上下とか偏差値は無いのだというのは正論だが、あながちそういう風に割り切れるわけではない。
就活生はそこをシビアに見ているので、外銀・外コンへの就職者の動向は重要であって、早稲田と一橋ももう少し頑張りたいところである。
③三菱商事への内定者数も参考になる
大学別の外銀・外コン内定者数については、明確な開示情報は無いので、正確なところはわからない。
他方、総合商社については開示情報がある。
総合商社の中でも、三菱商事は規模・伝統・名声においてトップであり、外銀・外コン内定持ちの学生の中には、三菱商事のみ内定が欲しいという者も少なくない。
外銀・外コンで存在感に欠ける早稲田と一橋は、三菱商事でも、差を付けられている感がある。
慶応 VS 早稲田
⇒39人と27人で慶応の圧勝。
東大 VS 一橋
⇒24人と9人で東大の圧勝。
外銀・外コンは特殊なので「趣味の問題」と言うこともできるが、普遍的に、どんな学生からも人気の高い三菱商事において、学生数等を考慮しても、早稲田と一橋はライバル校に差を付けられた感が見えてしまう。
2. 最初の就職先(ファースト・キャリア)の重要性
①最初の就職先がその後のキャリアを決めてしまうおそれ
中学受験で失敗すれば高校受験で、高校受験で失敗すれば大学受験で逆転すればいい。したがって、就活で失敗しても、その後に転職で盛り返せばいいということになる。
しかし、受験の失敗と違って、就活の失敗を逆転するのは難しい。
何故か?
入学試験はピュアに学力だけの勝負なので、各自が頑張ればいい話である。
しかし、転職については、
・所属している企業のネームバリュー
・職種と実績
が判断要素となる。
企業のネームバリューは自分の努力ではどうしようもない。
大学入試で高校のネームバリューによって差別されないのとは異なり、転職においては企業のネームバリューがものをいう。
また、職種と実績については、配属先は保証されないのが日本の新卒採用である。
従って、こちらも自分の努力だけではいかんともしがたい。
例えば、外銀に落ちてしまい、メガバンクのリテール部門に配属されてしまうと、英語力は身に付かないし、リテール営業を頑張っても、それはIBDやトレーディングで評価されるものではないからだ。
そして、時間が経てば経つほど、転職価値は下がっていってしまう。
②転職で逆転するのはものすごく大変
もちろん、就職で失敗しても、例えば、中途で外銀・外コンに転職することも可能である。
しかし、そのためには、有力校でMBAを取らないと厳しかったり、入学できるにせよ、費用と時間とそのための準備がかなり大変である。
そういった苦労をするのであれば、就活時点で頑張っておけば良かったのであるが、そんなことを言っても始まらない。
中途採用で逆転するには、今いる会社で頑張ればいいというわけにはいかないので、物凄く苦労することを覚悟しなければならない。
③反対に、上から下への転職はそんなに難しくない
「企業に上も下も無い!」というタテマエ論は置いておいて、
先ほどの、下から上への転職が大変なのに反して、逆に、上から下への転職は難しくない。
例えば、外銀・外コンで疲れて、総合商社や国内系証券会社に20代で転職する人はいるが、そういった場合には、MBAを取る必要も無いし、レジュメの競争力は高いので、特に難しい話ではない。
このように、最初の就職先はその後の転職価値も決めてしまうところがあるので、就活段階で先々を考える必要があろう。
3. 外銀・外コンに挑戦する意味
早稲田や一橋の学生で、明確にここに行きたいという企業があるのなら、別に無理して外銀・外コンに挑戦する必要は無いだろう。
しかし、特にどうしても行きたい業種・職種が決まっておらず、Ambitiousな学生は、外銀・外コンに挑戦してみる価値はあるだろう。
その理由としては、
①英語力を結果的に高めておくこととなる
②優秀な学生達と切磋琢磨できる
③視野を高め、就職後のキャリアを考える上でのプラスになる
からである。
まず、英語は一旦社会人になってしまうといろいろ忙しく、なかなか学習することが難しく意欲も落ち気味である。
しかし、少子高齢化に伴い国内市場の縮小という環境下、グローバル人材に対する需要は高く、早いうちに手を打っておくに越したことはない。
また、インターン、GDなどを通じて、他大のトップクラスの生徒たちと競争しておくのは自分自身の能力も磨かれ、いい機会だと思われる。
そして、他の企業を受ける上での自身にもつながりやすい。
3つ目は、外銀・外コンは日本の大手企業とは異なる特殊な世界であるので、一旦就職してしまうとなかなかお目に掛かることができない。
社会人になると、視野の広さと言うのが重要であり、それはビジネスアイデアにも反映されるものなので、なるべく多くの世界を知っておくことが重要である。
その意味で、就活プロセスの中で自ら挑戦することによって、その世界を垣間見ておくのは意義がある。
以上より、早稲田や一橋の学生も、もっともっと外銀・外コンに挑戦してみてもいいのではないだろうか。