【年収チャンネル】株本さん率いるStockSun㈱の企業価値が100億円を越える日が遠くないと考える理由

1. そもそも、どこから100億という数字が出てくるのか?

①まずは、会社(StockSun)の利益を計算してみる。

StockSunの月間営業利益が1000万円を越えたということである。

StockSunの利益≒株本さんの給料と捉えることもできるので、1000万円の範囲内で、株本さんはStockSunの企業としての利益を決めることができる。

仮に、2割の200万円を株本さんの給料とした場合、残りの8割である800万円が会社(StockSun)の利益となり、

企業価値評価で使うのは年次の利益なので、年換算すると、約1億円となる。

そして、企業価値評価をシンプルにPERベースで行うとする場合、算定の基礎となる利益は、税引利益なので、実行税率40%として、1億円×(1-40%)=0.6億円となる。

②PERが、PKSHAテクノロジー、HEROZ並みであれば既に100億達成

企業価値評価は、PERベースで行う場合、上記①の税引利益0.6億円にPERを掛ければ、StockSunの企業価値が算出される。

なお、東京証券取引所の平成30年10月時点での統計によると、東証上場企業の平均PERは、16.7倍、東証マザーズ上場企業の平均PERは、85.9倍、となっている。

そして、東証マザーズ上場企業の中でも、AI関連として人気を集めるPKSHAテクノロジーのPERは、195倍、HEROZのPERは、160倍、となっている。

(※Yahoo!ファイナンスより)

ということは、もし、仮にStockSunがPKSHAテクノロジーやHEROZ並みに評価されるとしたら、0.6億×160~195倍=96~117億円となり、既にStockSunの企業価値は100億ということになってしまう。

と言うと、株式投資や企業価値評価を少しでも知っている人達からは、「創業1年ばかりの企業がそこまで高く評価されない」「AIのトップランナー企業として注目されたPKSHAテクノロジーと同じわけがない」「そもそもStockSunは非上場だから流動性ディスカウントがある」と非難されるだろう。

確かに、PER150倍超えは異様な例外的な高さであるので、現時点ではこれをそのまま適用できないだろう。

しかし、東証マザーズ平均の85.9倍を使ったとしても、51億円となる。

StockSunの利益は増加傾向にあるので、PERは東証マザーズ平均を使うにしても、年間税引利益が順調に拡大し、2倍の1.2憶円になれば、やっぱり、StockSunの企業価値は100億円を超えてしまう。

(流動性ディスカウントの必要はあるが)

③非上場企業としての評価でも100億円越えは遠くない?

上記②の評価は、上場している企業の企業価値評価であり、上場すると企業価値評価にうるさくない個人投資家が入ってくるし、流動性ディスカウントが無くなるわけなので、東証マザーズの平均PERでは評価してもらえないよというのは正論である。

しかし、グローバルな低金利、カネ余りによる投資対象不在の環境下、金融機関も事業会社も、目新しい投資対象が出ると、考えられないような企業価値評価でベンチャー企業を評価することがしばしば見られる。

例えば、昨年10月に、持ち物現金化アプリ「CASH」の運営会社バンクを、DMMが70億円で買収した件をご存じだろうか?

「CASH」(運営会社はバンク)は設立わずか8か月の会社である。利益などあるわけがない。

それでも、ユニークなビジネスモデルに共感したDMMの亀山会長は70億円で買収を決めたのである。

(もっとも、買収は大失敗に終わったが…)

DMMが70億円で「CASH(キャッシュ)」運営のバンクを買収 | TechWave(テックウェーブ)

スーあぱーフリーランス集団という十分なユニークさを持ち、バンクとは違い、高い収益性を誇るStockSunに同じようなことが起こらないとは言い切れるだろうか?

また、料理動画サービスのクラシル(運営会社はdely)を、今年の7月にヤフーが株式の一部(29.6%)を約93億円で取得した。

この時の想定時価総額は何と300億円である。

しかも、クラシル(運営会社はdely)は売上3億円で利益は30億円の赤字の会社である。

ヤフーからしたら93億円は、はしたカネかも知れないが、大いに賛否がわかれるディールである。

ヤフー、レシピ動画「クラシル」のdelyを連結子会社化、株式取得総額は約93億円 | TechCrunch Japan

もちろん、StockSunはCASHでもクラシルと同じではない。

しかし、少なくとも言えることは、今の時代、ネット系で尖った個性を持った会社は、とんでもない高値で評価される可能性はあるということだ。

StockSunはネット系かつ尖った個性を持った会社であるので、とんでもない高値で評価してもらう可能性を高めるための具体的な方策について、以下、考察したい。

2. ユニークさを際立たせる ~投資家・買い手向けの非公開企業IRの強化~

①非公開企業のIR対策の勧め

実は、東証マザーズに上場しているネット系の企業の利益水準は、せいぜい数億円位が多く、赤字企業がゴロゴロある。

企業価値は、(税引)利益とPERの掛け算という2つのファクターで決まるが、ネット系企業の企業価値は、結局、利益よりもPERに左右されることが多い。

(なお、赤字企業は、売上とPSRの掛け算という2つのファクター。PSRについてはこちら。)

野村證券 | PSR(証券用語解説集)

PERというのは投資家からの人気であり、人気度を上げるには、面白さ、ユニークさ、個性、将来性、話題性といった様々なファクターを磨いていくことが求められる。

ある意味、アイドルの人気度を上げる施策と同様の、アートであり、センス、感性で左右される難しさがあり、マニュアル的な対応では成果が出るとは限らない難しさがある。

PER(或いはPSR)は株価を決定する非常に大切なファクターなので、IPOを目指すネット系ベンチャー企業にとっては、PER(或いはPSR)を高めるためのIR活動に注力しているのである。

(もっとも、本物のIRのプロを擁するネット系ベンチャーは少ないが…)

他方、IPOを目指していな非公開企業は、IR要員はおらず、企業価値向上に無頓着な場合も少なくない。

昨今では、非公開企業のM&AによるEXITが活発化しているので、正しいIR施策によって、PER(PSR)向上を実行し、利益(売上)以上の企業価値評価をしてもらうのが賢いやり方である。

そこで、潜在力の高いStockSunの場合は、非公開企業としてのIR諸施策を実行し、企業価値を極限まで高めれば、ますます面白いことが将来できそうな気がする。

②StockSunの個性、「フリーランス・モデル」を軸に攻める

会社としての個性をIR的にアピールするには、複数の売りを並べるよりも、1つ2つの特徴にフォーカスした方がいい。

PKSHAテクノロジーの場合は、「東大初・ガチの人工知能ベンチャー」、「トヨタも出資。AI開発」、という売り込み方・アピールの仕方が大成功した。

AIを軸として、「東大」「トヨタ出資」という修飾語を付けて、シンプルかつimpreressiveな攻め方をしているのだ。

StockSunの場合は、「フリーランス」を軸に攻めるのがいいだろう。

何と言っても、ASSIST、NewsPicksに取り上げられた際のキーワードがこれであり、わかりやすくてインパクトがあるからだ。

実は、自分は先日、StockSunの本当の特徴はフリーランスではなく、営業力とHRMだというブログ記事を書いたが、それじゃあ伝わりにくいので、敢えてフリーランスで攻めるのだ。

IRとはそういうものなのだ。

https://career21.jp/2018-11-27-091057

何故、フリーランスというのが刺さるかというと、サラリーマンにとってフリーランスというのは憧れだからだ。

メディアの人もサラリーマン、買い手の大手ベンチャー企業の決裁権者もサラリーマン。フリーランスというものに憧れる。

他方、フリーランスというのは儲からない、不安定なイメージが強い。

それなのに、StockSunは高収益で、高年収。

そのミステリアスなところに、サラリーマン達はますます惹かれるのだ。

③「フリーランス・モデル」の尖らせ方

フリーランス・モデルの尖らせ方は、まず単純に、既存の数字を上げることである。

ASSISTに取り上げられた見出しでは、「平均年収1500万以上。」という修飾語が付いている。

これを、「平均年収2000万以上。」とか「年収1億円も!」という修飾語にすれば、ますます注目度は高まる。

日本人は年収ネタが大好きなので、必ずそこに目が行ってしまう。

また、この後にスーパーCTOが加入されたので、テクノロジーをアピールするのが良い。「数々のスーパーエンジニアを抱えるスター軍団」といった修飾語をつけると、投資家は喜ぶ。

確かに、Webコンサルティングというは別にテクノロジーだけで戦うものではないが、あれこれいうよりも、特にテクノロジーというのが好まれる。

実は、東大・ハーバード出のファンドマネージャーも技術には詳しくないので、テクノロジーに対する憧れが強い。

一般投資家となるともっとひどく、「AIファンド」「ロボットファンド」といった投資信託がバカ売れしてしまっている。

実は、投資家のテクノロジーへの憧れが強いのはアメリカも同じで、新しいテクノロジーに優位性のある企業は高評価されがちである。

そういうわけで、敢えて「テクノロジー」に強いタレントを強調するというのが、賢い方法である。

3. 業務内容をenhanceすることによる企業価値向上策 ~対顧客向けの企業価値向上策~

上記2では、IR、主として投資家・買い手に向けた企業価値の向上策について触れた。

これは、企業の外観、イメージを向上させるための施策であり、顧客向けサービスを向上することにつながるわけでは無い。

外側・イメージだけを磨いても、顧客からの評価、利益が向上しなければ、結局のところ、長期的には企業価値は下落してしまう。

そこで、ここでは、StockSunの内面、或いは、対顧客向けの企業価値向上策について考察してみる。

自分はWebコンサルティングの専門家ではないので、既存ビジネスではなく、付加できれば企業価値が向上すると思われる項目について紹介する。

①リスク管理態勢の強化について

リスク管理というのは、オペレーション・リスク管理、法務・コンプライアンス対策、BCP、サイバー・セキュリティ等を含む、企業経営に関するリスク管理全般である。

「内部管理態勢」「内部統制管理」といった言い方をする場合もある。

IPOを目指しているベンチャー企業にとっては、東証の審査項目なので、必ず何らかの手を打たないと行けないのだが、非公開ベンチャー企業だとあまり気に留めないものである。

何故、StockSunがリスク管理態勢(内部統制管理)を強化し、強みとできれば面白いかと言うと、以下の理由による。

(1)競合には無い能力・機能を習得できる

Webコンサルティング業者に限らず、ベンチャー企業と言うのは、イケイケどんどんで、売上向上、規模拡大、利益向上、PV向上、CTR/CVR改善といった、「攻め」ばかりに注力し、リスク管理・内部管理といった「守り」には関心が低い。

だからこそ、StockSunが「うちはリスク管理に気を使っています」というと、ぐっと質的に差別化できるのである。

優れたクルマ、フェラーリ、ポルシェ、ベンツ、BMWはスピードは出るが、ブレーキも凄く効きがいいと言われる。

サッカーチーム、野球チームでも、強いチームは守備力も高い。

それにも関わらず、企業の場合は、営業ばかりでリスク管理が弱い会社が少なくない。

WELQでコケたDeNA、サイバーセキュリティでコケたコインチェック。ベンチャー系は一般に管理が弱いとされている。

他方、金融はリスク管理に厳しい業界なので、コスト部門に関わらず、ゴールドマン・サックスなんかは、リスク管理や社内弁護士に莫大なお金をかけている。また、ヘッジファンドなんかも、コンプライアンス・スタッフに4000~5000万円払っている。

(2)将来的に顧客向けサービスの質を高めることができる

企業活動が拡大するに連れ、何らかのリスクに直面することがある。

規模が拡大するとオペレーションが回らず苦情やサービス低下につながったり、従業員による不正が生じたり、知的財産関係その他で法的リスクが生じたり、情報漏洩の問題が生じたり、様々である。

StockSunのクライアントも、武田塾にせよ、脱毛サロンにせよ、小さくない規模になってきている。

何らかのタイミングで、リスク管理・内部統制管理といった切り口は成長過程のどこかで生じてくることが考えられる。

そこで、リスク管理に関する知見も示せると、ますます「StockSun凄い!!」となるのではないだろうか。

具体的には、EYとかデロイトあたりがこういうサービスに強いので、どっかのタイミングで費用計上してやってみるのがいいだろう。

また、いざという時に備えて、早いタイミングで優秀な弁護士を探しておくというのも悪くないだろう。

専従スタッフを雇う必要は無いので、固定費ゼロモデルは継続できる。

②金融ノウハウの具備 ~M&Aの「売り」で儲けるスキルを持つ~

ベンチャー企業で、大型の資金調達に成功した野心溢れる企業の場合は、ハイスペックの外銀出身CFOが存在したりするが、企業の金融ノウハウ自体は特にない企業が多い。

ここでいう金融ノウハウとは、端的にM&Aの「売り」で儲けることができるスキルと考えよう。

日本の場合、大手企業もベンチャー企業も、M&Aには「売り」と「買い」の2つがあるにも関わらず、何故か「買い」しか考えない経営者が多い。

M&Aの買い手は、通常の企業価値に3~4割上乗せした価格を買収価格として支払うこととなる。この3~4割の上乗せ分を買収プレミアムとかコントロール・プレミアムと呼んだりする。要するに、買い手は経営権を取得することができるので、その対価としてのプレミアムということだ。

ということは、M&Aの買い手は、初っ端から3~4割ものハンディを負った上で、買収企業の経営をスタートすることになる。

デフレ・低成長の日本において、3~4割もの上乗せ分を事業で取り返すのは大変で、よほどのシナジーを出せないと大抵損することになる。

反対に、M&Aの売り手は労せずしてこの3~4割のプレミアムを享受することができる。

外に向けては絶対に言わないが、M&Aの専門家は、M&Aは買い手よりも売り手が得することの方が多いということを知っているのだ。

従って、StockSunも、M&Aの「売り手」として儲けることができるようになればますます、企業価値は向上するだろう。

このスキルは、Webコンサルティングの顧客に対するアドバイス能力の向上にもつながる。

Webサイト自身が売買の対象となるし、Web事業を会社ごと売買することもあるだろう。

Webサイト、あるいはWebサイトを包摂する事業は、顧客にとっては資産であるので、その売却価値を高めるようなアドバイスができるということは、顧客にとってより良い価値を提供できることになるということだ。

具体的には、StockSunの下に、顧客事業とは無関係に、実験的にWeb事業を中心とする株式会社を作っておいて、それをきれいにして売却で儲けた実績を作ればよい。

(その意味で、「年収チャンネル」のような実験的なYouTube事業などは面白いと思う。)

今だと、ちょっとした企業が数億で売却できることは珍しくないので、ここのスキルを磨ければ、また別の強い武器を手にすることができるのだ。

まとめ

長くなってしまったが、StockSunには、Web系ベンチャー企業として、明確な2つの特徴を持っている。

①高い収益性(利益を1億円?以上計上できる)

②フリーランス・モデルと言う個性的なビジネス・モデル

したがって、現在の環境下では、非常に高い企業価値評価をしてもらえる可能性・チャンスは十分にあるのだ。

自分も長々と書いている内に、Globis Capital Partnersの知っている人に持っていけば、飛びついてくれるかもと思ったりする。

いずれにせよ、StockSunは創業してまだ2年目であり、まだまだ成長途上にある。

今後の展開が非常に楽しみである。

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