MARCH、関関同立から総合商社の内定を取るために必要なこと

1. MARCH、関関同立から総合商社の内定を取れる可能性は?

①各校からの商社への就職者数を見てみると…

MARCH、関関同立から総合商社の内定を取るのは非常に厳しいと考えられている。
他方、早慶と比べると、MARCH、関関同立から総合商社を本気で志望する人は多くないので、可能性はあるという意見もある。

この点について、総合商社の大学別の採用者数をチェックすると、以下のようになっている。もっとも、企業ごとの大学別の採用者数に関するデータはあまり無く、以下のデータは、2020/3卒の学生を対象としたものである。また、総合商社のうち、データが入手出来たのは、三菱商事、伊藤忠、丸紅の3社についてのみである。(ソースはAERA2020.10.26号の「52大学×人気企業就職者数」。)

また、このデータは一般職も含んだ数字であり、総合職だけの大学別採用者数は不明である。三菱商事の場合は一般職採用をこの年度は実施していないので、採用者数=総合職であるが、丸紅と伊藤忠は一般職を含んでいる。そして、MARCHと関関同立は一般職を含んでいる可能性が高いと思料されるので、総合職の採用者数は以下のデータよりも少ないと考えた方がいいかも知れない。

<20/3卒対象 東大早慶、MARCH、関関同立からの商社への就職者数>

三菱商事

伊藤忠

丸紅

東大

18 11

11

慶應

30 18

15

早稲田

28 13

16

明治

1 3

4

青山学院

2 2

4

立教

1 4

0

中央

0 3

2

法政

0 0

2

関西学院

0 2

1

関西大学

0 0

0

同志社

0 4

0

立命館

0 1

0

(出所:AERA 2020.10.26号「52大学×人気企業就職者数」より抜粋)

②20/3卒の採用者数を見ると…

結論的に、上記のデータの通り、MARCH、関関同立からの総合商社への就職は厳しい。

ただ、総合商社と言っても、三菱商事は特に厳しく、まだ、伊藤忠の方が可能性はありそうだ。また、まとまったデータは無いが、豊田通商は5大商社よりも、MARCH・関関同立のシェアは高いようである。

また、MARCH、関関同立という学校群で一括りにすべきではないかも知れない。
MARCHの中では、明治・青山学院と法政とは差がありそうだ。
また、関関同立はMARCHよりも厳しく、さらに、立命館と関西大学はその中でも厳しい。

③総合商社の中で狙い目の会社はあるか?

上記データは総合商社のうち3社のものであるが、過去のデータを見ても、5大商社に限らず総合商社どこも難しい。ただ、三菱商事はその中でも特に難しそうであり、豊田通商が相対的にはまだチャンスがあるかも知れない。

2. MARCH、関関同立から総合商社に挑戦する意味はあるのか?

データ的には、MARCH、関関同立から総合商社の内定を取るのは非常に難しい。
しかし、挑戦する意味はあると考えられる。

それは、総合商社が求める「グローバル・リーダーシップ」は、金融、サービス、メーカーにおいても普遍的に求められるので、総合商社以外の他の優良企業の就活においても有用だからである。

また、総合商社の場合、特に商社に行きたいわけではなくとも、自信のある就活生が腕試しも兼ねて併願するケースが多い。このため、他の人気業界から内定を取るためにも、総合商社志望の学生と切磋琢磨しておいた方が良い。

従って、総合系コンサル、人気IT系(サイバーエージェント、ヤフー、NRI他)、金融専門職、リクルート、グローバルメーカー等の難関企業を志望する際には、総合商社に挑戦することは決して無駄ではないと思われる。

3. MARCH、関関同立から総合商社の内定を取るには?

MARCH、関関同立から総合商社の内定を取るためには、とにかく、突出した学生、目立った存在になる必要がある。データ的には、1社あたり1校から1名のイメージである。

そのためには、以下の様な勝ちパターンがありそうだ。

①グローバル・リーダーシップ+α型

総合商社はグローバル企業であり、グローバル・リーダーシップを有する学生を採りたい。
従って、帰国子女・留学組が有利であるのは間違いない。

ただ、MARCH、関関同立の場合は、これだけでは十分とは言えず、+αが求められる。
具体的には、帰国子女+体育会幹部、留学経験有+起業経験有といったパターンである。

もちろん、そういったスペック面だけではなく、十分な企業研究とOB/OG訪問をした上で、適切な面接対策を行うということも求められる。

留学生の場合は、ボスキャリ・ルートを狙ってみるのもいいだろう。

②プロ就活生型

ブログやSNSにおいては、「MARCHから大きなガクチカ無しで商社内定」、「非帰国・非留学・非体育会のMARCH生が商社に内定」といったコンテンツが見受けられる。

信じられないような話にも見えるが、例年、このパターンでの総合商社内定者は存在するようだ。

私自身も、TwitterのDMでそういった学生とやりとりしたり、また、有料noteを購入したりしたが、よくよく調べてみると結構納得ができる。

プロ就活生というのは、情報収集、筆記試験対策、ES(自己PR、ガクチカ、志望動機)対策、面接・GD対策を徹底的に行う就活生のことである。Web、人脈からの情報収集に加え、圧倒的多数なOB/OG訪問の実施、面接の練習も兼ねたインターン参加、幅広い業種の併願等、非常に熱心な行動を実践しているのが特徴である。

さらに、英語についても、得意ではないがTOEICは800以上は取るなど、最低限のグローバル対応は行っている。

この方法に興味があれば、以下のブログ記事をご参照下さい。

<MARCHからの商社内定者のガクチカとは?>
https://career21.jp/small-gakuchika/

③一点突破型

何か1つ突出した特技・スキルを持っている場合である。
企業財務分析力に非常に長け、企業IR情報を熟読し、企業の戦略や財務分析を流暢に語れるレベルの学生である。当然、このスキルがあると、証券IBDやアセマネなどにも強く、MARCH・関関同立の学生で、金融専門職から総合商社まで無双している学生がいた。

また、歩合営業型のバイトで、月に100万円稼いだ経験を売りに、5大商社を含む難関企業から内定を量産した学生もいる。やはり、企業の目的は稼ぐことにあるので、稼げる能力を示せる学生は強い。

それ以外に、自ら起業を行い、月に数十万円以上稼げるようになれば大いにチャンスはある。
DX人材、新規事業創造人材というのは、どこの企業も求めているので、IT系で起業体験があり、それなりの実績があれば非常に強い。もっとも、このタイプの人材は、起業をそのまま続けたり、Google等の外資ITが本命だったりもするので、意外にいないカテゴリーかも知れない。

もっとも、一点突破型といっても、総合商社特有のES・面接対策と、そのための適切なOB訪問を行う必要があるのは言うまでもない。

④単品体育会の学生は苦戦?

語学力、ビジネス経験、徹底的な就活対策という武器は無いが、MARCH・関関同立の有力体育大学の幹部の場合も、一点突破型と言える。

ただ、このタイプはMARCH・関関同立に限らず、東大・早慶の学生でも、最近ではかなり苦戦している模様である。

有名大学体育会の幹部であれば、リーダーシップ・我慢強さ・組織への適合性という点では良いのだが、今日本企業が求めるグローバル人材・DX/新規事業創造人材としての強みは無い。

こういった人材に対するニーズは確実にあるのだが、大手金融機関の営業要員だったりするので、メガ、証券、生損保の総合職(オープン)の内定は取れても、金融専門職や商社、外資系の内定は取れるとは限らない。

体育会からの商社内定者がいても、よく聞いてみると、帰国子女だったというケースがあるので、単品体育会だけで突破できる時代ではなくなってきたようだ。

4. MARCH、関関同立の学生が総合商社に挑戦する際の留意事項

①商社以外にも本命となり得る有力企業を探しておくこと

非常に狭き門ではあるが、上記の様に、MARCH、関関同立から総合商社の内定を取る学生はいる。

しかし、コロナ後の総合商社の全体的な難化を考えると、本命が総合商社一本というのは非常にリスクが高い。上記の様な強みを持ち、十分な事前対策・練習をしたとしても、最終面接で3~5倍となると、総合商社は全落ちする可能性はあるからである。

そこで、総合商社以外にも予め有力な候補となる業界を見つけ、併願しておく必要がある。金融専門職が本命の場合は問題ないが、それ以外であれば、総合コンサル、IT系、グローバルメーカーなどが候補となり得るだろう。

また、海外駐在に拘るのであれば、専門商社の大手を併願するというのもある。兼松、鉄鋼系大手などが候補となり得るだろう。

<かつての総合商社兼松の年収、就活等>
https://career21.jp/2020-01-27-104134/

<伊藤忠丸紅鉄鋼、メタルワン、住友商事グローバルメタルズ>
https://career21.jp/2018-12-28-093745/

それから、総合商社の内定のカギとなる面接を突破するために、非本命の業界・企業でも内定を取って自信をつけておいた方がいい。そうすると心理的な余裕が生まれ、本命の商社で実力を発揮しやすくなるからだ。

また、商社の場合、取引先となるメーカーやエネルギー系の企業、また、ビジネスパートナーとなる金融機関のことも勉強しておいた方がいいので、会社訪問を積極的に行うべきだろう。商社の顧客やパートナーの業務を熟知しておけば、それだけ深い話を面接ですることが可能となるし、具体的なビジネスの理解が可能となるからだ。(IR資料を読んだだけでは、十分に理解できないところがある。)

面倒かもしれないが、難関の総合商社から内定を取るためには、それくらいの行動力が求められるだろう。

②情報収集・分析能力を磨くこと

東大や早慶と比較して、MARCH・関関同立が不利な点は、OB/OGに総合商社の人が少なく、また、大学の同期に総合商社志望者が少ないため、十分な情報収集が難しいからである。

しかし、総合商社というのは、グローバルに展開する自社の拠点を使って、儲かる可能性があるあらゆるビジネスを展開するというビジネスモデルであるので、情報収集・分析能力と言うのは不可欠な能力である。

このため、総合商社それぞれの特性を踏まえた上で、対応を行わないと話にならない。

だから、十分な情報収集や企業分析をせずに、三井物産に行って、住生活関係をやりたいと言ってみたり、伊藤忠に行って、資源・エネルギーをやりたいと言うと、即落選決定である。

少なくとも、webに載っている情報には隈なく目を通し、事業ポートフォリオ、中期経営計画、大型買収案件、企業理念あたりは理解しておく必要がある。

個人投資家向けのIR情報がわかりやすいので、とりあえず、そこから入っていくのがいいかも知れない。

また、会社ごとの特性を踏まえた上で、何故当社か、どの部門をやりたいか、何故やりたいか、何故自分が向いているのかという商社の定番の質問に対処できる様に準備をしていく必要がある。

なお、就活生の情報収集については、こちらをご参照ください。

<就活生の情報収集法>
https://career21.jp/2020-01-16-121414/

③準備は早ければ早いほど良い

以上の様に、総合商社から本気で内定をもらおうとすると、いろいろと準備が大変である。

入学と同時にスタート、附属校であれば、高校の時から始めても構わない。

周りの学生に冷やかされたり、不思議がられたりするかも知れないし、外野の声(学生の本文は学業である系)も気になるかも知れないが、そういったものを気にしても何の得にもならない。

東大でも普通に落とされる総合商社である。

採用枠が非常に限られているMARCH・関関同立の学生の場合、そもそも特殊な学生にならないと内定を取ることは難しい。その点を十分に認識したうえで、早めにスタートを切りたいところだ。

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