気になる外銀(外資系証券会社)の社員の資産運用術
その高収入とステイタスから、外コンと並んで最難関の外資系証券会社であるが、高収入であるため運用の原資は十分にできるし、何と言っても彼らは証券ビジネスのプロなので、さぞかし自分自身の資産運用でも、しっかりと儲けているのだろうと思われるかも知れない。
実は、規制でがんじがらめの証券会社社員の資産運用
しかし、実態はその全く逆で、外資系証券会社(国内系証券会社も同様)の社員は、証券業協会規則という業界ルールと、社内規則によって、資産運用が著しく制限されているのだ。
その内容と言うのは、そもそも自分が担当している会社の株式や債券を投資対象とすることは禁止されている。
また、自分が担当しているかどうかに関係なく、全ての株式・債券については、売買の都度、コンプライアンス部門から事前承認を取らなければならない。
さらに、承認を取ったとしても、「売り」と「買い」、「買い」と「売り」の間、6か月間(会社によっては3か月間)の待期期間が必要となる。
要するに、短期間の取引で儲けることは不可能なのだ。
これらの規則は、金融庁(証券取引等監視委員会)、証券業協会の定期検査や、内部監査で必ずチェックされる項目なので、ザル法ではなく、キッチリと遵守されているはずだ。
このように、売買の都度承認を取るのは面倒だし、売買の間に6か月間もの待期期間というハンディを課せられるので、ほとんどの外資系証券会社の社員は運用をやらない。
特に、IBDと呼ばれる投資銀行部門の社員は、まず、運用をやらない。
それでは、FXとか仮想通貨はどうか?
もっとも、このような厳しい規制が課せられるのは、株式・債券等の有価証券であって、FXとか仮想通貨とか不動産投資まで規制されるわけではない。
それでは、外資系証券会社の社員は、FXや仮想通貨の取引で儲けているのだろうか?
実は、こういった投資をやっている外資系証券会社の社員は稀である。
何故か?
そもそも、彼らは投資のプロであって、投資が絶対儲かるものではないということは十分認識している。
いや、投資の怖さ・リスクというものを十分認識しているので、投資に慎重だという見方もできる。
したがって、FX証拠金取引とか仮想通貨のような怪しい取引については、株式・債券取引以上に慎重なのだ。
また、仮想通貨は証券会社が取り扱っていい商品ではないので、外資系証券会社の社員とは言え、仕事とは無関係の商品についてはそれほど詳しくない。
それに、そもそも、外資系証券会社というのは当然本業についてプレッシャーが強いので、日中、トレーディングをしたりして遊んでいられるようなお気楽な環境にない。
このため、FXとか仮想通貨に投資をしている外資系証券会社の社員はほとんどいないはずだ。
ただ、不動産投資をしている人たちは少なくない
以上のような理由から、外資系証券会社の社員は、自分の資産についての運用にはあまり興味が無く、多額の銀行預金、せいぜい個人向け国債というのが資産内容の大半だったりする。
もっとも、不動産投資は別だ。
基本的に、外資系証券会社の業務内容と不動産投資とは、それほど関連性があるわけではない。
しかし、不動産投資が好きな外資系証券マンは一定数存在する。
引退時期が早い(40代)ということも理由なのだろうが、不動産投資で一定の賃料収入を確保しようという狙いなのだろう。
また、不動産は流動性が低く、短期のトレーディングをする資産では無いので、多忙な外資系証券会社の社員でも投資がしやすいという事情もあるのだろう。
投資対象となる不動産は、賃料を生み出す収益物件が中心だ。
都心のワンルームを複数持つ人もいれば、借入金を使って、住宅地のマンション・アパートを丸々一棟購入する人たちもいる。
なお、30代後半以降で生き残っている外資系証券マンの中には、軽井沢に別荘を持つ人も一定数存在する。
それらは、趣味(あるいは見栄)として購入するのであって、投資目的ではない。
まとめ
外資系証券会社の社員は、規制が厳しかったり、投資のリスクを十分認識しているため、有価証券投資には慎重な人たちが多い。
FXとか仮想通貨のような投機的な取引についても、同様に慎重である。
運用するとすれば、キャッシュを産みだす不動産がメインであり、結構堅実な投資スタンスを取っていると言える。
投資のプロ達でも投資には慎重なので、一般人はリスクを十分認識したうえで投資を検討するべきではないだろうか。