1. 年収5000万円のサラリーマンは、どんな人達か?
年収5000万円というのは、サラリーマンで達成できる上限年収ではないだろうか?
何故なら、上場企業の社長でも、非オーナー系企業の場合は、せいぜい年収5000~6000万円位だからだ。上場企業で役員になるのでも大変なのに、社長レベルとなると狙ってなれるものではない。
(なお、上場企業の役員の年収については、こちらのサイトがある程度参考になるので、ご参照下さい。もっとも、未上場企業も混ざった集計のようなので、上場企業に限定すると、これよりは高いだろう。)
https://www.nenshuu.net/shoku/biz/yakuin.php
そうなると、年収5000万円のサラリーマンは以下の様なパターンに限定される。
①外資系証券会社(外銀)の一部
サラリーマンの世界で最も高給な業界は、外資系証券会社、いわゆる外銀である。
もちろん、外銀に就職しただけで年収5000万円を実現できるということにはならない。
リーマンショック前であれば、フロント職(トレーディング、営業、IBD等)だと、20代でも見られたし、管理職に該当するVPクラス以上であれば普通にいた。
しかし、リーマンショック後は、特にボーナスが減ったので、フロント職でもVPでも、企業や評価によっては年収5000万円を達成できるとは限らない。(ワンランク上のDirector/SVPクラスであれば可能であろう。)
ましてや、ミドルオフィス(オペレーション)とかバックオフィス(経理、人事、法務コンプライアンス等)であれば、最高位のMD(Managing Director)にならないと年収5000万円には届かない。
(なお、最近トップ就活生に注目されているPEファンドについては、KKR、ブラックストーン、カーライルといったトップティアであれば外銀IBDに準じたレベルの収入も期待できるが、国内系や外資系のセカンドティアになると年収水準は下がる。)
②外資系運用会社(アセマネ)の一部
外資系運用会社、いわゆる外資アセマネの場合でも、年収5000万円以上の人達はいる。
しかし、その比率は外銀よりも下がる。外資アセマネのフロント職(営業、運用)の管理職でそこそこ上手く行くと、年収3000~5000万円は可能であるが、コンスタントに年収5000万円以上を稼げる人は少ない。
もちろん、ヘッジファンドのトレーダーで成功すれば年収5000万円どころか、数億円を稼ぐ人もいるが、それはごく限られた世界である。
<運用会社の種類、年収等>
https://career21.jp/2019-01-09-072810/
③戦略コンサル、GAFAM等、外資系企業の場合
外銀、アセマネといった、金融機関以外の外資系企業でも、年収5000万円以上を稼ぐ人達はいる。但し、その比率は外資系金融よりも更に低いだろう。
就活の際は、外銀と並ぶ入社困難かつ人気企業である戦略コンサル(マッキンゼー、BCG、ベイン、ATカーニー等)は、年収だけを見ると全般的に外資系金融に劣る。
マッキンゼーの場合、ビジネスアナリスト⇒アソシエイト⇒エンゲージメントマネージャー⇒アソシエイトパートナー⇒パートナーというキャリアパスのうち、最高位のパートナーにまで出世しないと年収5000万円には届かない。
https://gaishishukatsu.com/company/1/salary#:~:text=%E5%A4%96%E8%B3%87%E5%B0%B1%E6%B4%BB%E7%B7%A8%E9%9B%86%E9%83%A8%E3%81%AE,%E7%A8%8B%E5%BA%A6%E3%81%A8%E6%8E%A8%E5%AE%9A%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
また、GAFAM等の外資系ITの場合も、高年収のサラリーマンはいる。優秀なITエンジニア、社内弁護士、有名MBA卒の管理職等では、30代で年収3000万円以上の人達は見られる。しかし、年収5000万円となると、かなり珍しいのではないだろうか?もっとも、この業界は将来も成長することが予想され、将来、年収5000万円プレーヤーの数や比率は高まっている可能背はあるだろう。
それ以外には外資系製薬会社の役員であれば、年収5000万円以上の人はいる。ただ、日本企業と同様に、外資系企業もメーカーの場合は金融と比べて年収水準は低く、部長クラスでもせいぜい2000万円前後なので、年収5000万となると役員級となり、非常に例外的なケースである。
④歩合給的なサラリーマン
外資系以外で、年収5000万円のサラリーマンとなると、上場企業の社長や専務クラスまで出世する以外では、完全歩合制のサラリーマンになるしかない。
歩合制と言うと、プルデンシャル生命の営業職が有名で、トップは年収5000万円どころか、年収3億円である。また、最近では、中小企業の後継者難を背景に、M&Aの仲介業者の平均年収の高さが注目されている。こういった歩合制のサラリーマンでも、成果を上げるということが条件となるが、成功すると年収5000万円も不可能ではない。もちろん、非常に厳しい世界であるのは間違いなく、そこに到達できる者は少数だろう。しかし、学歴、英語、資格等が無くても、外銀・戦コン・GAFAM以上の年収を稼げる可能性があるというのは夢のある世界かも知れない。
2. 年収5000万円といっても、どれだけ継続できるかが重要
サラリーマンの場合、年収5000万円といっても、ボーナスの比率が高い。
従って、歩合制の要素が高いので、毎年継続的に年収5000万円を達成するのは大変である。
また、サラリーマンの場合、会社経営者と違って、経費が使えない。このため、累進税率の影響を受けるので、無理して稼いだところで、その分の半分くらいしか手元に来ない。
このため、短期で一気に集中して稼ぐよりも、そこそこの高年収を長期間継続する方がトータルでは稼げる場合もある。
その意味では、外資系アセマネの場合は外銀と比較すると、長く働くことが可能である。そうすると、外銀で年収5000万超を狙って30代のうちに稼ぎ切ることを目指すよりも、外資アセマネで年収3000万円を50代半ば位まで継続する方が良いという考えも成り立つ。
また、外資金融の場合、ネームバリューで落ちるセカンドティアの企業が、トップティアの企業の人材を引き抜くために高給を用意することがある(リーマンショック後は減ったかも知れないが…)。その場合、一時的に年収は上がったとしても、経営資源で劣る外資系企業で継続的に業績を上げることは難しい。このため、一時的に年収5000万円を達成できたとしても、その継続性が重要なので、転職時においてはこの点を吟味する必要がある。
3. 年収5000万円のサラリーマンの手取りと生活
①年収5000万円のサラリーマンの手取り
年収5000万円のサラリーマンの手取りは、家族構成によって異なるが、約2600~2700万円である。サラリーマンの場合、手取りはほぼ半分になってしまう。
このため、以下の通り、年収5000万円のサラリーマンは、想像していたほどの贅沢はできなかったりもする(特に東京で生活している場合)。
②年収5000万円のサラリーマンの生活:さすがにモノは何でも手に入る?
いくら税金が高いといっても、手取り2600~2700万円である。
モノであれば、大抵欲しいものは入手可能である。
例えば、年収3000万円のサラリーマンではちょっと手が届きにくいフェラーリやランボルギーニでも、年収5000万円なら買っても問題ないだろう。今では、低金利のローンや残価設定ローンが用意されているので、購入しやすくなっている。
<フェラーリを買う人の年収、職業>
https://career21.jp/2018-10-04-160210/
<ランボルギーニを買う人の年収、職業>
もちろん、クルマに興味が無ければ、フェラーリやランボルギーニを買う必要は無い。
人気のベンツのGLCとか、ポルシェのカイエン・マカンあたりのSUVも年収5000万円であれば余裕だろう。
年収5000万円のサラリーマンの手取りは、年収3000万円よりも900万円程多い。したがって、高級消費財、外食、旅行等に更にお金を掛けることも可能になる。例えば、時計であれば、オーデマピゲやパテックフィリップを買ってもよい。パテックフィリップ(現在店頭で購入可能なものは500万円~)などは、リセールも良いので、悪くないだろう。
https://www.patek.com/ja/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
③年収5000万円でも東京での家は自由に選べない?
いくら税金が高いと言っても、年収5000万円もあれば、クルマも時計も好きなモノは手に入る。
しかし、年収5000万円でも自由に選べないものは、東京での住宅である。
リーマンショック以降の十数年間で、東京の一等地の不動産はかなり値上がりした。現在では、港区の一等地の新築マンションは1億円では買えず、2億円位は用意する必要がある。
賃貸物件でも、六本木ヒルズやミッドタウンでそこそこの広さの部屋だと家賃80万円~なので、年収5000万円でも苦しい。外資系企業で借入社宅制度を利用すれば住めなくもないが、退職後には出ないと行けない。
もちろん、有名物件やラトゥールシリーズといったブランドに拘らなければ、港区内でも家賃50万円位を用意すれば、それなりのところに住むことは可能である。この点は、年収3000万円との違いである。
4. 年収5000万円のサラリーマンの貯蓄と投資について
①年収5000万円のサラリーマンの貯蓄
年収5000万円のサラリーマンは、どれくらいの貯金があるか?
これは、年収5000万円の継続年数や消費性向によって大きく異なるのっだが、ファイナンシャル・プランニング的には、年収の2年分くらいの貯金額が望ましいとされている。
そうすると、年収5000万円だと、1億円位の貯金は持っておきたいということになる。
しかし、これがなかなか大変である。税金の負担が重いので、手取り2600~2700万円の中から毎年1000万円を貯めても、10年かかることになる。
それに、手取りの4割を貯金に回すというのは、贅沢をし放題というわけにはいかないので、閉めるところは閉めないと貯まらない。
もちろん、サラリーマンの場合は退職金という税制上優遇された武器が有るのだが、年収5000万円といっても、年間の退職金相当額は200~300万円位である。このため、1億円を貯めるのは、それ程簡単ではない。
②年収5000万円のサラリーマンの投資について
長い間、預貯金の金利は実質ゼロなので、毎年1000万円貯金をしても、1億円貯めるには10年かかる。
また、外資系金融の場合は業界ルールで有価証券投資には規制があるので、株式投資で1発当てるというわけには行かない。
コツコツと積立投資をするとか、あるいは、将来を踏まえて収益不動産投資をする人もいる。
年収5000万円といっても、好きに使うと10年経っても大して貯金ができていないという事態も起こり得る。この点は、計画的なファイナンシャル・プランニングが求められるところだ。
5. 年収5000万円のサラリーマンの課題
①更に大きく稼ぐには、会社経営者になるか、投資家になるしかない?
以上を見てみると、サラリーマンで年収5000万円というのは非常に難しいのであるが、何でも出来るかというと、実際は出来ないことも結構ある。
もちろん、一般的には十分贅沢な暮らしができることは間違いないが、さらに上を狙おうとするとサラリーマンとしての壁があるように見える。
それでは、どうすればいいのかということであるが、それは自らが会社経営者になるか、投資で稼ぐしかないのだ。
この点は、億万長者の与沢翼氏も強調している通り、資本主義社会での最終的な商社にはサラリーマンでは届かないということなのだろうか?
<与沢翼氏の稼ぎ方>
https://career21.jp/2018-10-23-144549/
②サラリーマンから会社経営者に転身するにはどうすればよいか?
年収5000万円のサラリーマンになるのと、実質年収5000万円の会社経営者になるのと、どちらが難しいかについては決まった答えは無い。
それは、向き・不向きもあるだろうし、タイミングの問題もある。
しかし、年収5000万円のサラリーマンでも、なかなか簡単には会社経営者に転身できないということは言えるだろう。組織の中で決まったことをやって稼ぐのと、自らがプロダクトを作って、顧客開拓を行い、事業を運営していくことは異なる能力やスキルが求められるからだ。
これについては、欧米のトップMBAを取得したり、マッキンゼーで数年働いたところで、すぐに成功できるということはない。
とりあえず、現実的に自分がビジネスを起ち上げて、試行錯誤していく他ない。この点については、副業として小さくスタートをして様子見をするのが堅いやり方だろう。現代では、ネット(ブログ、SNS等)というツールがあるので、これをフル活用したいところである。
いきなり年収5000万円を捨てて、一か八か、ベンチャー起業をするという人はあまりいないだろうが、とりあえず試験的に副業で手応えをつかむことが重要だ。サラリーマンには定年があるので、今後は、自ら起業する途も念頭に入れておくべきだろう。
③投資も並行してコツコツ始めてみる
外資系金融機関である程度成功した人達は、収益不動産投資をしているケースが結構見受けられる。金融機関の場合、有価証券投資は業界ルールで規制されているが、コツコツと投資信託やETFで積立投資をしていくことは可能だ。
また、大きく稼ぐためには、複数の財布を持つことが重要なので、並行して不動産とか株式投資も少しずつ始めてみればいいだろう。
いずれにしても、サラリーマンとしての年収だけだと税金も高く、見た目の年収に見合った生活をしたり、蓄財をすることは難しい。給与収入以外の収入源を模索していくことが更なる飛躍のためには必要となろう。
6. 年収5000万円のサラリーマンになるには?
上記の通り、サラリーマンで年収5000万円を稼ぐことは非常に難しい。
年収3000万円では足りず、年収5000万円以上にどうしても拘るのであれば、外銀(或いはトップティアのPEファンド)の一択ということになろう。
そのためには、大学入学早々、選抜コミュニティや就活塾に入って、外銀の就活対策を始めることが求められる。そして、外銀に入社できたとしても、それで年収5000万円には自動的には到達できない。深夜長時間労働に耐え、同期の大半が辞めていく中、VPまで生き残らなければならない。
また、就活で外銀に行かなかった場合には、私費で有力MBAに入学して、卒業後にアソシエイトとして入社することになる。もちろん、その後もVPとなって生き残っていくために厳しい競争を勝ち抜かなければならない。
そう考えると、年収5000万円に拘るのであれば、サラリーマンになるよりは、会社経営者を目指した方が手っ取り早い場合も十分にある。今の若い人は、サラリーマン以外の経路で年収5000万円を目指すべきかも知れない。