1. そもそも「年収5000万円」のサラリーマンとは?
①狙ってなれるものではない「年収5000万円」のサラリーマン
「年収5000万円」のサラリーマンに会ったことがあるだろうか?
そもそも、上場企業の社長でも非オーナー社長の場合は、5000万円程度である。
しかも、非オーナー系の上場企業の場合、なれたとしても50代後半以降だろうから、30~40代は大した収入は得られない。
(上場企業の役員の年収については、このサイトがある程度参考になる。もっとも、未上場企業も混ざった集計なので、上場企業に限定するとこれよりは高いだろう。)
従って、普通の上場企業でも社長にならないと年収5000万円には到達できないのであるから、年収5000万円のサラリーマンにお目にかかるのは滅多にないはずだ。
②それでは、どういうところに「年収5000万円」のサラリーマンはいるのか?
「年収5000万円」のサラリーマンを探せるとしたら、もはや外銀位であろう。
といっても、リーマンショック以降は見つけるのがかなり厳しくなった。
リーマンショック前であれば、フロント職(トレーディング、営業、IBD)だと、20代でもいたし、管理職であるVPクラス以上であれば普通にいた。
しかし、リーマンショック後は、特にボーナスが減ったので、フロント職でもDirector以上でそこそこやっている人じゃないと5000万円にとどかないかもしれない。
ましてや、ミドルオフィス(オペレーション)とかバックオフィス(経理、人事、コンプライアンス等)であれば、大手の最高位(MD)にならないと5000万円には届かない。
外資系証券会社の場合、全従業員(新入社員、フロント、バックを含めた全員)を母集団とすると、年収5000万円以上の人の割合は10%程度ではないか?
外資系運用会社になると、その比率はもっと下がる。
外銀と並ぶ入社困難かつ人気企業である外コン(マッキンゼー、BCG等の戦略系に限る)の場合は、さらに厳しい。
マッキンゼーの場合、ビジネスアナリスト⇒アソシエイト⇒エンゲージメント・マネージャー⇒パートナーというキャリアパスのうち、最高位のパートナーにまで出世しないと年収5000万には届かない。
BCGも同様である。東大からでも10人に1人位しか入れない外コンで、パートナーまで昇進するのはどれだけ大変だろうか?
以上のように、確実に年収5000万円以上のサラリーマンが存在するのは、外銀と外コンであるが、リーマンショック以降はその中でも一部のものに過ぎない。
③外銀・外コン以外での可能性は歩合給的なサラリーマン
あと、それ以外で年収5000万円になれる可能性のあるサラリーマンは、完全歩合制のサラリーマンである。
例えば、プルデンシャル生命とかの生命保険の営業職が有名で、最高は5000万円どころか、3億円である。
もっとも、こういった人たちは契約形態が個人事業者であったりするので、厳密にはサラリーマンとは言えないかも知れないが。
2. 「年収5000万円」といっても、継続性が問題。 年収3000万>年収5000万?!
年収5000万円の方が年収3000万円より多くていいように見えるが、そこには落とし穴がある。
それは、どれほど継続できるか、という安定性・継続性が問題となるからだ。
外銀のフロント職でも外コンのパートナーの場合でも、年収が高くなればなるほど、ボーナスの比率が高まっていく。
そして、ボーナスというのは歩合的な要素があるので、将来にわたって保証されるものではないということだ。
例えば、外銀の場合、フロント職でボーナスで稼いで5000万円の場合と、バックオフィス(人事部長、経理部長等)で3500万円の場合とでは、安定性・継続性で勝る後者の方が良いという見方もできる。
また、同じ営業職でも、外資系証券会社と外資系運用会社とでは、前者の方が一般に高給である反面、クビやリストラに合うリスクは後者の方が低い。
このため、外資系証券会社の営業で5000万円と外資系運用会社の営業で3000万円とでは、どちらが良いかとは言い切れない場合がある。
どんな職業でもそうなのだが、サラリーマンの場合も同様で、高くなればなるほど維持するのが厳しくなる。
その意味で一口に年収5000万円といっても、どれくらい継続してもらえるかが大きなカギとなる。
3. 年収5000万円の東京での住まいについて
それほど大変な、年収5000万円だが、残念ながらそれでも六本木ヒルズや東京ミッドタウンには住めない。
何故か?
まず、税金が高い。年収5000万円といっても、手取りは2600-2700万円。
年収3000万円と、手取りは1000万円も違わない。
そして、東京は家賃が高い。六本木ヒルズやミッドタウンは家賃80万円~なので年収5000万円でも無理である。
もっとも、家賃50万円位は可能なので、港区には十分住める。
そこが、年収3000万円との違いである。
例えば、50万円も出せば、港区の高輪のタワマンに余裕で住める。
4. 年収5000万円のクルマについて
せっかく年収5000万円になったのに、最高級の住宅には住めないという腹いせではないが、クルマ位はアッと言わせるようなものを買いたい。
東京では、ベンツやポルシェでは目立たないので、ここはフェラーリかランボルギーニで差別化したい。
もっとも、フェラーリだと納車まで2年も待てないし、中古は年収5000万円のプライドが許さないので、ランボルギーニの新車がいいだろう。
主力のウラカンであれば、8か月で納車が可能だ。
まあ、クルマには興味が無い人もいるだろうから、ここでフェラーリやランボルギーニで派手に行く必要がないが、実用性重視でベンツやBMWもありで、さすがにそのあたりは余裕で買えるようになる。
5. 年収5000万円の資産、投資について
これも少々悲しい話であるが、年収5000万円とはいえ、すぐに資産家になれるわけではない。
何故か?
まず税金が高いので、上述した通り、手取りは2600-2700万円位しかない。
よって、年間1000万円貯めるのですら至難の業(ランボルギーニが買えなくなってしまう。)
泣く泣くランボルギーニを断念して、年間1000万円をコツコツ貯めこんだとしても、1億作るのに、10年間もかかってしまう。
もちろん、年収5000万円に到達した時点で、サラリーマンの場合にはそこそこの貯金があるのだろうが、それでも自分の収入だけではこれくらい稼いでも1億円はなかなか貯まらないのである。
よって、EXITに成功したIT起業家のように、自らベンチャー企業に投資をしてみようといった余裕はなかなか出てこない。
まだまだ堅い投資と貯蓄を続けなければならないのだ。
6. 結局、大金持ちの暮らしがしたければ、サラリーマンになってはいけない!
以上見てくると、年収5000万円というと、何でもできそうで、実際はそれほどでもない。
もちろん、明らかに贅沢はできるが、六本木ヒルズでフェラーリといった暮らしにはまだまだ足りないのである。
そこそこの暮らし、年収2000~3000万円なら、サラリーマンでも狙える余地はあるが、それ以上の派手な暮らしがしたければサラリーマンになっては行けないのである。
どうすればいいかというと、結論的には、自らが経営者になるか投資で稼ぐしかないのだ。
この点は、億万長者の与沢翼氏も強調しているところである。
もっとも、投資や会社経営で成功することは、サラリーマンで年収5000万円以上になることよりも難しいとは限らない。
そこは向き不向き、タイミングなどがあるだろう。
ただ、日本の場合、トップ層があまりにも経営者を目指さないのは少々もったいない気がする。
今は、昔と違って、東証マザーズのようなベンチャー市場もあるし、非上場企業のセカンダリーマーケットもある程度は存在し、億単位でのEXITの可能性も広がっている。
また、ユーチューバーやプロブロガー等で年収1億円を超えるようなケースもあり、個人メディアの価値も高まって来ている。
従って、ひたすら勉強して、そこから選ばれた人たちの中で競争するよりも、自ら起業・独立することや、投資家を模索する途に目を向ける方が面白いのではなかろうか。