1. 年収2000万円の意義 ~年収1000万円との違い~
①年収1000万円が目標・成功の基準として使われることが多いが…
数字のキリがいいので、就職、転職、結婚等様々な場面で「年収1000万円」が一つの目標・基準とされることが多い。
しかし、地価や高級品が高騰している今日においては、年収1000万円ではそれほどイメージ程の余裕のある暮らしはできない。
また、そこそこの大学を出て大手企業に勤めると、それが20代か50前後かという到達時期の違いはあるものの、年収1000万円であれば、ほぼ全員到達できるのではないだろうか。
②年収1000万円は、それほど少なくはない
給与所得者で年収1000万円以上の割合は、4%と取り上げられることが多いが、これは北海道から沖縄まで、20歳から60歳まで、一般職も総合職も含めた上での4%である。
従って、東京エリアで、年齢30~40代、総合職という風に範囲を絞ると、実感として年収1000万円はそれより多く存在していることがわかる。(もっとも、それでも少数であることには違いが無いが…)
③年収2000万円は、ぐっとハードルが上がる
大手企業に入れば年収1000万円はだいたい到達できそうなのであるが、年収2000万円となると一気に難易度が高くなる。
一流企業の中でも、特に高給で知られる総合商社、日本生命、東京海上、野村證券、電通、キー局あたりでも、年収2000万円に到達できるのは早くて40代だろう。
総合商社は昇給が早いので、20代で余裕で1000万円になるが、そこから2000万円までの道程が長い。40歳の時点で、年収1800万円位なら達成可能かも知れないが、そこから一歩先の2000万超えにはハードルがあるのである。
また、就職偏差値最上位、東大からでも10人に1人位しか入れない外コン(マッキンゼー、BCG)でも、2000万円というと、アソシエイト⇒シニアアソシエイト⇒コンサルタント⇒プロジェクト・リーダー(PL)⇒プリンシプル⇒パートナー、というキャリアパスにおいてPLまで出世しないと到達しないレベルである。
BCGに入社した者のうち、PLまで行けるのは2割も無いのではなかろうか?
サラリーマンの場合、給与収入が2000万円以上になると、「確定申告」が必要になる。
これは、国税もサラリーマンでも年収2000万円以上というのは別格だと認識しているわけであり、役員クラスを想定したものと考えられる。
サラリーマンではないが、医師の場合も年収1000万円は免許を取ればすぐに到達するレベルだが、勤務医の場合、年収2000万円は(特に都市部勤務の場合)そう簡単には到達しない。常勤に加えアルバイトをするとか、立地的に不便な病院に勤務するといった何らかの対応が求められるようだ。
<勤務医の年代別年収(2019年更新)>
https://doctor-agent.jp/howto/nensyu/6782/
以上のように、年収2000万円というのは、難易度が高く、一つの「成功の証」と言えるのではなかろうか?
2. 年収3000万円との違い
年収1000万円と年収2000万円とでは顕著な違いがありそうだが、年収3000万円と年収2000万円とでは、暮らし向きについてはそれほど大きく変わらない。
<年収3000万円のサラリーマンの東京暮らし>
https://career21.jp/2018-10-24-131541
何故か?
それは、税率が高くなるので、増えた分、すなわち1000万円のうち半分位が税金になってしまうからである。
だから、手取りベースだと500万円位しか変わらない。
また、手取りで増えた分については、ある程度健全な暮らしをするのであれば、その半分位は消費ではなく貯蓄に振り向けることが多いからである。
具体的には、年収2000万円だと、手取りが1350万円前後となり、そのうち300-400万円位を貯金したいところだ。
年収3000万円であれば、増えた手取り分の半分である200-300万円を貯金に回して、年間500-600万円位は貯金したいものだ。
そうなると、手取りで消費に回せるのは月20万円程度であるので、見た目ほどは暮らしぶりは変わらないものなのである。
実際、年収1000万円から年収2000万円になるのは非連続な変化が必要であるが、年収2000万円から年収3000万円については、同一直線上の変化というイメージであるので、結構近い。
どういうことかというと、例えば金融業界で考えてみると、年収1000万円から年収2000万円になるには、国内系から外資系への転職が必要になるところ、年収2000万円から年収3000万円であれば、同じ外資系の中で、1ランクポジションが上がるとか、(フロント職の場合)頑張ってボーナスが増えたという範囲の変化なので、数年で到達することは珍しくない。
3. 年収2000万円の住まいについて ~東京の場合~
前置きが長くなってしまったが、暮らし向きについては、住まいから見てみよう。
まず、いくら位が家賃(或いは住宅ローン)の目安になるかというと、せいぜい年間で350-400万円程度であろう。
ということは、家賃30万円位が目安であろう。家賃30万円といっても、東京の場合は、これが厳しい。
港区、千代田区、渋谷区あたりだと、結婚していることを想定すると、それほど良い物件は選びにくい。
無理せず探せる範囲だと、結局、世田谷、目黒、杉並、太田、品川&文京あたりになってしまう。(もちろん、このあたりは通勤も近い方だし、環境も悪くは無いが)
例えば、杉並区だと、駅から徒歩1分のおしゃれな物件に住むことができる。
また、世田谷区の場合だと、芸能人が結構住んでいるという噂の深沢ハウスにも住むことが可能だ。
<世田谷区の物件の例:深沢ハウス>
https://kenrent.jp/search/136601/
4. 年収2000万円のクルマについて
今の若い人は、昔の世代(バブル世代:今50歳以上の人)と異なり、クルマへのこだわりはそれほど無いようだ。
クルマは趣味なので、どれほどお金をかけるかということにもよるが、BMWの3シリーズとか、ベンツのCクラスあたりが丁度無理せず買えていい車か?
BMWの5シリーズとか、ベンツのEクラスでもいいが、だいたい700-800万円位するので、ワンランク落とした方が楽かも知れない。
また、レクサスのSUVというのも丁度いい価格帯である。人気のNXというのもありであろう。
年収3000万円であれば、BMW5シリーズ、ベンツのEクラスは余裕である。このあたりが年収3000万円との違いである。
もちろん、クルマが好きであれば、このあたりを買っても全く分相応と言えよう。
<憧れのベンツEクラス>
5. 年収2000万円の日常生活 ~お買い物とか外食とか~
年収2000万円になったからといっても、食べるものが年収1000万円と大きく変わるわけでもない。
住むエリアが港区や渋谷区であれば異なるかも知れないが、杉並区とか世田谷区であれば、毎日高給スーパーである成城石井や紀伊国屋で買い物しなければという雰囲気ではない。
普段は、西友、東急ストア、マルエツで普通の住民と同じように買い物するのではないだろうか。なお、城南地区には、オオゼキという優良スーパーがあって、重宝している人も多いだろう。ここは値段は普通であるが、良いものを扱っている地元の人気スーパーである。
外食についても、東京の場合、年収2000万円になったからといって、ファミレス、ファストフードに行かなくなるということはない。
もっとも、たまにはミシュランの☆付の店に行ける余裕ができることが違いである。
これも、何にお金をかけるかによるが、この手の店には時々行けるようになるだろう。
それから、年収2000万円になってそれまでと大きく変わったなあと感じることができる瞬間は海外旅行の時である。
年収1000万円だと海外旅行の場合、通常エコノミークラスだが、年収2000万円になると、ビジネスクラスを選べる場合が多い。(もちろん、時期や路線にもよるが)
この点は、年収2000万円になって良かったなあと思う時である。
<年収2000万円でできる贅沢>
https://career21.jp/2019-07-11-132859
6. 年収2000万円の投資について
年収2000万円といっても、上記のように、それなりのところに住んで、それなりの暮らしをすると、それほど投資に回せるお金があるわけではない。
だからといって、この年収でほとんど貯金が残らないようでは、明らかに使い過ぎである。
ファイナンシャル・プランニング的には、年収の2倍の貯蓄額が望ましいということなので、4000万円程度の金融資産が欲しい所だ。
とはいえ、毎年の貯蓄額を年収の2割、400万円とすると、4000万円到達まで10年もかかってしまう。
したがって、とりあえず金融資産3000万円を目指して、貯金或いはロボアドバイザーなど、投機ではなくコツコツ元手を貯めるのが吉であろう。
コツコツ長期的に貯めるというのであれば、米ドル建ての養老保険という手もある。もっとも、コロナショックに伴う超金利低下の影響によって、予定利率を下げられる可能性があるが。
まだまだ、仮想通貨とかFXとかのような投機的なもので勝負すべき段階では無いだろう。(もちろん、勉強用に100万円までといった範囲で投資するのはOKである。)
まとめ
東京だとお金を持っている人たちが多く、不動産価格も高いので、それほど凄いという派手な生活は遅れないかも知れないが、十分ゆとりのある暮らしが可能なのが年収2000万円ではないだろうか。
ひと頑張りすれば、年収3000万円にも到達可能な人も多いと思う。
年収1000万円からここに来るのが大変だが、一旦到達すると、その上もぐっと目指しやすい。従って、年収1000万円の人は、頑張ってまず年収2000万を目指してみたいところだ。