年収3000万円のサラリーマンの手取り、生活、貯蓄。どうすればなれるか?

1. 年収3000万円のサラリーマンは、どんな人達か?

サラリーマンにとって年収1000万円というのは1つの目標であるが、その3倍の年収3000万円を稼ぐサラリーマンは極めて例外的な存在である。それでは、具体的にどういった人達がいるのだろうか?

①国内系大手企業

国内系企業で年収3000万円となると、完全に役員の世界である。

金融機関最大手の、メガバンク、東京海上日動火災、日本生命、野村證券等の部長でも、年収2000万円はもらえても3000万円には届かない。

高給で知られる、キー局、電通、5大商社の場合も同様であろう。
キー局や電通は、テレビ全盛期の1990年代においては、いたかも知れないが今ではとても届かないだろう。

反対に、5大商社の場合は部長クラスでも実績によっては可能かも知れないが、コンスタントに年収3000万円を継続するのは難しい。

また、国内系大企業は年功序列なので、実現しても40代後半から50代と、かなり時間がかかってしまう。

②歩合営業

商社や大手金融の超エリートでなくても、歩合営業で成果を出せば年収3000万円を達成することも可能である。

例えば、M&A仲介の営業職や、外資系生命保険の歩合制営業職等である。

もっとも、ここで成功できる人達はほんの一握りであり、実質的にはサラリーマンというよりも個人事業者に近いと考えられる。

③外資系金融機関

外資系金融機関の中でも、外銀と言われる外資系投資銀行はサラリーマンの中で最高水準の給与が期待できる。

フロント職(IBD、機関投資家セールス、トレーディング等)の場合だと、企業と業績次第では、20代後半のアソシエイトで年収3000万円に到達可能である。

管理職的なVP(Vice President)に昇格すると、基本給と年1回のボーナスを合わせて年収4000~5000万円位は実現できるだろう。

他方、バックオフィス(経理、人事、法務コンプライアンス等)の場合だと、リーマンショック後は、管理職のVPでも年収2000万円の人達もいる。従って、ワンランク上のSVPやDirector以上にならないと年収3000万円には届かないかも知れない。

同じ外資系金融機関といっても、外資系運用会社(アセマネ)の場合は、外銀よりも一般的に給与水準は低い。

年収3000万円レベルとなると、フロント職(運用、セールス)の場合だと、企業や業績次第では30代のVPクラスで到達可能な場合もあるが、SVPやDirector(年齢的には40歳以降)になるのが必要な場合もある。

バックオフィスやミドルオフィスになると、部長以上にならないと年収3000万円は難しいと思われる。

④外資系事業会社

外資系企業と言っても、外資金融と比べると、年収3000万円はかなりの狭き門となる。

P&Gやネスレのような消費財メーカー、ファイザーとかMSDの様な外資系ヘルスケア企業、オラクルやシスコシステムズのようなIT系と、業種を問わず、普通の部長だと年収2000万円前後が多く、3000万円となると、その上の執行役員クラスにならないと到達しないのではないだろうか?

もっとも、GAFAの場合だと、一部のエンジニアや管理職で年収3000万円(但し、RSUという株式ボーナスも含めて)以上のケースもあるようだ。

⑤外資系コンサルティング会社

外資系コンサルティングの場合、MBBの様な戦略系と、アクセンチュアやBig 4系のコンサルティングファームとでは給与水準が異なっている。

マッキンゼー、BCG、ベインは、就活難易度は外銀と並んで最難関であるが、給与水準は外銀程には高くない。年収3000万円となると、パートナーのワンランク下のプリンシパルにならないと難しいだろう。

総合系コンサルとも言われるアクセンチュアやBig 4系のファームの場合、パートナーにならないと年収3000万円には到達しない。もっとも、近年のDXブームの影響で、総合系コンサルの業績は好調のようだ。このため、稼いでいるパートナーの場合は、年収3000万円どころか、年収5000万円以上の人もいるようなので、この流れが続けば、可能性は拡がるかも知れない。

2. 年収3000万円のサラリーマンの手取りと生活

①年収3000万円のサラリーマンの手取り

年収3000万円のサラリーマンの手取りは、家族構成によって異なるが、1800万円弱である。サラリーマンの場合は、経費が使える会社経営者とは異なり、税金によるダメージが非常に大きい。(もっとも、税制上優遇されている退職金や企業年金の恩恵を受けることができるので、必ずしも悪いことばかりでもない。)

このため、見かけの年収のイメージと手取りのギャップは大きい。

また、サラリーマンの場合、もう1点、留意しなければならないことがある。
それは、高年収サラリーマンの年収は、基本給+(年1回の)ボーナスという構成になっている場合が多い。年1回のボーナスは保証されているわけでは無いので、月々に使えるお金は基本給の範囲に限定されがちである。

例えば、年収3000万円が基本給2000万円とボーナス1000万円であれば、月々の生活は基本給を12等分した、月給167万円に拘束されがちである。(ただし、月給の範囲での生活を心掛けると、ボーナスはそっくり、投資、貯蓄、贅沢消費に充てることが可能となる。)

②年収3000万円のサラリーマンの生活レベル ~東京の住宅事情は厳しい~

年収3000万円の場合、東京では、どの程度の家に住むことが可能だろうか?
税込収入の2割を住居費に振り向けるとすると、月に50万円。しかし、前述の通り、基本給を基準に考えると、月に35万円位が無難ではないか。

そうなると、六本木ヒルズのような港区のトップクラスの賃貸物件だと、50㎡程度の1BRの部屋でも賃料は50万円位する。70㎡の2BRだと賃料は70万円~である。
http://www.moriliving.com/ja/estate/residence/roppongihills/vacancy

もちろん、独身の場合や住居費重視の使い方をしたいのであれば、住めなくもないが、港区の一等地のタワマンは厳しいだろう。

現実的には、世田谷・目黒の城南地区や、文京区あたりが無難かと思われる。

賃貸ではなく、購入する場合も同様で、リーマンショック以降は都心の一等地の物件は高騰が顕著であり、1億円では厳しく、1億5000万円以上が必要であろう。

このため、年収3000万円でも東京では好きなところに住むという訳にはいかない。

③年収3000万円のサラリーマンの生活レベル ~住居以外は比較的余裕?~

年収3000万円では、東京の一等地に住むことは大変だが、クルマとなるとかなり好きなものが買える。

ベンツのEクラスとか、ポルシェのマカンあたりだと余裕で購入可能である。
フェラーリやランボルギーニクラスとなると、購入価格が3000万円を超えるので厳しいが、残価設定ローンを使えば不可能ではない(もちろん、おすすめしないが)。

<新車のフェラーリを買う人の年収>
https://career21.jp/2018-10-04-160210/

<ランボルギーニを買う人の年収>

https://career21.jp/2018-10-09-143404/

また、日常生活においても、十分に余裕がある生活を送れるはずだ。
成城石井や紀伊国屋の様な高級スーパー(関西ではIkariか)で日常的に買い物をしても良いだろう。
http://www.seijoishii.co.jp/

食にこだわるのであれば、毎月ミシュラン☆付のレストランに行くのも良いし、ブレゲの時計やジョンロブの紳士靴を買うのでも良い。

もちろん、全てにおいて贅沢をすると破綻してしまうのだが、それなりの高額消費をすることは可能になる。

3. 年収3000万円のサラリーマンの貯蓄と投資

①貯蓄

年収3000万円あれば、どの程度の貯蓄が必要であろうか?
これは、年齢、年収3000万円を何年継続できたかとか、消費性向によって全く異なるのだが、ファイナンシャル・プランニング的には、年収の2倍位の金融資産を保有することが望ましいとされる。そうすると、6000万円というのが貯蓄目標のイメージである。

あるいは、ファイナンシャル・プランニング的には、年収の2割を貯蓄に振り向けるのが望ましいとされる。年収3000万円であれば年に500~600万円位の貯蓄ということになるが、累進税率を考えると、それほど楽ではない。

もっとも、サラリーマンには税制が優遇された退職金という見方もいる。
外資系企業の場合、基本給の1割位の退職金が支払われるケースが少なくない。
そうすると、10年位働いた場合の退職金は、200万円×10年間=2000万円である。毎年500~600万円頑張って貯蓄をすれば、10年後には7000~8000万円の金融資産が蓄積できる。

このように、年収3000万円を長く継続できると、それなりの資産形成が可能になるので、どんどん余裕が出来てくるということだ。

<外資系金融機関の貯蓄額>
https://career21.jp/2019-03-22-100500/

②投資

超低金利が継続しており、貯蓄の代わりに、有価証券投資や収益不動産投資をする人もいる。外資系金融機関の場合、金融市場や自己のパフォーマンスによって年収が大きく左右され、また、国内系企業の様に終身雇用が保証されているわけではない。このため、将来に備えて収益源を作っておこうという考えである。

外資系金融の場合は、業界・社内ルールによって有価証券投資は規制されているので、有価証券投資で一発当てようということは出来ない。また、投資の現場にいるからこそ、そんなに簡単に儲けることができないということもわかっている。そこで、収益不動産投資をする人は結構いる。

年収3000万円のサラリーマンの場合、家賃や飲食、高級消費財で散財するとほとんど残らないが、倹約して貯蓄や投資に振り向けると、10年間で結構な資産形成が可能になる。

4. 年収3000万円のサラリーマンになるには?

①新卒で頑張って外銀に就職する

サラリーマンで年収3000万円を最も早く実現する方法はこれである。
外銀のIBDや市場部門に新卒でアナリストとして入社し、3年後にアナリストに昇格すると20代後半のうちに年収3000万円を達成可能である。さらに頑張って、VPになると年収5000万円も可能である。

しかし、新卒で外銀に内定するのは非常に難しい。東大、早慶のトップ層が入学後早い段階で就活対策をして、厳しい競争を勝ち抜いてようやく内定を手にすることができるのである。

どうしても新卒で外銀に就職したいのであれば、YC塾や外資就活アカデミアの様な選抜コミュニティに入会するのが一番堅い。こういったところでは、ほぼ全員が外銀内定を実現している。(もちろん、選抜コミュニティに入る段階でふるいにかけられているのだが)

<選抜コミュニティ>
https://career21.jp/2019-12-04-150154/

②新卒で国内系企業に入社して外資系企業に転職する

新卒で外銀に入社しなくても、途中で外資系企業に転職をすれば年収3000万円は可能である。典型的なのが外資系運用会社(アセマネ)である。外資系アセマネは一部の例外(投資銀行系や最大手)を除いて、新卒採用を行わない。このため、国内のアセマネや証券会社からの転職するのが一般的である。但し、30歳位のVPレベルでは年収3000万円を実現するのは難しい。一旦、年収2000万円前後で転職をして、その後、実績を重ねていく必要がある。このため、外資系アセマネの場合、年収3000万円は十分可能だが、達成に要する時間は外銀よりもかかる。

また、外資系金融以外でも、上述の通り、GAFAMの管理職であれば年収3000万円が可能な場合もある。これは、非常に優れたエンジニアであったり、四大法律事務所出身の弁護士であったり、MBA経由の管理職等であることが求められ、こちらも、外銀と比べるとかなり長い道のりである。

③私費でトップMBAに留学する

新卒で外銀は無理だし、金融専門職に就くのも難しい。また、トップレベルのエンジニアや弁護士にはなれない。

そういう場合でも、年収3000万円を実現したい場合には、私費でMBA留学を目指せばよい。欧米又はアジアのトップMBAを卒業すると、業務経験がなくても、IBD、アセマネ、ヘッジファンド、トップティアのテック企業等に就職することが可能となる。

もちろん、年間1000万円位の費用が掛かるが、奨学金や学費ローンの制度があるので、卒業後に回収することは十分可能だ。やる気と行動力があるのなら、私費MBAというのは非常に強力なキャリアのリセット方法である。

④副業で頑張る

これは、厳密には「サラリーマンで」年収3000万円ということには該当しないかも知れないが、メインの職業がサラリーマンで、副業を合わせて年収3000万円というのは今後増えてくる可能性がある。

副業は緩和の方向にあり、既に大企業でも副業を解禁している企業はある。ただ、制度としての副業は認められていても、副業を利用して稼げているサラリーマンは少数だ。このため、決まった勝ちパターンというのは存在しない。

副業で月に100万稼ぐことは大変だが、月に5万、10万であれば特に難しくはない。
クラウドソーシングで単純作業をやったり、メルカリやヤフオクの延長線上で物販に注力すれば可能だからだ。

サラリーマンが副業をやる意味が大きいのは、自営業の世界を経験することができるからである。サラリーマンの場合、年功序列型の横並び賃金なので、年収100万円を増やそうと思えば、2~3年かかるのではないだろうか?

しかし、副業を利用すれば、月に8万円稼ぐだけで年収100万円アップが可能である。また、頑張れば頑張っただけ、その結果を直接自分が享受することができる。サラリーマンの場合、頑張ったところでボーナスの違いはせいぜい20-30万円というケースは少なくない。この点を体感できるのは非常に大きい。

さらに、副業が軌道に乗り始め、月に20~30万円稼げるようになると税金も気になり、サラリーマンが苦手な経費や節税の考え方を勉強することにつながる。

以上の様に、サラリーマンが副業を始めるのは起業・独立の第一歩にもつながるわけであり、非常に面白い。月数万円でも始めてみればいいだろう。

5. 年収3000万円のサラリーマンが次に考えること

①アップサイドを考える

年収3000万円に到達できても、それは、まだビジネスマンとしてのゴールではない。何故なら、サラリーマンの場合は税率が高く、長期間継続できないと十分な貯金はできない。

年収3000万円に到達した年齢や業種・職種によって、できることは異なるだろうが、どうやって年収を維持・向上させるかを考える必要がある。

外銀の場合、早ければ20代で到達できるが、実質的な定年は若く、他の業種よりも太く短く稼ぐ必要がある。そのためには、VP、更にはMDを目指して頑張る必要がある。また、早期のリタイアも想定して収益不動産に投資をすることも考える必要がある。

外資系アセマネやGAFAMの様な外資系ITの場合、外銀よりは長く働けるかも知れないが、外銀の様に短期で一気に稼ぐことは難しいので、なるべく長く働けるよう努める必要がある。

国内系企業で役員に昇格できた場合には、その後も子会社の役員等のポストが用意され、長く働ける可能性があるかも知れないが、それまでの給与水準が外資系ほどは高くないので、資産運用等も考える必要があるかも知れない。

ある年収5億超の富裕層が言うには、「年収3000万円に到達できたということはかなり能力の高い人である場合が多い。したがって、そこからもう一息頑張れば、1億超も十分狙えるのに、それで満足して終わってしまう人が多く、実に勿体ない。」。

精神論的な話になってしまうが、年収3000万円に到達してからも、更なるアップサイドを求めていくことが重要であろう。

②会社経営者になることを意識する

上記①のアップサイドを狙うことと関連するが、サラリーマンの場合、高年収を実現しても経費が使えず、税制的に不利な面がある。

このため、もうワンランク上を狙うためには、「金持ち父さん」に書かれている通り、やはり自らが会社経営者になることも考えた方がいいだろう。

しかし、長年サラリーマンをやると、自ら経営者になって独立するというのはかなり抵抗がある。どうやって、お金を稼いでいいのかがわからない。

この点については、副業からでいいので、小さくキャッシュを生むビジネスを自ら手掛けてみることが良い。少額でも稼ぐことができれば、あとは、それを如何にして大きくするかを考えればいい。

サラリーマンで年収3000万円を実現するのは、簡単ではないが、方法はいろいろある。実現すると、良いことも多いので、チャレンジする価値はあるだろう。

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