外資系金融のバックオフィス(経理、人事、コンプライアンス)の年収と将来性について

外資系金融はフロント職だけではない

外資系金融と言うと、「M&A」、「トレーディング」、「セールス」といったフロント職を想像する人が多いと思うが、実は、半分位はミドル・オフィス(オペレーション、レポーティング)やバックオフィスといった非フロント職が占めている。

1. バックオフィスの定義

オペレーションというミドル・オフィスをバックオフィスに含める場合と、含めない場合がある。ここでは、オペレーション部門はバックオフィスに含めないものとする。

オペレーションの場合は、フロント業務と連動する要素が強く、また、海外へのアウトソースも進んできているため、結構雇用面が不安定になってきている。

したがって、バックオフィスはここでは、経理、人事、コンプライアンスに絞って考えることとする。

なお、ITや内部監査もバックオフィスであるが、ITはそもそも雇用形態が請け負いや派遣だったりする場合が多く、内部監査の場合には日本語が必須では無いので外国人(特に何故かアジア系)が多く占めていたりするので、こちらも除いて考える。

2. 外資系証券会社のバックオフィスについて

年収、すなわち、ベースと言われる基本給と、年1回のボーナスを合わせた金額が、VPで2000万円程度、1ランク上のDirector(或いはSVP:Senior Vice President)で3000万円、最高位のMDで5000万円~、というのが一つの目安である。

もっとも、最大手でない場合には、バックオフィスの部門長でもMDでない場合がある。これだけ見ると、バックオフィスも悪くないように見えるが、従来はフロントとの差が大きく、社内でのステイタスは低かった。

リーマンショック後は、バックオフィスの年収が増えたのではなく、フロント職の年収(特にボーナス)が減ったので、両者間の年収格差は縮まってきた。

解雇とかリストラのリスクがあるのは、バックオフィスもフロント職と同様であるが、相対的には解雇やリストラのリスクはフロント職よりは低めである。

もっとも、終身雇用の国内系のバックオフィスと比べると、リスクが高いことは間違いない。バックオフィスも外資系企業であり、日本企業のように転勤でどこかで雇ってもらえるわけには行かないのである。

ボーナスはフロント職と比べると、大きく見劣りするものの、退職金はベースを基準に決定するので、この点は同じである。

バックオフィスの場合には、比較的長期間在籍できるので、その場合には退職金(税率が著しく低い)でそれなりに貯めることができる。

外資系の場合、退職金は1年あたり基本給の1割というのが一つの目安なので、例えば、ベースが2000万円であれば、10年間在籍すると、2000×1/10×10=2000万円ほどもらえることとなる。

将来性については、一般的にはそれほど明るいわけではない。何故なら、リーマンショックによるボルカールールによって、証券会社(投資銀行)の最大の収益源であるトレーディングが大幅に規制されてしまったので、今のようにそれなりに景況感が良くても大盤振る舞いできるほど儲からないし、景気が下がれば収益は連動して悪化するからである。

特に、ドイツ銀行、UBS、クレディスイス、パリバ、バークレイズといった大手の欧州系の業績がぱっとせず、あまり楽観視はできないだろう。

バックオフィスとはいえ、グループ、日本拠点の業績が悪化すれば、ボーナスカットやリストラがあるのはフロント職と同様だからである。

3. 外資系運用会社のバックオフィス

年収は、VPで1500~2000、Director(部長)で2000~3000、大手の部長(Director,SVP,MD)で4000~5000といったイメージである。

同じタイトルで比べてみると、外資系証券会社より少ない。

もっとも、運用会社の場合には、リーマンショックの前から、フロント職とバックオフィスとの年収格差は小さい。フロント職が莫大なボーナスをもらえないからである。

その意味で、フロントとバックとの社内格差が小さく、バックオフィスの人間にとっては居心地がいいのが運用会社の特徴である。

また、外資系証券会社のバックオフィスと比べた場合、解雇やリストラのリスクは相対的に低いと言えるだろう。

外資系運用会社の最大のメリットは、会社の数が多いことである。

外資系証券会社は日本でせいぜい10社位である。他方、外資系運用会社の場合には、日本でそこそこビジネスを展開している会社は30~40社はあるし、ヘッジファンドのような小規模なものを含めるとさらに多い。

経理、人事、コンプライアンスといった部門は、全ての会社に存在するので、会社数が多いということは、転職先が多いということであり、逃げれるところが証券会社と比べて遥かに多いということなのである。

また、外資系証券会社と比べると、外資系運用会社の平均年齢は総じて高めで、平均年齢が50歳位の会社も少なくない。

年収は外資系証券会社よりも低めだが、長く働くには外資系運用会社の方がいいだろう。

もちろん、国内系の運用会社と比べると、それでもリスクは相対的に高い。特に、合併があった場合には被合併会社(吸収会社)の社員は切られがちなので、いざという時には転職することができる経験、スキルと転職情報力を身に着けておく必要があるだろう。

なお、将来的な安定性を考慮して、外資系証券会社から外資系運用会社への転身を考える人達もいるが、それは総じて容易ではない。

何故なら、やはり業務が違うので即戦力にはならないし、平均年齢やカルチャーの面で違っているので、外資系運用会社としては特に外資系証券会社の人材を欲しいとは思わないからである。

外資系証券と比べると外資系運用会社は、ミドルリスク・ミドルリターンと評することができるが、VPクラスの年収2000万円程度だと、国内系に居た方がいいという考えも成り立つ。

何故なら、国内系だと終身雇用でほぼリスクゼロで40代で年収1400-1500万円ほどもらえるので、リスクのある年収2000万ならとくに行くほどの価値はないという見方ができるからである。

したがって、外資系運用会社のバックオフィスに行くなら、攻めて部長クラスの2500万円程度は欲しいものだ。

4. 外資系保険会社

外資系の保険会社の場合は、外資系の証券会社や運用会社とは大きく異なり、国内系の生命保険会社と給与水準は変わらない。日本生命や第一生命と比べると、一般的には外資系の方が少ないと言えるだろう。

外資系のバックオフィスの部長クラスで1600~1800万円と2000万には到達しない。また、証券会社・運用会社と保険会社との間で転職することもまずない。

従って、外資系保険会社は対象から外して考えた方がいい。

5. 新卒で狙う意味

まず、外資系運用会社の場合には、平均年齢が高く年功序列の雰囲気が強い印象である。従って、管理職であるVPクラスに到達するまでの期間が長すぎるきらいがある。

従って、わざわざ新卒でバックオフィスをやる意味はないだろう。

もっとも、外資系運用会社で新卒採用をやるのは、フィデリティ、ブラックロックと少ないので、あまり検討の余地は無いかも知れないが。

外資系証券会社の場合も、新卒でバックオフィスの募集はそれほど定員が多くないと思う。ゴールドマン・サックスの場合は、Financeなど別途採用しているようだ。

ゴールドマン・サックスのFinanceのポジションであれば構わないかもしれないが、それ以外はリスクも高く、わざわざ新卒でバックオフィスに行くメリットはあまりなのでは無かろうか?

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