序. 「稼ぎ方」のヒントについて与沢翼氏は提供してくれている
稼ぎ方、儲け方についての書籍、DVD、ネット情報は溢れているが、何故、与沢翼氏に着目するのか?
それは、第1に、スケールが年収(フロー)においても資産(ストック)においても、文句なく大きいからである。書店に行くと、特に有名でも無い著者の成功術の書籍が沢山あるが、果たしてどれくらい成功した人なのかはわからない。
その点、与沢翼氏の場合はスケール的に問題ないことが明らかなので他の知らない著者よりも参考にできると考えられるからである。
第2に、他の成功を売りにする人達と比べて、与沢翼氏の場合は本人自らが説明してくれているコンテンツが圧倒的に多いからである。
成功本の多くが肝心要の稼ぎ方について触れていないことが多いが、与沢氏の場合は、YouTube等で結構丁寧に話してくれているので、参考にできる情報が多いのである。
1. 与沢翼と年収、資産
与沢翼氏は、1982年生まれの37歳の投資家・起業家で、早稲田在学在学中からアパレル事業を起こし年収2000万円以上を稼いでいた。
アパレル事業失敗後は、アフィリエイト、情報商材ビジネスでメディアに登場し、ヒルズ在住、フェラーリ・ベントレーなど金満ぶりをアピールしていた。
情報商材ビジネス失敗後は、投資を足掛かりに復活し、2017年は仮想通貨で10億円以上儲けるなど大成功し、年収25億円を達成した。
少し前までは、ドバイに在住だったが、最近タイのバンコクに引っ越しをしたようだ(2020年6月時点)。
今回のコロナ騒動によって、10億円位の損が発生したようだが、それでも資産規模は60~70億円レベルであり、特に困ったことは無さそうだ。
2. 最初のアパレル事業と年収について
与沢翼氏は、早稲田大学在学中にアパレル事業を立ち上げ、渋谷109に実店舗を出店したり、通販サイトを展開するなどし、上場も視野に入れられるほど成功を収めた。
その際の年収は2400万円程度であったという。
しかし、過剰在庫、借入金の過多、役員の不正等によって、失敗し廃業することとなってしまう。
3. 情報商材ビジネスについて
最初のアパレル事業は失敗に終わってしまうが、与沢翼氏はその失敗の原因を活かして次の事業で勝負する。
アパレル事業の敗因は、過剰在庫と借入金の過多にあったと与沢翼氏は考え、在庫無し・借入金無し、そして再生産無制限の情報商材ビジネスに目を向ける。
六本木ヒルズ在住、フェラーリ・ベントレーをいわば広告・宣伝として、書籍やメディア登場によってそれをアピールし、ビジネスの成功法に関する情報商材を販売し、年商数十億円を達成したようだ。
しかし、身の丈以上の使い過ぎ(本人曰く、車は全て現金購入でロールスロイスは1台7000万円もしたという…)と、部下の裏切り(横領、不正等)が敗因で、納税資金がショートし、最終的には廃業せざるを得なくなってしまった。
4. 年収と資産を大幅に減らした後の事業は、投資と個人メディア業
情報商材事業の失敗で、与沢翼氏の資金はほとんど底をついてしまったようだ。
家賃が100万円以上の六本木ヒルズから、家賃が15万円の新宿のワンルームマンションに引っ越すことになったという。
与沢翼氏は、今回も敗因を分析し、次の事業アイデアに反映させる。
情報商材ビジネスの敗因は、身の丈以上の経費の使い過ぎと、人を見る目の無さ(問題となる幹部社員を雇ってしまったこと)にあると、与沢翼氏は分析した。
そこで、与沢翼氏は次の事業に「投資」を選ぶこととした。投資というのは事業への投資ではなく、FX、株式、不動産などの相場があるものへの投資である。
こういった投資であれば、従業員を雇う必要はなく、単独で実行可能だからだ。
また、消費も必ず収入に収まる範囲でしか行わないことを徹底することとした。
与沢翼氏は、投資で稼ぐと決めてからは何か月間か猛勉強し、3か月で1億円稼ぐことに成功したという。そして、家賃15万円の新宿のマンションから家賃33万円の品川のペントハウスに引っ越しできたという。
もっとも、具体的に、どういった投資対象(株、FX?)で、どういった投資手法(現物、信用・証拠金等のレバレッジ取引、空売り?)で儲けたかは明らかにはされていない。
ただ、その1億円を元手に次々と投資に成功し、シンガポールに引っ越したようだ。
また、情報商材ビジネスではないが、自己の知名度或いは成功を活かして広告宣伝費の獲得に成功していたようだ。
いくら勉強しても、投資で絶対に儲かるということは無いので、上手く個人メディアビジネスでも一定の成果を得られていたと思料される。
5. 与沢翼の稼ぎ方の哲学
以上のように、与沢翼氏は、紆余曲折を経て過去の失敗を教訓として何度も復活し、現在は年収10億円以上、資産60~70億円レベルの生活を送っている。
過去の反省を生かし、従業員を雇用したり、借入を伴う事業を行っていないために、今までのように失敗するリスクはまず無さそうだ。
与沢翼氏は、YouTube等で断片的ではあるが、以下のような成功哲学について語ってくれている。
①給与では稼げない。投資、或いは自らが経営者となるしかない。
一流大学を出てトップ企業に勤めたところで、40歳でせいぜい2000万円程度である。
40代で役員になったところで、3000万円が限界である。
それだと、1年で貯められる金額はせいぜい1000万円程度であり、それだと、全然金持ちになることはできない。
被用者で成功できるとすれば、スポーツ選手、芸能人、ミュージシャン、漫画家、お笑い芸人などの極々限られた職種だ。しかも、こういった職種はトップは極端に稼ぐことができる反面、それ以外の成功していない大半の人達は標準的なサラリーマンよりも低い収入しか得られないことが多い。
したがって、稼ぎたいのであれば、このような極めて例外的な職種で成功を収めることができる場合を除けば、自らが経営者になるか、投資家として成功を収めるしか無いことになる。
②稼いで資産を形成するにはレバレッジが必要
人間が一人だけでできることには物理的に限界がある。
手が2本、足が2本であり、時間も一日24時間しかない。
これは全ての人にとって共通である。
従って、人より多く稼ぐためには、何らかの形でレバレッジを掛けなければならない。
例えば、経営者というのは、従業員を雇うことによって、10人分、100人分の稼ぎから経営者はリターンを得ることができるのである。
また、投資というのは、投資先の会社(とその多くの従業員)の成果を得ようとするものであり、これも一種のレバレッジと評することができる。
さらに、ネットビジネスというのは、自分というメディアをネットというインフラを使って世界中に発信するものであって、これもネットインフラをレバレッジとして使っていると評価できる。
このように、儲けるためには何らかのレバレッジが必ずあるわけなので、どうやってレバレッジを掛けて儲けるかを考える必要がある。
③投資(キャッシュを産むもの)に余剰資産を全て突っ込め
与沢翼氏は、情報商材ビジネスで大儲けしたにも関わらず、儲けた以上に浪費することによって失敗してしまったという。
従って、今では、儲けた以上に使わないということを金科玉条としている。
更に、余剰資産の使い道を、キャッシュを産むものに突っ込めと話している。
稼いだお金を、車とか家賃とか飲み食いとかに使ってしまうと、何も残らない。
他方、株、債券、不動産、事業投資等であれば、そこから、配当、金利、家賃等の果実が得らえる。そして、その果実をさらに投資に回していけば加速度的に資産は膨らんで行くという。
④資産運用においては複利を利用する。
これは上記③と関連し、また、他の多くの資産家も述べていることではあるが、保有資産から得られる果実(金利、配当、家賃等のインカムゲイン)をさらに収益資産に投資をすることによって、複利効果で資産を加速度的に増やそうということである。
与沢翼氏の例だと、保有資産が11億あった場合(当時の与沢翼氏の資産額)、ネット7%で複利運用すると、10年後には保有資産が22億円となり、さらに、資産が値上がりすればそれ以上に資産は膨らむという。
⑤グローバルな視点を持つ。
日本にずっといると、株や不動産は今後そこまで値上がりは期待できないし、債券や預金の利回りはほぼゼロだし、新たにビジネスを始めると言っても国内市場は少子高齢化で希望が持てないとなってしまう。
しかし、海外に目を向けるとそうとは限らない。
中国、インドはまだまだ成長し続けるし、ベトナム、インドネシアなどは急激な経済成長も期待できる。先進国の中でも、アメリカは国債の利回りが3%ある。
このように、投資においてはグローバルな視点を持つことが大切である。
与沢翼氏は、シンガポール、そして今はドバイに在住して言えるが、外国に居住する理由の一つは成長市場で儲ける機会を増やそうとすることだ。
⑥事業のポイント
与沢翼氏の事業を始める際のポイントは、在庫無し、借入なし、無制限に複製可能、粗利が高いというビジネスだ。
これは、ホリエモンも似たようなことを言っていた。
従って、製造業は基本的にダメ、サービス業も小売り、外食といった在庫が絡むビジネスは基本的にダメである。
そうなってくると、ITの一部等に限定されてくる。
6. 与沢翼の投資の哲学
与沢翼氏は、情報商材ビジネスで失敗した後、猛勉強をした後に投資で大成功したという。確かに、彼のYouTubeを見てみると、株やFXの知識は相当なレベルにあるようだ。
投資についても、断片的ではあるが、YouTube等で以下のような面白い投資の哲学を説明している。
①あなたは、いきなりマイクタイソンとボクシングの試合ができますか?
これは、与沢翼氏がYouTubeで話していた。
普通の人が、いきなりマイクタイソンとボクシングの試合をしたり、プロ野球のエースと対戦しても勝てる訳がない。
ところが、投資の世界というのは面白いもので、プロ中のプロとド素人とが対戦できてしまう世界である。
言いたいことは、ろくに勉強しない素人が投資を始めたところで、プロに勝てるわけがなく、ほとんどの場合は損して終わってしまうということである。
言い換えれば、相当勉強してから投資の世界に入らないと、それはいきなりマイクタイソンとボクシングの試合をするようなものなので、無謀というものである。
面白いことに、投資の世界ではそれが十分認識されていないということである。
②ヘッジファンドやファンドマネージャー達は怖くない?
与沢翼氏によると、プロと言っても、ヘッジファンドやファンドマネージャー達は怖くないという。
何故なら、彼らが運用するのは所詮他人の金なので、本当の意味での勝負師ではないからだ(ヘッジファンドは一部自分の手金も投資をするが)。
精神論的ではあるが、面白い指摘である。
投資をするにあたっては、それ位真剣に行えということだ。
③成功者のマネをしない。自分の頭でも考えよ。
上記①②とも関連することだが、与沢翼氏によると、勉強することは必要条件であるが、成功者のマネをするだけでは儲けることができないという。
例えば、多くの個人投資家はウォーレン・バフェットの本を読んでいるが、それをそのまま活用しようとしても上手く行かないという。
何故か?
与沢翼氏によると、まず、バフェットと一般人とでは、資金量が全く異なるという。
発行済み株式総数の数%にも及ぶ金額の投資をすれば、経営陣に対するインパクトも大きいし、追随する投資家も出てくるだろう。
この点、個人が少額を投資するのとはわけが違うという。
また、投資をしている時代も違う。
バフェットが銘柄を仕込んだのは1980年代だったりするわけで、今よりも株価は遥かに安い時代である。ニューヨークダウが2万ドル台である今から投資を始める個人とでは、そのあたりの時間的な事情も違っている。
さらに、投資をする場所が違う。
バフェットの投資対象とする銘柄は主として米国である。
米国株の場合には現在20兆円の時価総額の銘柄が40兆円になることもある。
他方、日本株でいうと時価総額10兆円の銘柄が、そこから倍になる可能性は極めて限られてしまう。グローバルな展開力が、アメリカ企業と日本企業とでは異なるからだ。
このため、米国株を主たる投資対象とするバフェットの手法を、日本株に応用しようとしても事情が大きく異なるというわけだ。
もちろん、個人投資家も米国株を投資対象としても構わないが、情報量が日本株と比べて限定的である上、開示資料も英語である。
従って、日本の一般投資家が米国株について米国の投資家たちと対等に戦うためには、相当の能力と努力が必要になるということだ。
7. 与沢翼のFX投資による資産運用の考え方
与沢翼氏は、FX取引にも投資をしているようだ。
テレビ朝日のEXD44では、FXのトレーディングのシーンが放映されていた。
FXにはキャピタルゲイン狙いの短期トレード、利回り狙いのスワップ取引などいろいろあるが、与沢翼氏はスワップ取引で金利差を取るよりも、短期的なキャピタルゲイン狙いのトレーディングがメインのようだ。
もっとも、どのタイミングでどういったFX取引で、どれくらい儲けたかということは明らかにされていない。
FXについて、与沢翼氏が自信を持ってコメントしていたのは、自動売買では絶対勝てないう点である。
その理由としては、相場というのはその時々で異なる動きをするもので、全て過去と同じパターンで動くというのはあり得ないからだ。
もちろん、過去と同じような値動きをするパターンもあるだろうが、少なくとも言えることは毎回過去と同じパターンになることはない。
その意味で、システムに任せっきりの自動売買で勝つことはまず無理ということである。
8. 株式投資
YouTubeの本人の話から推察すると、与沢翼氏テクニカル分析、信用取引、ファンダメンタルズ分析についての相応の専門知識を持っているようで、株式投資も行っていたようだ。
ただ、具体的にどのような成果があったのかはFXに比してあまり多く語られていないため、ひょっとしたら投資成果は芳しくなかったのかも知れない。
与沢翼氏が投資を始めたころはアベノミクス相場に乗れたタイミングであったので、日本株投資で儲けるチャンスは大いにあったので、自分の予想としては、日本株で儲けたのかと思っていたが、この辺はよくわからない。
YouTube等で、与沢翼氏本人は「長期」と「短期」という言葉を明確に使い分けていたので、デイ・トレーディングのような短期売買と、バフェット的な長期保有と両方やっているようだ。
なお、本人が言及しているコンテンツを見たことは無いが、「果実を生む資産に投資をしろ」ということを強調しているので、配当利回り重視の株式投資もありかも知れない。
株式投資は、FX投資や仮想通貨投資と比べて、身近で参加者も多いポピュラーな投資対象であるが、その割に、コメントの頻度が少ないような気がするので、去年大成功した仮想通貨の方が好きなのかも知れない。
9. 与沢翼と不動産投資を通じた資産形成
与沢翼氏はテレビ朝日のEXD44でも語っていたが、不動産投資はお好きなようだ。
現在では、毎月1件は不動産投資を行っているようだ。
(ドバイの物件は1億円位あれば買えるらしいので)
与沢翼氏の不動産投資の特徴は2つある。
第1は、人口成長等をドライバーに、経済成長が見込めるエマージング諸国の物件に投資をしていることである。
具体的には、シンガポール(ここはエマージング諸国ではないが)、タイ、フィリピン、ドバイあたりだ。
与沢翼氏が非凡なところは、マクロ経済が成長するところの不動産は上昇するという基本を押さえた上で、不動産の地域性について自らが居住する等して情報収集している点である。
実際、日本も経済成長期には不動産価格は10倍位になったし、上海の不動産価格も10倍になった。彼は、自ら日本や上海の地価上昇を経験したことはないのだが、きっちりと次の上海を押さえにかかっているのである。
第2に、その地域におけるトップ物件を狙うことである。
日本でも、現在でもマンション価格が上昇或いは維持できている物件は港区などの都心部の物件である。その中でも、例えば広尾ガーデンヒルズなどのランドマーク的な物件は値下がりしない。
それは供給が限定されているし、お金のある人は高い物件から買っていくからである。
また、マンションに投資をした場合、貸し出すことができるので彼のいうところの「果実」を得ることができる。特に、経済成長国の場合には賃料利回り水準も先進国よりも高いので、それなりのインカムゲインを期待することが可能なのである。
10. 与沢翼と仮想通貨
与沢翼氏で投資というと、仮想通貨ではないだろうか?
2017年には仮想通貨だけで14億円もの利益を確定し、再び与沢翼という名前を喚起させるきっかけになったのではないだろうか?
彼が仮想通貨で成功できた理由にはいろいろ背景がある。
第1に、それまで既に投資等でまとまった資産を保有していたので、数億円を仮想通貨投資をできる余裕があった点である。
情報商材ビジネスで失敗して間もない時期であれば、まとまった資金を仮想通貨に振り向ける余裕はなかったであろう。
第2に、与沢翼氏の投資哲学として安易に「他人のマネをしない」ということがある。
言い換えると、多くの人が目を付ける前に投資をするということだ。
新たに儲かりそうな投資については、アンテナを張っていた与沢翼氏だからこそ、大成功できたのであろう。
なお、投資手法としては、FXトレードにおけるテクニカル分析ではなく、ファンダメンタルズを重視しているようだ。仮想通貨の場合、厳密にはファンダメンタルズとは言わないのだろうが、着眼点としては、諸外国における決済手段のインフラとして拡大する余地がある点に気づいたことだ。
これは海外での生活をしているからこそ、他の人よりも感じることができたのであろう。
やはり、投資で成功するには、グローバルな視点を持ち合わさなければならないのである。
11. 与沢翼の強み
何故、与沢翼氏は幾度の失敗にもかかわらず、ここまで大成功することができたのであろうか?
やはり、それには他の人と比べて、明らかに能力が高いと思われる点がいくつもあるからだ。
具体的には、以下の3点が挙げられるだろう。
第1は、事業センスが鋭いことである。
最初のアパレル事業、2つ目の情報商材事業とも、周りの人が気づいていないニーズに着眼し、即座に実行できたことが成功要因である。
また、これは与沢翼氏本人が言及しているが「レバレッジ」をかけることによって、その成功をブーストしている点である。「集中投資」と言い換えることができるかも知れない。
「これは行ける!」と判断すると、あらゆる経営資源をそこに再投資して、収益化を加速することができるのである。
このあたりのセンスは簡単にマネできないかも知れない。
第2は、話術が特に優れていることである。
与沢翼氏が最初に大成功したのは情報商材事業であるのだが、彼はしゃべりが上手い。
論理的でわかりやすいだけでなく、感情を交えて淡々と話すことができる。
プレゼンだけでも突出して高い能力を持っていると思われ、どんな営業職をやっていても、彼はトップになれたのだろう。
第3は、視野の広さである。
彼は、シンガポール、ドバイと外国に引っ越しをしているのであるが、投資機会を拡げるためには海外に目を向けざるを得ない。
金融機関も国内資産だけでは利回りがでないので、海外の資産を投資対象とせざるを得ない。
与沢翼氏は、それを個人として自ら実践しているのである。
また、人一倍勉強熱心であり、テクノロジーのこともよく知っている。
このあたりが、仮想通貨で閃くことができた背景であろう。
12. 与沢翼の弱み
誰にでも弱みはある。
彼の弱みは何であろうか?弱みとまでは言えないのだろうが、以下の点は課題かも知れない。
第1は、採用、人によるレバレッジをあきらめたことである。
これは、本人自身が話しているが、情報商材ビジネスでの部下の裏切りがよほど堪えたのか、「二度と人を雇うビジネスはやらない」ということである。
そうすると、確かにリスクは減るかも知れないが、その代わり、人を雇うことによってレバレッジを利かせるという選択肢が無くなってしまう。
具体的には、企業を作って、それを大きくして大儲けをするということができなくなってしまうわけである。
超大金持ちというのは、大抵、起業による自社株で大儲けしたケースが多いのだが、何故か与沢翼氏は、自社株売却で大儲けしたことは無い。
最初のアパレル会社、情報商材会社共に株式売却をする前に、たたむこととなってしまった。
彼は起業能力は高いのであろうが、雇用ができないと、企業を拡大できないために、株式売却によるEXITという魅力的な選択肢が無くなってしまうのは痛いかも知れない。
第2は、ITスキルである。具体的には、自らコーディングすることはできないので、IT系の起業或いは関与で大儲けす途は限定されてしまう。
もっとも、自ら高度なプログラミングできる人は少ないので、これを弱点ということは言えないかもしれないが、今世界中で大きく稼ぐことができるスキルはプログラミング関連であるので、それは少し残念な点かも知れない。
13. 今後の予想
現時点で既に年収で10億超、資産ベースで60~70億レベルということであるが、今後与沢翼氏はどのような活躍をされるのだろうか?
まず、予測できることは、彼は借入等のリスクを取っていないので、今までのように資産が経済変動により値下がりすることはあっても、資産を失うということはもはやあり得ない。
むしろ、着実に資産を拡大させ、数百億、そして数百億貯まれば1000億円に到達することは十分あり得るだろう。
延々と、仮想通貨や海外不動産に投資を続けることも可能であるが、そうすると彼も飽きてしまうのではないか?
もともと、得意であった起業をやりたくならないだろうか?
ただ、二度と人を雇うビジネスはしたくないということなので、会社を起ち上げるのはやらないかもしれない。
そうした場合には、ベンチャーキャピタルのような、未公開企業に投資を行うVCファンド的な事業を手掛けるかも知れない。
日本ではなく、インドや中国でVCビジネスを手掛けるかも知れない。
あるいは、すぐにではないかもしれないが、大穴で「政治家」になるかも知れない。
彼は喋りがうまいので、政治家として成功する素地は十分あるだろう。
もっとも、人に使われることは嫌いなので、一国会議員というのはやらないだろうから、あり得るとしたら「知事」であろう。
知事であれば、過去に石原慎太郎氏や橋下徹氏のような個性の強い人が就任しているので十分あり得るだろう。
ただ、田舎は嫌いだろうから、就任するとしたら、東京か大阪なのであろう。
14. 与沢翼を参考に、何から始めればいいのだろうか?
以上のように、事業においても投資においても大変参考になることの多い与沢翼氏であるが、我々は成功するために何から始めればいいのだろうか?
この点、与沢翼氏は一般人向けに成功の秘訣を断片的ではあるが、いろいろコメントしてくれている。
それらを勘案すると、以下のような行動が一つのパターンであろうか。
①まず、最低でも金融資産1000万円以上は作る
投資をやるにしても、事業を始めるにしても、元手がいる。
それには最低でも1000万円は必要である。
スタートはそこからだ。
面白いことに、与沢翼氏は、1000万円を用意してからの話はしてくれているが、1000万円をどう貯めるのかについてまでは話してくれていない。
彼は、高校中退してバイトをいろいろやって、17歳の時に700万円位貯金があったという。
従って、1000万円も自力で貯められない人は何をやっても無駄と思っているのかも知れないし、そもそも、彼からすると、1000万円すら貯められないことが理解できないのかも知れない。
②とにかく資産運用を始めてみる
とりあえず1000万円貯まれば、勉強も兼ねて投資を始めることが必要だ。
どういった投資が良いのだろうか?
不動産というのも家賃収入が入ってくるので、アリなのだろうが、元手としては1000万円では足りないかも知れない。
何故なら、借入はダメだからだ。となると、優良物件が買えなくなり、選択肢が狭まってしまう。
その点、株式投資なら始めやすい。
インカムゲイン重視の配当利回りに着眼した投資も可能だ。
ただ、株式投資をするにしても、グローバルな視点を持つことが必要だ。
外国株式をETFで投資をしたりすることもあり得るし、米国株の個別銘柄に投資をするということもできる。
いずれにせよ、日本株しか見ないというのでは不十分であろう。
また、与沢翼氏にあやかって、仮想通貨投資というのもある。
「今更リップルか?」という考えもあるかも知れないが、1000万円だと、とりあえず100万円くらいまでを仮想通貨に振り向けるというのも可能であろう。
少しでも投資をすると真剣度が違ってくるので、勉強にもなるであろう。
③仕事(本業)を見直して年収アップを図る
与沢翼氏によると、給与収入では金持ちになれない。
投資をするか、自らが経営者にならなければならない。
そうでないと、レバレッジを掛けることができず、収入に自ずと上限があるからだ。
従って、サラリーマンの場合も起業を考えなければならないのだが、大企業の恵まれた環境にいる人ほど、何をやっていいかわからないし、辞めた場合に失うものも大きいのですぐに独立することは難しい。
もっとも、そういう場合でも、打てる手は打つべきだ。
例えば、転職によって年収が増えたり、将来に向けてのスキルが身に付くのであれば、真剣に転職先を探すべきだ。
また、サラリーマンと起業の中間的な位置づけとして、ストック・オプション狙いのベンチャー企業への転職という途もある。
エリートサラリーマンにとっては十分検討に値する方法だ。
このように、すぐに起業は無理でも、それに向けての何らかの手を打つことが必要であろう。
④副業で個人ブログでもやってみる
サラリーマンの場合、いきなり起業は難しくても、副業で試してみるという手もある。
もちろん、副業と言っても、労働集約的な次につながらない副業は時間の無駄なのでやるべきではない。
与沢翼氏がおススメするのは、個人ブログだ。
個人ブログでPV貯めて、アフィリエイト、アドセンス等の広告収入で稼ぐ方法だ。
与沢翼氏によると、「月100万くらい、すぐ稼げるようになる」ということだ。
もっとも、実際はブログで月100万というと、月間数十万PVクラスの極一部のプロブロガーなのであり、一般的にはそんなに簡単ではないのだろうが、与沢翼氏のレベルからすると、そもそもそのレベルに達しないようでは見込みなしということだろうか。
もっとも、近年のGoogleアプデの影響で、アフィリエイトで稼ぐことはかなり難しくなっている。したがって、今から個人ブログを始めても、与沢翼氏が言う程は簡単に稼げなくても気にすることは無いだろう。ただ、個人でブログを始めて見ると、SEOや収益化など、webというビジネスツールに関する知識を磨くことができるのでお勧めである点は従来通りである。
⑤資産運用に際して複利を活用する
これは、ある程度、例えば1億円以上貯まってからの段階であろうが、複利効果を享受できるようになることが、億万長者への王道のようだ。
具体的には、金利、配当、賃料などの資産運用から発生した果実をさらに再投資に回し、利子が利子を生み出すような状態を作っていくことだ。
もちろん、本業からの収入が増えれば、その分投資に回せる分が増えるので、インカムゲインも増えることになる。
週刊プレジデントなどで記事を書いている、年収5億超の金森重樹氏も、複利効果の重要性を説いており、1億貯めるまでが大変で、1億円に到達するとそこから5億は可能というのだ。
⑥起業をする
やはり、成功するためには起業をする、すなわち自らが経営者にならなければならない。サラリーマンのままではたかが知れている。
とはいえ、起業を行うのはなかなか難しい。
実は、この点、起業の具体的な始め方については、与沢翼氏はあまり触れていないようだ。要するに、人のマネをしてもダメで、自分で考えて始めなければならない。
ただ、ヒントはくれていて、
〇在庫が無い
〇借り入れが無い
〇無制限に再生産することが可能
〇粗利が高い
ビジネスであることが必要だ。
となると、情報系のサービス業ということになる。
そうであれば、副業のブログがうまく行けばそちらにフォーカスするというのもあるだろうし、また、投資が合いそうであれば投資に専念するというのも一つの途だ。
これについては、また別途考えてみたい。
15. 学生の間に考えること
現在学生であれば、将来に向けていろいろ準備をすることが可能だ。
上記の与沢翼氏のコメントを参考にすると、以下の3点を学生時代にやっておくと相当明るい将来が展望できるのではないだろうか?
①英語をマスターする
学生時代にやっておくべきことはこれである。
与沢翼氏も、英語をマスターしてから、不動産投資など視野が拡がっている。
大学受験の知識が錆びないうちに一年生から勉強すると、TOEIC900位までにはしておきたいものだ。
まじめにやれば、少なくともTOEIC860は十分可能だろう。
それなら、就活に生かすことも可能だ。
②ブログをつけて一定のPVを達成しておく
インスタグラマーやユーチューバーなどもそうであるが、今後個人メディアというのがますます存在感を高めて行くだろう。
与沢翼氏自体、ネットインフラを使って情報商材ビジネスで一旦成功したのであるが、学生時代のうちに何らかの個人ブログを始めて、一定数のPVを達成しておきたい。
月数万円位稼げるようになれば、将来に向けていろいろと使えるだろう。
もちろん、生きたWebマーケティングをやっているので、就活で活用することもできるだろう。(もちろん、サラリーマンと言うのは一時的でなければならないのだが…)
学生にはネタが無いという意見もあるが、地元のB級グルメ、マイナースポーツ、地元の鉄道、ゲーム、漫画などいろいろ切り口はあるはずだ。
③ネット企業でアルバイト
インターネット系の起業でバイトをすると得られるものは多い。
ネットビジネス周りの知識や経験が増えるし、小さな組織で、企画、開発、マーケティング、経理、総務など多くの業務に触れることができる。
何となく会社が合わないと思えば、いくらでも変えることができる。
将来の起業に向けていい練習ができるはずだ。
なお、ベンチャー企業でのバイトの効用については、こちらの過去記事をご参照下さい。
https://career21.jp/2018-10-06-072653/
まとめ
それなりに長くなってしまったが、大成功している与沢翼氏からは大変参考になることが多い。
起業の考え方、投資の哲学、視野の広さ、失敗からの反省など、全部を一気に実践するのは難しくても、一つ一つ対応していくことは可能であろう。
2020年の初頭にコロナウイルスの問題が発生し、世界経済に極めて大きな影響を及ぼしている。2021年6月時点において、まだまだ景気動向の見通しは立ちにくい状況にあるが、与沢翼氏は年収的にも資産的にも何ら問題のない状況にある。
それは、資産分散、国際分散、収入源の多様化、無借金という対応を採ってリスク管理ができているのと、贅沢な様に見えるがそれはメディアサービスであって、意外に年収の割には堅実な暮らしをしているからである。
今後もまだまだ資産を増やしていくと思われる与沢翼氏の今後の行動も注目されよう。