年収重視の就職活動とおすすめ業種ランキング

序. 何故年収重視か?

経団連が就活ルールを廃止することが決定し、今後の就活の流れがわからなくなってしまったために、今の2年生以下は不安かも知れない。

ようやく窮屈な高校生活を終え、せっかく大学に入れたら即座に就職活動となると、行きつく暇も無い。

どういった基準で企業選びをすればいいのか決めきれないかも知れない中、「年収」を基準に企業選びをするというのは合理的な考え方である。

何故なら、以下の理由がある。

①「やりがい」「働きやすさ」「雰囲気」といった要素は重要であるが、多分に主観的な要素を包含している。「やりがい」重視で企業選びをしたものの、実際入社したら違ったということは良くある話である。

特に、日本の大企業の大半は配属先を決めないで採用するのでこのリスクは高い。

他方、年収の場合は客観的な基準であるので、「こんなはずじゃなかった」というリスクは低い。

②今の年収=その人の市場価値、と中途採用の場合は判断されがちであり、最初の会社の年収はその後の転職力や条件に影響を与えるからである。

「年収」は「実力」で決まるといっても、優秀な人の間では実力差というのは目に見えない。結局、現状の年収がその人の価値を示しているものと判断されてしまう。

従って、企業選びに迷った場合こそ、「年収」という確かな基準が頼りになるのである。

1. 「年収」とは何か?

ここでいう「年収」とは初任給とか年収2~3年目の年収を意味しない。

あくまでも、「生涯賃金」ベースでの年収をいう。

もちろん、終身雇用を前提としたものではないので、転職力をも含めた潜在的な「生涯賃金」が「年収」の判断基準となる。

このため、年収水準、就職偏差値が極めて高い、政府系金融機関(国際協力銀行や政策投資銀行)とマーケット・インフラストラクチャー(マケイン:日本取引所グループ、日本証券金融)などは評価が下がることとなる。

何故なら、政府系は将来賃金カットされるリスクがあるものの、転職能力に欠けるからである。政府系にいたからと言って、30後半で外銀に転職することはまず不可能である。

他方、ヤフー、LINE、楽天といったところは、平均収入自体は高くはないが、ネームバリューがあるし、専門性を備えると他のネット系ベンチャーに転職する能力は高い。

従って、統計的な平均年収よりも、評価をすべきである。

2. 「年収」重視でおすすめの企業(業種)ランキング

①外銀と外コン

何といっても、就職難易度が最高峰の外銀と外コンである。

ゴールドマンサックス、モルガン・スタンレーに代表される外銀、そして、マッキンゼー、BCGに代表される外コンは、「年収」重視であっても最高水準である。

いずれも、1000万円は20代で確実に超えるし、外銀の場合には20代で3000万も可能である。

もちろん、中途採用での転職力も高い。

難点は、「採用してもらえない」ということである。

採用方法も独特であり準備も大変であるが、選考も早いので、両者ともに落ちた場合のバックアッププランも考えての上での就職活動が必要であろう。

②大手証券会社のコース別採用

意外感があるかも知れないが、2番目におすすめなのが、こちらである。

就職偏差値の割には、「年収」という基準において優良物件である。

具体的には、野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の5社のコース別採用(IBD、トレーディング、リサーチ)の大手5社が対象となる。

こういったところで活躍すると、将来外銀に転職することも可能であるし、転職しなくともリテールよりも高額な年収が得られるからである。

30代で2000万円は十分に可能である。

また、投資銀行業務や投資評価といったノウハウを習得できるので、若ければ、CFO等のポジションでベンチャー系に転身するという選択肢もある。

外銀と言っても、収益性で劣る欧州系よりも、こちらの方が賢明な選択かも知れない。

③独立系/総合系コンサルティング・ファーム

外コンがあまりにも難易度が高いので、ある意味、外コンを落ちたトップ学生のためのポジションかも知れない。

もちろん、これらの企業群も難易度は極めて高く、穴場とは到底言えない。

具体的な企業名としては、ドリームインキュベーター、経営共創基盤、コーポレート・ディレクション、ベイカレント・コンサルティングあたりの独立系ファームと、デロイトトーマツ・コンサルティング、KPMG、E&Y、アクセンチュア、アビームあたりの旧Big4系のファームを言う。

これらの企業群は、平均収入とか終身雇用を前提した上での計算上の「年収」水準は、メガバンク、大手生損保、総合商社には劣るだろう。

例えば、総合系で最高給と言われているデロイトの場合でも、マネージャーで1300万、シニア・マネージャーで1700-1800万位がいいところであるのにくわえ、退職金の水準が低いため、生涯賃金だと大手金融機関には敵わない。

もっとも、コンサルティングは汎用性が極めて高いスキルであり、企業側もそれを評価している。従って、ベンチャー企業でも大手企業でも、転職能力は高い。

④(国内系)アセット・マネジメント会社

これも若干意外感があるかも知れないが、おすすめの企業群である。

(国内系)としたのは、新卒採用をやっている外資系はブラックロックとフィデリティ位しかないため、自ずと国内系がメインになるからである。

企業名としては、野村アセットマネジメント、大和証券投資信託委託、日興アセットマネジメント、アセットマネジメントONE、三井住友アセットマネジメント等である。

給与水準は親証券会社、親銀行と比べると1~2割位は見劣りする。

しかし、運用、営業、商品企画などの専門性を身に着けられる蓋然性が高く、外資系の運用会社の数が多いので、転職力は結構高い。また、ヘッジファンドなんかにも転職できる場合がある。転職先が片手も無い外資系証券会社と比べると、30過ぎてからの転職力は、運用会社の方が高いと言えるだろう。

他方、問題点はコース別採用が無いことである。リテール営業こそないが、バックオフィスやミドルオフィスなどもあるので、運用をやるつもりで入社したものの期待外れに終わるリスクがある。

⑤大手広告代理店

「何だ大手広告代理店か」という印象があるかも知れない。

確かに、電通と博報堂は給与水準、ステイタスともに高いが、超人気企業であり、入社が困難である。

しかし、ここでおすすめなのは、その下の、アサツー・ディ・ケイ、大広、東急エージェンシーの3社である。

このあたりの3社の給与水準は30代で何とか1000万円レベルには到達するものの、メガバンクや大手生損保よりは明らかに見劣りする。

しかし、部署によるかも知れないが、転職価値は大手国内系金融機関よりは高い。

何故なら、「広告・宣伝」というのは、どんな産業でも必要な普遍的なスキルであり、特にネット系ベンチャーでは常に需要のある職種だからである。

リスクを伴う転職になるかも知れないが、ストックオプション狙いで優良ベンチャー企業に行けば、億万長者を狙えるわけである。

ウォンテッドリーを見れば明らかであるが、金融系のCFOのポジションよりも、広報・宣伝系のポジションの方が多い。

もっとも、これらの3社も入社するのは容易ではない。

⑥リクルート

給与水準もそれなりであるが、ここは何といっても転職能力が高い。成功している起業家も、リクルート出身者は極めて多い。

バブル期は、野村かリクルートにいたら、一生食うに困らないと言われたが、野村は今はそう言ってもらえなくなった。

転職能力の高さ、起業家輩出力という点でここは外せない。

「人」関係は転職力は高いのであるが、パーソル、パソナ、エン・ジャパンクラスになると、年収水準がかなり見劣りするし、ネームバリューも落ちるので、ここには含めなかった。

⑦総合商社

「就活偏差値最高位の総合商社が何故、こんなに低い?」という疑問があるかも知れないが、逆に、総合商社の人気の高さは異常ではないか?

就活支援Web企業であるワンキャリアの記事で見たが、

「総合商社の人に『年収が今の6掛けだとどのくらいの社員が会社に残りますか?』と質問したところ、『全員辞めるよ』という回答が来たらしい。」

(※この記事は大変面白いので、総合商社志望の方は是非ご参照下さい)

www.onecareer.jp

これが全てである。商事や物産は50歳で2000万円、40歳で1800万円、30歳で1500万円位もらえるのだろうが、これに6掛けして欲しい。

50歳で1200万、40歳で1000万、30歳で800万円であれば、メガバンクよりも人気は下にならないだろうか?

実は、30年ほど前のバブル期においては、商社冬の時代と言われ、就職偏差値もメガバンクより低いくらいであった。事実年収水準は、今の6掛けとは言わないものの、8掛け程度の水準であった。したがって、大手金融より年収水準は低かったのである。

そして、新規事業がどうのこうのいう学生が多いが、商社のメインビジネスはトレーディング、貿易であり、汎用性の低い剥離な退屈な仕事である。

そもそも、20年後には、年収水準が今の8掛け位になっている可能性は十分にあるのだ。そして、40歳になると転職先は無い。

「俺は東大出て三井物産だ」と言っても、専門性が無いので、国内金融ですら中途で採ってくれない。そして、基本的にネットビジネス系とは真逆のビジネスなので、ベンチャーへの転職は40過ぎると厳しい。CFOも出来ないし、広告も、コーディングも出来ない。

従って、転職力込の「年収」基準で見ると、総合商社のランクは低くなるのではなかろうか?

なお、このカテゴリーに双日は入るが、豊田通商は含めない。

何故なら、長年総合商社は9社であり、旧日商岩井の流れを汲む双日と、トヨタ系の専門商社である豊田通商の差は大きいからである。

また、子会社の場合、親会社に頭が上がらないので、そこは要注意だ。

もっとも、総合商社志望の学生はプライドが高いので、大手5社までしか回らないのかも知れないが…

⑧外資系消費財メーカー

P&Gに代表される、人気の外資系消費財メーカーである。

具体的な企業名としては、P&G、ユニリーバ・ジャパン、日本ロレアル、ネスレ日本あたりである。

魅力は何といっても消費者向けのマスマーケティング能力の習得である。

従って、転職力は総じて強いと考えて良い。

もっとも、当然全員がマーケティングに携えるわけではないが、ファイナンス、人事であっても外資系企業(非金融)への転職は十分に可能だ。

弱みは、給与水準が高くないことである。メガバンクや生損保には及ばない。

そこは、メーカーの限界である。

外資系と言っても、外銀や外コンと比べると競争環境はマシであり、終身雇用とは言わないまでも長期間在籍できる環境にある。

もっとも、P&Gでなくとも、総じて入社難易度は極めて高い。

⑨大手ネット系ベンチャー企業

具体的には、ヤフー、楽天、LINE、サイバーエージェント、DeNA、グリー、mixi、ZOZO、メルカリあたりである。

給与水準は金融・商社より明らかに劣るし、元はベンチャー企業と言っても既に大企業なので思った通りの部署に配属されるかの保証もない。

他方、ネームバリューはあるし、その人の頑張り次第では若くして、部長レベルの仕事を担当することも可能だ。

また、エンジニアの場合には特別高い市場価値が着く人もいるだろう。

全社員ではないが、転職力の高さを考慮して、長い目で見た「年収」という観点からは、国内系金融よりは魅力があると考えた。

⑩その他メーカー系企業

メーカーは総じて給与水準が低い。従って、終身雇用を想定した場合には、他業種に見劣りしてしまう。

また、転職力という点で、業種の壁を越えにくく、上記の業種と比べても見劣りしがちである。

さらに、国内系大手企業は職種別採用を一般的にやってくれないので、なおさら、転職力という点で不安である。

そうした中で、給与水準と将来の転職力を考慮した場合、以下のような企業がおススメ企業となる。

〇日本IBM、日本オラクル、日本マイクロソフトといった外資系IT企業

〇武田薬品、アステラス製薬といった国内系製薬会社

〇ソニー

〇ユニクロ

〇キーエンス

この中だと外資系IT系企業は、部署にもよるが、それなりの転職力はあるし、給与水準もそれなりに高い。

武田薬品等の国内系勝ち組企業は、給与水準が高いし、外資系製薬会社への転職と言った道もある。

もっとも、大正製薬やMSDなど、安定していると言われている製薬会社でもリストラが話題となり、安穏としてはおれなくなった。

ソニーはネームヴァリューの高さがあるが、個人的なスキルは身に着けにくいかも知れない。転職するとすれば、若手のうちか…

ユニクロは新卒採用は兵隊のように扱われるか、必ずしも評判がいいわけではないが、アパレルの世界では王様であり、ベンチャー的な資質も身に付くと思われる。

まあ、終身雇用という観点からは難しいかも知れないが。

キーエンスは、給与水準という点においてはトップクラスである。

大手金融機関のコース別採用に匹敵するレベルかも知れない。

もっとも、転職力という点においては、汎用性のあるスキルが身に着けられるかは疑問である。また、大阪という勤務地になると、何かと転職活動や情報収集に支障を来してしまう。その意味では、就職偏差値が給与水準に比して高くないのは、よく見ているかも知れない。

自分なら、この中だとキーエンスかな。日本の産業界だと、「キーエンスで働いていた」というのは刺さる職歴である。

また、この分野だと日本を超えて世界でもトップという点も興味深い。

※ランキングから漏れた主な業種等

まあ、上記ランキングは私の独断と偏見である。転職力という判断軸は人によって異なるものだからである。

とはいえ、就職偏差値が高く、給与水準も高い業種でランキングから漏れたものについては若干説明をしておく。

〇大手不動産デベロッパー

⇒三井不動産、三菱地所、住友不動産、東京建物、東急不動産の5社であるが、転職力の低さと、入社が極めて難しい点である。

入社できた人は、最後までいれば満足できるのではないだろうか?

〇メガバンクと大手生損保

⇒転職力の低さもさることながら、そもそも給与水準も維持できるかどうかわからないのではなかろうか?

フィンテック、少子高齢化問題など、先行き不透明である。もちろん無くなることはないが、20年後に給与水準が8掛けになることは大いにあり得るだろう。

これらの業界は比較的ボーナス比率が高いので、減らすことは経営者にとって難しくない。

3. 「番外編」 実はおススメのドベンチャーへの就職

これは、癖が強く、全ての学生にお勧めのものではないが、上昇志向が強く、アップサイドを狙う学生にとっては狙い目である。

ここでいうドベンチャー企業とは、本当のベンチャー企業で、

①従業員10人未満

②当該業種は急成長であるネット関連企業

をいう。

何故おススメかというと理由は2つ。

①一般に周りの社員のレベルが低いので、高学歴で優秀な学生は仕事でパフォーマンスの良さを発揮し、評価されやすい。

②若いうちから、直接クライアントと接触出来たり、商品企画、営業、事務まで全て自分で自己完結できるようになれる。

このため、その後(2-3年で十分)、優良ベンチャー企業にストックオプション狙いで行ったり、自分でベンチャーを立ち上げたり、フリーランスで独立したり活躍の舞台がとにかく拡がるからである。

他方、リスクは会社がポシャッたり、ネームバリューが無いことであるが、実は高学歴の学生がドベンチャーにいっても、その後に大手に転職することは十分可能である。

何故なら、それは大手に落ちたからベンチャーに行ったのではなく、自らチャレンジする意図でベンチャーに行ったとみられるからである。

そして、何よりも、今圧倒的に不足しているのは事業を新たに起こすことができる人材であり、その点は十分にスキルとしてアピールできるからである。

こういったベンチャー企業については、学生時代にインターンを経験しておけば、向き不向きを予めつかむことができるであろう。

最後に

就職偏差値とか就職人気ランキングといったものは当てにならないし、将来を予測するものではない。例えば、興味のある業種の給与水準がわずか2割下がれば、それでも行きたいと思うか考えて欲しい。

他方、まだ社会人経験が無い中で、自分なりの判断軸を持てと言われても、なかなか難しい。

そうした中、「年収」とか「転職力」というのは重要な判断軸となるので、会社訪問をする際には参考になるのではないか。

また、自分に自信のある学生は、ベンチャー企業というのも面白い選択肢となるのではないか。今はインターンという制度もあるので、自分に合いそうだと思えば、チャレンジする価値はあるだろう。

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